こんにちは, 今岡善次郎です。


ご無沙汰してしまいましたが、ブログを再開いたします。


再開にあたり本日は宣伝をさせていただきます。

今晩16日、テレビ朝日
「たけしのほんとうは怖い家庭の医学」

もの忘れ外来、認知症のブロックで私達夫婦が登場します。

夜8時40分頃だそうです。

なぜ、個人的なデリケートな問題をさらけ出すのか?

それは義務感と社会貢献への想いからです。

■義務感とは〔。削除〕

生活を共にしながら絶望し、
事実の受け入れを拒否し、修羅場をくぐり、容認し、
戦い、何を考え、どのように心の居場所を得て
事態に対処してきたか。

私自身が介護を経験して思ったことですが、
リアルな経験談ほどメンタル面でもノウハウ面でも
助けになるものはありません。

辛い時期を乗り越えることができたのも、経験談という
知の伝承があったからです。私もその一翼を担いたい。
そんな義務感を感じています。

〔削除:その物語は、成功失敗も含めて、マネジメントの事例と
同じように人間に降りかかる困難に対処するケース。

ドラッカーはナチスドイツの社会を見て

人間の生き方と
経済や企業のマネジメントと関連付けました。

ドラッカーにとっては一つの生き方であり、
義務感があったのではないでしょうか?〕


■高齢化社会に向けての社会貢献〔。削除〕

ほとんどの認知症家族は患者を見せたがらないし、
社会から隠し、閉じこもります。
映像はぼかし、偽名を使う。

これでは社会から差別され、
社会の一員であることを自分から放棄するような感じを
私は受けてしまいます。

ドラッカーは言っていました。
「社会を機能させるには、各人に位置と役割が必要だ」と。
たとえ認知症を患っても、社会の一員としての位置付けと役割が存在するはずです。
どんな時でも「人と人のつながり」ほど大切なことはありません。

また、同じ経験をする人が将来起ることを学びたいと思っても
実態が分らない。

専門職も在宅介護の間は生活の一側面からしか見ないで、
断片的な知識で指導することになるでしょう。

だから私は、恥ずかしながら、
映像をぼかさないで実名で登場します。

取材は延べ3時間くらいは受けていますが、
映像になるのは10分くらいでしょう。

どんなストーリーになっているか不安ですが、
多くの人の役に立ちたいという気持ちが、この不安に打ち克つ勇気を
与えてくれました。

■誰にでも起ることは情報を共有するほうが社会のためになる。
マスメデイアはそのためにある。

この考えどうでしょうか?

テレビを見た方ご意見いただければ幸いです。


今日もブログをお読みいただき、ありがとうございます。


今岡善次郎


P.S.


『ドラッカーから学ぶ人を幸せにするマネジメント改革』というテーマでもブログを記載しております。


ドラッカーに興味がありましたらぜひお読みいただければと思います。


ドラッカーに学ぶマネジメント革命

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一定期間あたりの処理スピード(算出量)のことで、スループットはボトルネックによって決まる。したがって、ボトルネックを改善しないとスループットは増大しない。


スループットは、サプライチェーンシステムから算出される一定期間あたりの物流のスピードです。


スループットは金額で表現され、かつサプライチェーンに販売を含めると、「キャッシュフローを生む速度」や「ある期間の売上」の概念です。


それは、工場内のサプライチェーンでは完成品の算出速度であり、試作から量産の立上げまでの間に上昇する者です。


個々の工程(オペレーション)の効率が上がって稼働率が向上することと、工程間の接続がうまく連動すること、すなわち同期化することでスループットは上昇します。


逆に各オペレーションがばらばらに能力を発揮していては、たとえ、それぞれの平均能力が高くてもスループットは上がりません。


サプライチェーンの各オペレーションの能力変動は、仕掛在庫を増やしてスループットを落します。


また、材料はあっても能力の低いオペレーションや、能力は十分にあっても1回のオペレーションで処理できるほど材料がなければ、設備がアイドリング状態になり仕掛在庫として蓄積していきます。


