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今日は退職日と年金受給の関係について、お話をさせて頂きます~。
60歳を過ぎて老齢厚生年金の受給権があるにもかかわらず、
在職老齢年金の仕組みにより、年金が減額、もしくは支給が完全に
停止されている方がご退職をされる場合、退職時期について
よくタイトルにあるようなご質問を受けることがあります。
確かにインターネット等においても得であるという情報も流れていて、
実際、メリットが大きいことも事実です。しかし、デメリットもあるの
ですが、上記の多くが、デメリットについてはきちんと情報を伝えて
いないように見受けられます。
ある意味、驚きだったのですが、ある方がご退職前に
年金事務所へ年金相談へ行った際、末日の前日に退職することを
勧められたそうです。
そもそも年金制度上の「穴」でもあり、年金事務所の職員が
積極的に、そのような話をすること自体、何か筋違いのような
感じがするばかりか、結果として、職員が退職日を誘導するような
事態にもなりかねません。
年金事務所の職員曰く、退職後によくトラブルになるため、
事前にそのような話をせざるを得ないとのことでしたが・・・。
しかし、デメリットの話もきちんとしてもらうことが前提となる他、
職員からそのような話を聞かされた場合、ご本人様もかなり混乱し、
既に退職日を決定していた会社の処理にも大きく影響してしまいます。
前置きが長くなりましたが、月末の前日退職の場合、
下記のようなメリットがあります。
●一部停止・全額停止されていた年金の受給開始が、
「1ヶ月」早くなる
例えば4/30付での退職の場合、社会保険上の資格喪失日が
翌日の5/1となるため、上記のタイミングが6月分からとなりますが、
4/29付での退職であれば、資格喪失日が4/30となる為、
5月分からとなります。
1日違いで約1ヶ月分、受給する年金額に差が生じます。
仮に特別支給の老齢厚生年金の月額が15万円とすれば、
全額支給停止されていた方であれば、15万円得?をする
ことになります。
しかし、下記のようなデメリットもあります。
①退職金
例えばですが、誕生日の属する月の末日が定年日と定められて
いる場合、退職日を1日早くすることにより、退職理由が定年 ⇒
自己都合となり、退職金額に大きな影響が出るおそれがあります。
(一般的には、定年退職の方が自己都合退職に比べ、
優遇されています)
②高年齢雇用継続給付
上記の中身については割愛いたしますが、退職日を1日早く
することにより、退職月分の給付を受けられなくなってしまいます。
③離職票(失業給付)
退職日を1日早くすることにより、離職理由が定年・契約期間
満了から、自己都合となるおそれがあり、3ヶ月の給付制限期間が
つくなど、失業給付受給に影響を及ぼす可能性があります。
④給与の日割控除
退職日を1日早くすることにより、その日分、給与が減額となります。
⑤健康保険料
上記例で言いますと、4/29付退職であれば、4月分の健康保険料が
給与から控除されません。控除されないということは、4月分の健康
保険料を、自身で払う必要があるということです。
会社の社会保険料は、会社が折半負担している為、割安となります
が、自身で国民健康保険に加入(4/30付)した場合、事業主の折半
負担も無く、前年の収入が保険料算出の基準となるため、会社で
加入していた健保組合の保険料より、はるかに高額となるケースが
大半です。
また、配偶者が社会保険上の扶養に入っていて、国民年金の
第3号被保険者であった場合には、配偶者分の国民年金保険料も
1ヶ月分、余計にかかってきます。
⑥年金保険料
月末の退職であれば、その月分の厚生年金保険料等を納める形と
なるため、当然、将来の年金額や被保険者期間に反映がなされます。
人によっては、たった1ヶ月被保険者期間が増えただけで、44年特例
や25年の受給資格期間等を満たせる可能性もあるため、慎重な
判断が必要となります。
該当する上記デメリットと年金額を照らし合わせ、最終的な判断を
していただく形となります。
結論としましては、私自身、あまり積極的には退職日を月末ではなく
1日早めることについてお勧めはしておりません。
事業主と話し合いのうえ、双方納得のうえで上記のような措置を
とられるのであれば問題ありませんが、既に会社が月末での
退職手続きを進めている場合には、会社に迷惑をかけることに
なってしまいます。また、月末ではなく、1日早い退職日というのは、
何か恣意的な感じが否めません。
会社は1ヶ月分の社会保険料を負担しなくとも済むため、上記を
推奨している会社もある?ようですが、もしそうでなければ、
何で月末退職ではなく、中途半端に1日早く辞めるんだろう?と
職場の方々は不思議に思うのではないでしょうか?
それでは今日はこの辺で失礼いたします。