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「血液検査の各項目値に関する遺伝的多様性が発見される」


血液検査の各項目値に関する遺伝的多様性が発見される

健康診断での血液検査でチェックされる項目には、それぞれ腎機能や肝機能の
状態、高脂血症のリスクなどを調査する重要な意味があります。
また、お酒をよく飲まれる方にはγ-GTPやGOTなどの数値に特に敏感になったり
もします。

この血液検査の各項目の数値は、性別や年齢に応じて正常値が規定されてい
ますが、東京大学と理化学研究所のチームが遺伝子のタイプにより正常値が
異なる事を解明しました。

この結果、個々人の遺伝的多様性を考慮したより細やかな判断が可能になるため、
病気の早期診断や生活習慣の改善指導などが容易になるとの期待が持たれて
います。

本研究結果は8日付のアメリカ科学雑誌、ネイチャージェネティクスの電子版に
掲載されています。

健康診断の際に気になる項目は年を重ねることで変化するものです。
子供の時は健康診断といっても検査項目もわずかで、気になる数値は身長・体重
・視力ぐらい。

その結果もせいぜい背の高い友達・目がよい友達などがもてはやされる程度の
意味合いしかありませんでした。

しかし大人になると健康診断の数値はまた別の意味で重要な意味を持ちます。

そう、自堕落な私生活の内容を白日の下に曝す数値となるからです。
また、あまりにも成績が悪い(?)と生徒指導ならず保健指導の呼び出しの対象
となり、「出来ればやっている」の生活指導改善を延々と聞かされる羽目になりか
ねません。

血液検査の良否は、各検査項目が正常値に収まっているか否かで判断されます。
この正常値は数多くの臨床検査結果を基に、性別や年齢を考慮して設計されて
います。

今までこの数値を基準として一次診断としての血液検査が行われてきましたが、
たとえこの数値で引っかかっても二次検査・三次検査では全く異常が発見され
ないなどの例は多くありました。

そのため、本当に病気のサインであっても検査結果を軽んじたり、逆に過度に
気にするあまりストレスを溜める生活を送ってみたりというケースが散見されて
いました。

今回の研究成果を発表した東京大学と理学研究所のチームは、東京大学医学
研究所で運営されている「オーダーメイド医療実現化プロジェクト
(http://biobankjp.org/)」のデータから、ガンや糖尿病・心臓病などの疾患を持つ
日本人の遺伝子情報を解析し、血液検査の結果に影響を与える46個の遺伝子で、
赤血球、肝機能、腎(じん)機能、尿酸、心筋梗塞(こうそく)など18項目の血液
検査に関連するものが含まれています。

遺伝子による正常値の違いとして、ALP値は遺伝子の違いにより最大99の
個人差があり、また血液型がB型の女性は、他の血液型の人と比べて貧血の
リスクが21%低いことも発見しました。

このように遺伝子の違いが、各検査項目の正常値にかなりの開きを生むことが
わかったことで、今まで以上に正確な検査が出来るようになると思われます。

少子高齢社会となりつつある日本において、これ以上の医療費の高騰は財政難
の現状からして何としてでも避けねばならぬ命題です。

今回の研究成果が検査精度の向上をもたらし、各種疾病の早期発見・予防に
大いに効果を発揮すると思われます。

継続して調査を続けて頂き、精度・信頼性を追求していただけるよう期待しています。


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┗━┫集┣━┫記┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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そういえば、昨日、厚生労働省研究班がメタボリックシンドロームの検診(いわゆる
メタボ健診)の目安としていた腹囲(男性85センチ、女性90センチ以上)の基準値
に対して、最適な値とはいえないと発表しました。

もともと、アメリカなどでは、腹囲を基準とせず、血圧や血糖値などの検査項目と
同等の検査項目の1つとしていたが、日本では、腹囲のほかに血圧、血糖値、
血中脂質の検査値のうち2つ以上で基準値を超えると「メタボ」とされていました。

この「腹囲の最適値が示せない」という結果に対して、腹囲を基準とした検診など
は税金の無駄遣い、無駄な医療という人もいるが、、、、

どうでしょうか。

この基準があるからこそ、多くの人が簡単に認識しやすく、尚且つ、見た目で基準
以上ありそうな人に対して「メタボ気をつけろよ~」などと話題にも上るようになった
のだと思います。

果たして、アメリカなどと同様に単なる検査項目のひとつだったときに、これほど
メタボリックシンドロームという言葉が広く認識されたのでしょうか。

ましてや、略して「メタボ」なんて言葉も生まれなかったと思います。

85cmとか90cmとかいう簡単な基準があれば、メジャーさえあれば、簡単に測れま
すしね。

あ、まずい!
もうちょっとでメタボ基準にひっかかる!!