半導体工場などでは、稼働率を上げることで各工程の能力のゆらぎが蓄積することになって仕掛在庫が増え、リードタイムが長くなり、逆にスループットを落すことがあります。


工場やそれから拡張された資材納入から製品が顧客に納入されるまでのサプライチェーンにおいてもまったく同じ原理が成り立ちます。


それはまた、ハイキングなどの行進や交通システムの乗り継ぎを伴った移動や、ダイゲームなどのアナロジー(推論)が成り立ちます。


スループットはオペレーションの能力変動によって左右されるとともに、能力の最も低いボトルネックによって決定されます。


ボトルネックの能力を上げないで非ボトルネックの能力を上げても、在庫を作るだけでスループットは一切増えません。


トヨタ式生産システムの「流し生産」から「流れ生産」を サプライチェーンマネジメントのコンセプトでいえば、オペレーションの同期化によるスループットを増大させる方法論と言うことができます。


メタファで分析したハイキングにおける最後部の進行スピード、ダイゲームの最後の一人が取り出すマッチ棒の数は、サプライチェーンのスループットであるキャッシュフローの算出速度です。


そしてそのスループットは、サプライチェーンのボトルネックで決定される。


そのため、ボトルネックの能力が10%向上すると、スループットは10%の向上となります。



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パーツが供給されて製品になり納品されるまでの時間をリードタイムという。リードタイムの要素をみて因果関係を把握して時間を短縮することがサプライチェーンの効果を上げる。


サプライチェーンにおけるリードタイムは、サプライチェーンの入り口にパーツが投入されてキャッシュフローとなる製品が顧客に納入されるまでの時間の合計である。


メタファ(比喩)としては、ハイキングの行進のスタート地点から到着地点までの合計時間や、交通システムを乗り換えて(サプライチェーンのいくつかのことなるオペレーションを経由して)スタート地点から目的地に到着する時間と同じです。


したがって、実際に加工(移動)している時間と、在庫として滞留している(つぎの交通システムを待っている)時間を合計したものです。


機械のスピード(交通手段としての乗り物の速さ)は、リードタイムを構成するP(プロセスタイム)を短くするだけであって、リードタイムを短縮する効果は、その一部分だけです。


したがって、サプライチェーンマネジメントが対象とする時間は、準備時間(S)、能力待ちまたは乗り換え時間(Q)やバッチ数量待ち、組立相手の部品待ち、またはグループメンバー待ちの時間です。


これらの異なるオペレーションや異なる交通システム間の同期化を行うことでこの待ち時間を最小にすること、すなわち仕掛りや製品の在庫を最小にすることがリードタイムの短縮につながります。


プランニングするときには直近の実績を使うことが重要であり、途中で計画行進をするときには、現実の状態を反映させて最短のリードタイムになるようにオペレーション可能な意思決定を行う必要があります。


実際の加工時間(P)の合計をタッチタイムといい、リードタイムのわずかな部分を構成しているに過ぎません。


新鮮な寿司のネタであっても、漁船が網で吊り上げた時点から、消費者の口に入るまでのリードタイムの大部分は、行き先が決まるまでの冷凍保存の時間ではないでしょうか。


また、回転寿司においてさらに載せられて回っている時間は、口に入れるという消費オペレーションの能力待ちの時間で、Qタイムです。


リードタイムの構成要素を生産系のみで考えると理解するのは難しいが、メタファ(比喩)でモデル化することで理解が容易になります。



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サプライチェーンの不具合となる欠品と過剰在庫という問題を解決するために、シンクロナイゼーションという方法がとられる。ボトルネックを起点にするシンクロナイゼーションが、サプライチェーンのキーとなる。


