ナムコットブランド09、バトルシティー。
こいつは僕にとって忘れられないファミコンカセットだ。
家族みんなで楽しむことができた唯一のファミコンソフト、それがバトルシティーなのだから。

2人同時プレイが可能なステージクリアタイプの戦車シューティング。全50ステージ。
ルールは、司令部を守りつつ、わき出る敵戦車(20台)を殲滅するというもの。
どれだけ優勢に進めていようと司令部がやられれば即ゲームオーバーとなるので攻撃だけでは勝ち進めない。
攻守の役割分担、パワーアップアイテムの分け方や取得するタイミングで戦況が大きく変わる。
これを家族みんなで、コントローラーを奪い合いながらプレイしたもんだ。

僕の家庭は、祖母、父、母、兄、兄、僕の6人家族。
祖母は耳も遠いし本当に年寄りだったので別なんだけど、
親父は、機嫌の良いときはトランプや将棋で子供たちと遊んでくれた。

ある時、兄がファミコンを買ってくる。
居間のテレビにファミコンが接続される。
最初は「テレビが見れない!」などと親父に怒られてチャンネルを変えられることも多かったが、
いつの間にか森田将棋がソフト棚に並び、親父(当時40歳くらい)がファミコン相手に将棋を指すという光景が見られるようになった。

ファミコンに慣れてきた親父は子供たちの遊ぶゲームにも興味をしめしだした。
その中でとても気に入ったものがバトルシティーだった。これには母も興味を持った。
店が休みの日など、学校から帰ると夫婦揃ってバトルシティーをプレイしているなんてこともあったくらい。
僕は親父が怖くて怖くてすこぶる苦手だったのだが、毎日夕食後に行うみんなでバトルシティータイムでは、親父との変なしこりもなく、わいわいと一緒に遊ぶことができた。
とても嫌いな親父なんだけど、やっぱり親父に遊んでもらいたいなんて気持ちもある、複雑な僕の心が、素直に喜べるとても心地よい時間だった。

何があったのか、ただ飽きただけなのか、
いつからかみんなでバトルシティータイムはなくなってしまったけど、家族みんなで楽しんだバトルシティーへの思い出は、このソフトを見るたびによみがえる。

親父はなんでゲームをしなくなったのかなぁ、我が家のバトルシティーブーム後は一度だってゲームに触れたところを見たことがない…。
それに比べて俺という男はいつまでゲームばっかりやってるんだろうな。



単純でいて戦略性が高く、程よい具合に運が絡む。
良いゲームだと思います。
タンクバタリアンを余裕で上回る大傑作に仕立て上げた移植チームに脱帽であります。


ちなみにバトルシティーによるトラウマもあって、
僕が学校から帰って家に飛び込んだところ、友達のコウイチ君が僕の親父と2人でバトルシティーを楽しんでいたことがあり、これにもの凄く嫉妬した。この事件も同時に思い出す…。