私は占い師だ。

カードでも占星術でも、言いにくい事をはっきりと言ってしまう。
なので過去に私の鑑定を受けて、怒って帰ってしまうお客様や目に涙をいっぱいためて帰ってしまったお客様もいた。

私自身、これを良かれと思ってはいない。

しかし…なかなかオブラートに包めないんだ(-_-;)


そんな私が嘘をついたことがある。


三宮にあるダイエー(現イオン)で待機していた時に女性のお客様が入ってこられた。
冬場だったので、帽子にマスクをしていた。
面持ちもあまり元気そうとは言えなかった。

年齢は34才ぐらいだったかな。
5年前に癌になり、悪い箇所は切除、そして投薬治療を続けていた。
薬が身体に合わずに2~3年はとても辛い日々を過ごしていた。
その闘病中に相手から一方的に離婚を突き付けられた。

「私…良いことないんです。」

聞いている私もなんて言っていいのかわからない。

ホロスコープを作成してみると、確かに5年前から星と星の関係性が良いとは言えない凶座相のオンパレード。
特に海王星がいろいろと悪さをしでかしている。
海王星はアルコールや薬も担っている星なので、主要な星に悪さをしでかしていたら、そりゃ投薬治療も合わなくて辛い思いもするわなぁ…
それだけでなく、金星や火星にも悪影響を及ぼしている。
離婚にも繋がったわけだ…

「これから良いことありますか?」

ホロスコープをみてみる。
5年前は半ば壊滅的なホロスコープだったが、徐々に少しづつだが運勢は良くなってきてる。
私もほっとして運勢はあがっていくことを伝えたら、
「私この先、生きられますか?」

ずどんときた。
ホロスコープの時間を1年、2年と進めていく。
3年後のホロスコープ。
嫌なものをみつけてしまった。
出生の太陽に進行の海王星のコンジャンクション。

嫌な思いが頭に浮かんだ。

良いとは言えないこの座相。だからといって最悪なケースが必ず起こるともいえない。
でも、この方の経緯をきいて、ホロスコープと関連させると…嫌な思いが拭いとれない。

しかし…

「大丈夫ですよ。もしかしたら体調を崩されるかもしれませんが、これを乗り越えたらもっと運勢もあがっていきますよ。でも体調管理は怠らないでね。」

満面の笑顔で「私、生きられるんですね。良かったぁ、ありがとうございます。」

心が疼いた。
とっても、痛かった。

カード鑑定もしたかったが、これ以上占う事ができなかった。


それなのに、笑顔で対応した自分を軽蔑した。


初めて自分の占いに背いて嘘をついた。


どうすることも出来なかった。
何を伝えたら正解なのかも解らなかった。


ただ、ただ願わくば私の伝えたことが現実になってほしかった。


あれから半年近くが過ぎた。

なんでだろう。

何故か…今年の冬に鑑定した方の事を思い出した、6月の月のない夜でした。


i am liar.
however, i think did it right thing.


Barakiel翼