生産(サプライ)と販売(デマンド)を同期化させることで、在庫の過剰と不足をなくすことができる。


在庫不足は販売する前であればキャッシュフローにとっての機会損失であるし、生産工程であれば設備のアイドリング(非稼働)となって効率を落します。


一方、在庫の過剰はコストだけでなくリードタイムを長くし、サプライチェーンの流れのスピードを落すことになります。


つまり、在庫水準というパラメータでサプライチェーンを評価すると、多くても少なくてもスループットというキャッシュフローのスピードを落すことになります。


生産と販売の関係だけがシンクロナイゼーション(同期化)の対象ではなく、生産を担当する工場の工程間も対象になります。


非シンクロナイゼーションになっているサプライチェーンにおいては、過剰在庫と欠品という二つがスループットを落す要因となります。


そのため通常、神経質になるのは欠品によって生じる営業や顧客側のクレームを予防するための過剰在庫です。


サプライチェーンマネジメントの不具合な状態は欠品も過剰在庫も同時に起してしまうことであります。


この二つの問題を同時に解決する方法がシンクロナイゼーションであり、もっと具体的に言えばボトルネックに合わせたシンクロナイゼーションです。


シンクロナイゼーションさせることのダイナミックス上の意味合いは、時間軸上でデマンドの曲線と、サプライの曲線を可能な限り一致させることです。


手作業とロボット作業の二つの工程があるとすれば、人間とロボットの行進のとき歩調を合わせるのが難しいように、材料不足や過剰在庫という形でシンクロナイゼーションの問題が生じます。


手作業と手作業のオペレーションは、二人の人間の行進のように柔軟に歩調をあわせることができるが、人間とロボットというとうに能力の差やバラツキが生じる作業の組合せは、同期化が困難となります。


ロボットとロボットをつないでCIM(コンピュータ統合生産システム)の方向に連結すれば生産のオペレーションとしては同期化するが、販売のオペレーションとの同期化の問題が残ります。


シンクロナイゼーションは、サプライチェーン上のすべての経営資源がその能力を発揮するスピードに歩調を合わせることです。


また、生命体の心臓や肺臓などの器官の働きも、呼吸や脈拍などを通じてシンクロナイズした状態といえます。



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複雑系の最適解を求める手法の一つとして、遺伝的アルゴリズム(GA)がある。サプライチェーンも複雑系であり、GA手法の応用も可能である。


遺伝的アルゴリズム(GA)は多様な複雑系の進化、最適化のための手法として実用化されており、これからもサプライの最適化手法として注目されるに違いありません。


GAは二つの親個体としての状態からまったく異なる新しい子個体を生成し、世代交代を進めてより最適な進化した状態を作り出す最適化の進化アルゴリズムです。


サプライチェーンのオペレーションで必要なのはオペレーションの設備や作業の数、製品の数、手順の数で、それらを組合せると現実的には気の遠くなるほど多くの変数になります。


一つのプランを表現するデータの組合せは一つの形質を表現する遺伝子の列であるとすると、二つのプランをコード化して交叉することで、二つの親遺伝子の形質とまったく違う形質をもつ多様な遺伝子が作れます。


遺伝子の組合せで表現できる目的関数の解空間は複雑な局面をしており、傾き情報のみで探索すると局所解に収束してしまうが、GAの手法は多様な遺伝形質の中から短時間に最適な形質を発見する方法であり、大局的な最適解を求める手法であります。


遺伝的アルゴリズムは、クラシックな巡回セールスマン問題、すなわちN個の都市を重複することなく全部巡回する最短ルートを決定するという問題で、最新のコンピュータを使ってかなり大きなNまで解けるようになったそうです。


これはサプライチェーン問題とも類似性があります。


遺伝的アルゴリズムの重要な点は、多変数の解空間の中で局所的な進化的停滞に陥ることなく、大局的最適解を得ることができる多様性にあります。


そのため設計問題、スケジュール問題まで応用が進んでおり、サプライチェーンマネジメントにおいても、全体最適を求めることに適しているといえます。


GAの組込まれたサプライチェーンマネジメントシステムにおいては、プランナーの役割はゴールを設定することと制約条件を与えることであり、システムは自己学習によってアルゴリズムを進化させます。


スループットを最大にするオペレーションの同期化計画作りは、プランナーの役割とともに、進化するアルゴリズムがベースとなるでしょう。


GAの実用例はスケジューリング、レンズの設計など設計変数が多くて数学的手法に限界があるときです。


コンピュータのメモリ上にモデルを展開し、多様な選択肢を評価する場合に適しています。



遺伝的アルゴリズム


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交通システムもサプライチェーンの喩えが成り立つ。列車のダイヤ編成やエレベータの運行をサプライチェーンと比較してみると、よくわかる。


