メジャーではない方の『The Tokyo Tapes』 | Music and others

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イアン・マクドナルド(Ian McDonald)を引っ張り出して聴いた流れで、映像を見たくなり、リージョン・フリーのDVDを購入しました。 本来の主役は、元ジェネシス(The Genesis)のスティーヴ・ハケット(Steve Hackett)なんですが、この時のライヴは他の楽しみ方も出来ます。 バンド・メンバーに、手練手管の強者が揃っており、彼らの演奏に注目すれば、違う見方、聴き方が出来て面白いと思います。

私はこの時の公演には言っておりませんでした。 と言うのも、さほどジェネシス(ピーター・ゲイブリエル在籍時)には思い入れもなく、聞き込んでもいなかったからです。

キング・クリムズンやEL&Pはそれなりに注目し、聴いていましたが、正直ジェネシスにはさほど興味はなかったのが実態です。 アナログ時代にはLPは一通り持っていましたが・・・。 彼らは、最も英国らしい香りを発散するグループであったことは事実です。 とにかく、幻想的で奥行きのあるサウンド、それに、英国人らしい皮肉たっぷりのブラック・ジョークは、やはり特徴的でした。 多くの人に認知されるようになった、80年代以降の後期ジェネシスとは全く異なる世界観がありました。


その立役者の一人でもあった、ギタリストのスティーヴ・ハケット&フレンズの日本公演を収録したのが、この『The Tokyo Tapes』です。 同じタイトルでより有名なのは、こちらではなく、おそらくは蠍団ことスコーピオンズ(The Scorpions)の78年の日本公演を収めた2枚組アルバムになると思います。私は未聴であり、全く存在も知りませんでした。



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このライヴのきっかけ?、元となっているのは96年リリースの初期ジェネシスの代表曲をセルフ・カヴァー(と云うか、完全コピー)した名作『Genesis Revisited』です。 そして、つい最近この続編と言える2枚組、『Genesis Revisited Ⅱ』がリリースされました。


リリース直後に行った日本公演ですから、ある意味非常にタイミングも良く脂の乗った演奏が聴かれます。



1.DISC 1
1) "Watcher of the Skies" (Banks, Rutherford, Hackett, Gabriel, Collins) – [Genesis]
2)"Riding the Colossus" (Hackett) – [Solo Steve Hackett]
3)"Firth of Fifth" (Banks, Collins, Hackett, Rutherford, Gabriel) – [Genesis]
4)"Battlelines" (Wetton, Marlette, Mitchell) – [Solo John Wetton]
5)"Camino Royale" (Hackett, Magnus) – [Solo Steve Hackett]
6)"The Court of the Crimson King" (McDonald, Sinfield) – [King Crimson]
7)"Horizons" (Hackett) –[Genesis/Solo Steve Hackett]
8)"Walking Away from Rainbows" (Hackett) – [Solo Steve Hackett]
9)"Heat of the Moment" (Wetton, Downes) – [Asia]

2.DISC 2
1)"...In That Quiet Earth'" (Hackett, Rutherford, Banks, Collins) – [Genesis]
2)"Vampyre With a Healthy Appetite" (Hackett) – [Solo Steve Hackett]
3)"I Talk to the Wind" (McDonald, Sinfield) – [King Crimson]
4)"Shadow of the Hierophant" (Hackett, Rutherford) – [Solo Steve Hacket]
5)"Los Endos" (Banks, Collins, Rutherford, Hackett) – [Genesis]
6)"Black Light" (Hackett) – [Solo Steve Hackett]
7)"The Steppes" (Hackett) – [Solo Steve Hackett]
8)"I Know What I Like" (Hackett, Banks, Rutherford, Collins, Gabriel) – [Genesis]
9)"Firewall" (Hackett) (Studio track) –
10)"The Dealer" (Hackett) (Studio track)


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■ Personnel;
Steve Hackett - guitar, harmonica, vocals
John Wetton - bass, guitar, vocals
Chester Thompson - drums
Ian McDonald - flute, saxophone, guitar, keyboards, vocals
Julian Colbeck - keyboards, vocals

■ Live recorded at 新宿厚生年金会館
on December 16 & 17, 1996.





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私見ですが、スティーヴ・ハケットはかなり色濃くロバート・フィリップ翁(Robert Fripp)の影響を受けているように感じてしまいました。 彼は早弾きする技巧派のギタリストではなく、どちらかと云えば、絶妙なチョーキングとビブラートを駆使した叙情的なプレイが持ち味です。
特に、ジェネシスの6枚目のアルバム『月影の騎士』(Selling England By The Pound)に収められた名曲である、Disc 1の3曲目、”Firth of Fifth”に、Disc 2の8曲目、"I Know What I Like" 、は素晴らしい名演だと思います。


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2枚組CDの方は随分以前に購入しておりましたが、やはり動いているイアン・マクドナルドと”風に語りて”("I Talk to the Wind" )を見たいと云う衝動が抑えられずにDVDを買ってしまったのです。












寄せ集めのようなよそよそしさは全くなく、さすがはプロフェッショナルと言える貫禄のプレイ振りです。 特に、ジェネシスのツアー、あるいは、フィル・コリンズ(Phil Collins)のソロ・ツアーでリズムの要として、どっしりとした安定感あるグルーヴを叩き出すチェスター・トンプソン(Chester Thompson)のドラムスには惚れ惚れしてしまいます。