息子は犯罪者ではなく、アメリカの良心のために戦ったヒーローだ!

リー・ダニエルズ 監督作品
「大統領の執事の涙」観ました!
あらすじ!
黒人差別が日常的に行われていた時代のアメリカ南部。
幼いセシル・ゲインズは、両親と綿花畑で小作農として働いていた。
しかし、ある日、
綿花畑の女主人アナベスの息子トーマスに、
母・ハッティが慰み者にされる。
その行為を知っていながら、奴隷の身である父は、
怒りを抑えていたのだが、
思わずトーマスに食ってかかる
直後、
父はトーマスに射殺されてしまう。
白人が黒人を殺しても、罪に問われないそんな時代・・・
この事件で母は正気を失い、
父親を失ったセシルをアナベスは、
ハウス・ニガー(家働きの下男)として雇った。

そこでバトラーとしての基本を身に着けたセシル・・・
成長した彼は、アナベスの屋敷を出て、
運と努力の末、
見習いから高級ホテルのボーイになったセシル・・・
やがて、
その仕事ぶりが認められ、
遂にはホワイトハウスから執事となるべく
オファーが届く・・・。
こうして、
7人の歴史的な大統領に使えることとなったセシル。
やがて時代は、
キューバ危機、
ケネディ暗殺、
ベトナム戦争へ・・・
アメリカが大きく揺れ動いていた激動の時代。
気づけば、
セシルは歴史が動く瞬間を最前線で見続けることとなる・・・。
その一方で、
白人の従者である父親を恥じる長男との衝突をはじめ、
彼とその家族もさまざまな荒波にもまれる。

暗黒の奴隷時代を経て
時代は、アフリカ系アメリカ人公民権運動へ、
有色人種がその差別と闘うこと・・・
これらをセシルの家族と仕事を通し、
描いていくというのが物語の軸。
なので時代的、時系列的に、
大統領の執事という邦題ではあるのですが、
あくまで、
世界的に名の通った
それぞれの大統領との交流を描いているのではなく、
大きく比重が傾いているのは、
セシル一家の、
妻と、
そして
息子との家族の物語
家族の成長記録として描かれていましたね。

なのでね、
132分足らずの一本にまとめるなんてね、
ちょっとキツくね?
これだけのエピソードを流して観せていくだけなんて
もっともっと深く難しい物語になるはずだよね・・・?
テレビでさ、
全13話で作ったらよかったのにね。
ならば、絶対観るし!'`,、('∀`) '`,、

で、
本作で気になったのが、
セシルの奥さん役に
オプラ・ウィンフリーが出演していたことなんですが、
彼女ってかつては、
世界で唯一の黒人億万長者であって、
彼女のプロデュース番組である、
『オプラ・ウィンフリー・ショー』内での、
黒人問題に対する様々な影響力ある発言、
ましてや、
リー・ダニエルズとは、「プレシャス」で一緒に仕事してますし、
そのプレシャスを絶賛している彼女のおかげで、
作品は知名度を上げたわけでね…
監督としては二匹目のドジョウを柳の下に発見したかったのか?
オプラとまた一緒にモノづくりしちゃったんですね。
この辺の大人の事情を、理解したりすると、
ちょっと掘り下げが難しいと思われる内容にも関わらず、
一本の作品化した事情もわからなくもないのかなってね?
'`,、('∀`) '`,、

さらには、オバマさんの初期の支援者として、
初の黒人大統領誕生へ、
大きな影響を及ぼした人でして、
本作がオバマさん大統領就任で終わる事情もわからなくもないですね!
ヾ((○*´∀`*))ノ゙
大統領選挙当日、
オプラ演じる妻・グロリアは息を引き取りますが、
彼女の強い想いが通じた形で、
オバマさんは見事、大統領に就任し、
一度は辞めたセシルがホワイトハウスを尋ねる、
喜びや切なさが入り混じったシーンで幕を閉じます。
ラストは実に心地よいです。

ただね、
邦題である“執事の涙”がよくわからないですけどね…
セシルが、
ちょうどケネディ大統領に使えていた頃、
息子のルイスは、当事は危険とされていた
南部の大学に進学するのですが、
徐々にアフリカ系アメリカ人公民権運動に夢中になり、
結構、過激な運動家になってっちゃうんですね。
なので、
白人からはかなり暴力を受けたりしてて、
その一件がケネディさんの耳に入り、
やむなく
公民権制定へと動きだすんですね。

そんな大統領も暗殺されてしまい、
血まみれで戻った奥さんのジャッキーには
もう、声もかけられないセシル。
大統領の血で汚れた服の着替えを勧めても、
脱ごうともしないジャッキー婦人。
大統領暗殺という暴挙に、
無言で訴えかけているわけです。
そして、
なにも出来ないセシルは、
人目を偲んで、大統領のために泣き崩れるんですよ。
はたして、
これのことなの?
この邦題って?と思ったわけでしてね…
センスがいいんだか悪いんだか解らない邦題にはやや疑問ですが…?

さらに、
ルイス自身は過激になって、
やがては、
出世した黒人として尊敬していた父に対しても、
白人に媚びへつらうだけの仕事をしている黒人って感じで、
父親を蔑むようになっちゃうんですね…
そんな二人の間に挟まれた妻のグロリアは酒浸りになり、
弟・チャーリーは
兄が黒人のために戦うなら
俺は国のために戦うぜっ!って言って
兵隊に志願し、ベトナムへ行って死んでしまうんですね…
それでも家族を顧みず、
仕事に打ち込むセシル…
ここからの再生がなかなか見応えありますよ!
(人´∀`)(人´∀`)(人´∀`)

本作は、
実在した人物、「ユージン・アレン」氏の実生活をもとに描かれた
やや、賞狙いのニオイがしなくもない(ノ∀`)
そんな、心地よい作品です。
無理やり感を感じつつも、いい気持ちになれると思いますよ!
当時の音楽や、
黒人ファッション、髪型なんかも丁寧に描かれ、
当時を知る方なら、さらに楽しめると思います。
ぜひ、
今週末にでも足を運んでくださいな~~~
( ゚∀゚ノノ゙パチパチパチ