交通システムとサプライチェーンは、メタファ(比喩)が成り立ちます。


地下鉄や列車が決められた時刻表(ダイヤ)通りに運行されているのは、季節や月、曜日毎にあらかじめ予測された需要に基づいて見込み生産(MTS:メイクツーストック)するようなものです。


一方、エレベータにはダイヤがなく、乗客がボタンを押せば一番近いエレベータが乗客のいるフロアまで移動し、ドアを開けてオーダーを受けます。


つまり、エレベータの運行は、ボタン操作という発注に基づくプル方式の受注生産(MTO:メイクツーオーダー)なのです。


MTSの列車運行は、決まったダイヤに基づいて運転されるので、たとえ天候や何かの事件で乗客が急減しても(需要が少なくなっても)予定通り運転されます(生産供給される)。


乗客が多すぎて待っている客が乗れなければ、つぎの列車を待つために、プラットホームに人が溢れます(能力持ちの設備の前に仕掛在庫が山積みされる)。


一つの列車でたくさんの乗客(大きいバッチサイズ)を運ぶので、一人当たりの単位コストはラッシュアワーのときは低下します。


すなわち、バッチサイズが大きいほど効率や生産性が高くなります。


昼間は都心でも列車のダイヤが過密でないのは時間間隙が長い方が需要が蓄積し、バッチサイズが大きくなり、経済効率が良くなるからです。


一方、エレベータはボタンを押さない限り一階か最上階で固定され待機しています。


ボタンを押す(注文を発行)ことで始めて動き出し、人数には関係なく目的階へ移動します。


一人でも(バッチサイズ最小の一個流し)FIFO(ファーストイン・ファーストアウト:先入れ・先出し)のルールが適用され、バッチサイズによる経済性よりも、時間(リードタイム)による利便性という面でサービスを提供しています。


タクシーの呼び出しも、エレベータと同じMTOといえます。


しかし、流しのタクシーは需要予測に基づいて場所と時間を選んで流しているわけで、MTSも行っているといえます。


地下鉄やJR、モノレールなどを乗り継いで目的地に行くときの時間(リードタイム)を決めるものは、それぞれの列車の速度と乗り継ぎ駅のプラットホームで待っている時間(仕掛在庫)の合計です。


乗り継ぎがうまく調整(シンクロナイズ)されていればリードタイムは最短になります。




列車のダイヤとエレベータ


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工場を限りなくユーザーサイドに近づけた現像ミニラボは、サプライチェーンの新しいモデルといえるものである。情報技術の進歩により、生産と需要をいかに同期化させるか、その答えがミニラボにありそうだ。


デマンド(需要)に対するサプライチェーンマネジメントを考える上で、供給システムとしての工場のもつ意味を、歴史を振り返って考えてみましょう。


前産業時代は、物を作る職人が主体であり、機械や設備、工具はインテリジェンスをもたない補助具でした。


産業が発展した工業化時代は、機械にインテリジェンスはなくても職人の力仕事を引き受けて積極的に動く道具となり、主体は職人からオペレータに役割が移りました。


そして、現在の機械はインテリジェンスをもち、人間はオペレータという役割からさらに後退し、やや機械のパートナーとしての関係になっています。


工場における設備と人間の関係は、このように職人として道具や設備を使うコントロールするものとコントロールされるものの関係から、パートナーとしての関係に変化してきています。


変化の過程で、製造は職人のクラフトマンシップから大量生産のマスプロ・マスセールの時代となり、多品種多量生産に対処するために、時間短縮を目指したアジャイルマニュファクチャリング(俊敏な製造)やサプライチェーンが製造における課題となっています。


つまり、大量の集中生産をサプライ側で固定するビジネスモデルが、今、究極までできているのです。


したがって、これから先のサプライシステムとしての工場は、デマンドの多様性や個人化に合わせて、集中大規模から分散小規模の方向に進む可能性があります。


マイクロブルアリー(地ビール)やマイクロベーカリー(焼きたてパン)、そしてプリクラや写真現像ミニラボのような、デマンド(オーダー)に近いところで生産(サプライ)するシステムが、次世紀のサプライチェーンモデルの中に組込まれるというような工場になるのではないでしょうか。


大型の集中処理のラボから、顧客に近いラボで処理するようになって、大幅にTAT(ターンアラウンドタイム)が短縮されました。


処理が分散することで多品種少量化が進んで、段取替えや準備作業に時間がかかるものの、情報技術の進歩により自律性をもったサプライチェーンのリソースが、リードタイムの短縮を可能にするでしょう。


段取替えがコストアップの要員となう理由で大量集中化するという発想から、分散小口化でもコストの上がらない段取替え方式を考えるか、または段取替えが最小となるスケジューリングを自動生成するという情報システムが優先される時代になっています。


写真現像ミニラボは限りなく工場をユーザーサイドに近づけるサプライチェーンシステムであり、TATを短縮するビジネスモデルであります。


大量の乗客を移送する列車のダイヤ運行から、個人のオーダーで動くエレベータシステムを地下鉄に応用するようなものです。




写真現像ミニラボ


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回転寿司もサプライチェーンマネジメントの喩えにすることができる。いかに在庫を作らないでスループットを大きくするか、またいかに新鮮な寿司をお客に出すか。サプライチェーンマネジメントそのものである。


寿司職人がにぎるカウンター方式のにぎり寿司は需要予測によってあらかじめ用意されたシャリとネタをバッファ(在庫)として持ち、実需(オーダー)によってネタとシャリをアセンブリする、ATO(アセンブルツーオーダー:受注組立)であります。


それが、回転寿司になると少し違うサプライチェーンマネジメントのモデルになります。


まず、当日のシャリの仕込や新鮮なネタは、曜日や天候による客数の予測から需要見込みに基づいて調達されます。


回転テーブルに最初に載せる皿は、許容在庫能力一杯です。


客が増え、皿の消費によって回転テーブルに空スペースができると、そこに消費されたネタを補充するというのが回転寿司の仕組みです。


これは、プル方式(受注生産)の補充生産が行われたことになり、ECR(効率的消費者対応)やQR(クイックレスポンス)のツールであるCRP(連続的補充計画)のコンセプトそのものです。


また、回転しているテーブルにある寿司(製品在庫)は客の所有物ではなく店の所有物であり、CRPによる補充・初期供給などの在庫管理はベンダー(仕入先)、すなわち寿司店によって行われるVMI(ベンダー管理在庫)であります。


寿司食品が寿司をにぎるスピードがどんなに速くても、回転テーブルに空スペースができない限り、それ以上には稼働率は上げられません。


それは、カンバン枚数で処理スピードが制限されるカンバン方式そのものです。


空スペースが来客数の消費スピード、すなわちデマンド(需要)のスピード以上の大きな在庫バッファとなっている場合は、売れ残り(損失)を発生させる可能性が高くなります。


ドラムバッファロープ理論でいえば、ロープが長すぎて後続が追いつけない状態であり、在庫の多さが大きな損失を生むのと同じことです。


回転寿司でお客にとって重要な寿司は、何回転も在庫になっているものではなく、一回転未満で運ばれるものです。


サプライチェーンのオペレーションが同期化している状況とは、この最も新鮮な寿司が食べられる状態になることであります。




回転寿司


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地ビールや焼きたてパンは、サプライチェーンマネジメントの考えを取り入れている。それは、消費者の満足を基準にビジネスを考え、展開していることからも説明できる。


工業化の発展は、大量生産・大量販売による物量拡大でコストを下げ、多くの消費者が物の消費による満足度を上げることで経済を拡大させてきた。


そこではテーラー方式による部品や工程の標準化が物量拡大とコストダウンに貢献し、価格の低下が需要を増大させた。


さらにスケールメリットによるコストダウンを生み、インクリーシングリターン(収穫逓増)の法則通り、市場はシェアの大きい会社ほど利益が上がり、さらに大きくなるというポジティブフィードバックによって経済が成長した。


多くの工業製品はインクリーシングリターンの法則により、持てるものはますます持てるようになって、集中化と規模の拡大が産業のトレンドであった。


20世紀初頭、米国の自動車会社は1600社もあったという。


それが、今はクライスラーとダイムラーベンツのように、米国のビッグスリーの1つとヨーロッパのトップ企業が合併するほど集中化の流れにある。


こうした工業化の流れと逆に動いているのが、マイクロブルアリー(地ビール)、マイクロベーカリー(焼きたてのパン屋)であります。


サプライチェーンマネジメントは、ハイテク製品でも生鮮食料品と同じように、すぐ陳腐化することで企業の生存がおびやかされる問題を解決しようというところから発生しました。


大量生産・大量販売によるコストメリットよりも、リードタイムの短い新鮮な製品が重要なのは寿司だけとは限りません。

たとえば、ビールであり焼きたてのパンなのです。


ビールは本来、麦芽とホップと「酵母菌」を原料とする生鮮食品であります。


それを、「酵母」を熱処理やフィルタで除去(生ビール)して、工業製品として大衆飲料化にしたのがナショナルブランドのビールです。


それに対して、生鮮食品として発酵・貯蔵という1カ月の仕込みのリードタイムで、かつ、1カ月以内の消費を前提にしたビールが、「生鮮食品」としてのマイクロブルアリー(地ビール)であります。

すなわち、リードタイムという時間によってセグメントされた市場は、その製品仕様(レシピ)の多様性と生鮮食品としての原点復帰が、冷蔵輸送と翌日配達などの新しいロジスティックスとサプライチェーン再構築によって、新しい市場ができる可能性があります。


マイクロベーカリーという、店頭での焼きたてのパンの製造販売も、新鮮さを消費者の満足度の基準にしてビジネスをしており、サプライチェーンマネジメントビジネスのモデルとして説明できます。


地ビールレストランやコンビニエンスストアの焼きたてパンは、製造業と流通業やサービス業をつなぐサプライチェーン再構築の中で登場したニュービジネスといえます。




マイクロブルアリー

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サプライチェーンの本質を理解するための喩え。ボトルネックを発見し、ボトルネックの能力を上げ、また、ボトルネックに同期させることでスループットを上げることとハイキングの速度を上げることが同じになる。


小説『サ・ゴール』の中で、制約理論のベースともなったメタファ、行進(ハイキング)のマネジメントは非常にわかりやすいアナロジー(推論)である。


一般的には「ドラムバッファロープ(DBR)」理論として知られているが、ハイキングメタファはその原形といえる。


ハイキングのメタファでサプライチェーンをモデル化すると、たとえば、5人のハイキングチームが10マイルの山道を5時間一列縦隊で移動すると言う計画は、直列5工程を経て算出される製品のサプライチェーンにおいて、10個の製品を5時間で完成させることと同じである。


このハイキングの特徴は一列縦隊という順序依存関係と平均時速の間には、平均時速は10マイル÷5時間=2マイル/時(10個÷5時間=2個/時)であっても、この間にゼロ(止まる)から6マイル/時(走る)までの変動を含んでいることにある。


このような統計的に変動する(ゆらぐ)オペレーションが、直列に5つ連なっているサプライチェーンをモデル化したものである。


先頭のアンディ(A工程)が未踏の道(材料)を踏み出し(加工し)、途中で広がったギャップ(仕掛品)をつぎのベン(B工程)が追いかける(AとBの間の仕掛品を消費する)。


ベンの後ろのチャック(C工程)、デイブ(D工程)も、自分の前の人が進んだ距離(仕掛)を進んで(消費して)、後にギャップを作る(仕掛品を積み上げていく)。


そして、最後のイバン(最終のE工程)が進んだ距離が、ハイキングチームの進行した距離(完成の数)である。


このハイキングが成果を上げるためのマネジメントは、まず最も遅いボトルネックに歩調を合わせ、ボトルネックが速く進めるようにする。


それによって他にボトルネックが広がり、その新しいボトルネックにまた歩調を調整して、全体のスピードを徐々に上げていくようにすることが必要である。


サプライチェーンマネジメントもまったく同じように、ボトルネックを認識し全体を同時並行で同期化させ、ボトルネックの能力を高めてスループットを上げるようなオペレーションが必要である。


ハイキングのメタファは、交通渋滞とその制御にも応用できる。


日本では陸上リレーや水泳リレーのメタファが語られることが多いが、このリレーのメタファは在庫を極限まで少なくする(バトンタッチで時間のロスをなくする)理想系の中での話であって、応用の広がりは少ない。




ハイキングメタファ

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