健康診断前になんとか、メタボ基準以下にしないと!!!

という感じで自ら節制した人は数え切れないぐらいいると思います。

それって、結局、節税につながっているんじゃないですかね?

と、「最近のTOPIXからのつまみぐい」くらい、あとがきが長くなってしまいました。(笑)


                             (鈴木)
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発行・編集 バイオ・コンシェルジェ株式会社
      バイオ・インフォメーション・ニュース編集部

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「酒に溺れるのはヒトだけではない-生物における酒に対する影響」

「酒に溺れるのはヒトだけではない-生物における酒に対する影響」

この時期、忘年会などでお酒を飲む機会が増えるかと思います。

お酒は美味しく楽しいものなのですが、適量をわきまえないと普段ならありえない
揉め事や、アルコール中毒で後悔することになります。

アルコール中毒というと、一度に大量に飲むことによって起こる急性のアルコール
中毒を多くの方が(苦い経験と共に)思い浮かべるでしょうが、さらに厄介なのが
慢性的なアルコール中毒(アルコール依存症)です。

このアルコールに対する中毒が、何もヒトだけに限った話ではないことを、
カリフォルニア大学の研究チームが明らかにしました。

本研究結果はカレント・バイオロジー電子版に掲載されています。

アルコールは中枢神経に作用し、抑制系神経に働きを抑えるため興奮状態
(気分が良くなる)を生み出し、また末梢血管を拡張させることで血行が良くなり
短期的に体が温まるなどの効果がありますが、代謝能力を超える量を摂取すると
意識障害や運動障害、最悪の場合は死に至る危険な物質でもあります。

また、上記の作用を継続的に体験することにより、慢性的な依存症になるケースも
知られています。他の薬物依存と同様、アルコール依存もれっきとした病気であり、
個人の努力で治療するのは非常に困難な疾患です。

なぜこのような危険な物質をヒトは好むのか、文化人類学的にも人類遺伝学的
にも非常に奥深いテーマでありますが、文化はさておき他の生物でもアルコール
に依存するケースがカリフォルニア大学の研究チームから報告されました。

研究では、ショウジョウバエに対して、エサとなる糖溶液にエタノールを添加して
飲ませる実験を行い、エタノールの量と摂餌行動との関係を見ました。

ショウジョウバエはもともと自然発酵することがある果実や樹液などを好むため、
エタノールに誘引されると推測されます。

しかし、栄養分を含まないエタノール溶液だけの場合は飲まないことから、
においは好きだが味については本来好まないと考えられています。

ショウジョウバエに継続してエタノール入りのエサを与え続けると、対照区と比べて
エサの摂取量が増え、さらにエタノール濃度を選択できるようにすると濃度の高い
エサを選択して飲むことがわかりました。

さらに、「エタノール好き」になったハエに禁酒をさせた後、改めて通常のエサと
エタノール入りのエサを与えると、エタノール入りのエサを過剰に摂取することも
確認されました。

同様の試験を、苦味を含む物質で行っても、最初は嫌がるが徐々になれ、
最後には過剰に摂取するという同様の結果が得られました。
そしてヒトと同様(?)、異常興奮や運動機能の低下も観察されました。

このことから、ショウジョウバエも本来エネルギーにならないエタノールを好み、
そして依存状態に陥ることが推測されます。モデル生物であるショウジョウバエを
使えばどの遺伝子がアルコール依存に関わるのかを研究できるため、将来的には
アルコール依存の抑制・治療の方針が立てられるかもしれません。

一方で、恒常的にアルコールを摂取しながら、いわゆる「酔っ払い」状態に陥らない
生物も確認されています。

マレーシアに生息するハネオツパイ(羽根尾ツパイ)という哺乳類で、この生き物は
ヤシの1種が出す蜜のみをエサとして生きていますが、この蜜が往々にして醗酵
しており、常に低濃度(0.5~3.8%)のアルコールを含んでいることがわかっています。

ヒトに換算すると危険濃度を遥かに超える度数の蜜酒のみを摂取し、ヒトと同じように
アルコールの分解を行いながら、(表面的には)酩酊状態にならないこの生物も、
アルコールの影響について重要な知見を与えてくれるものと思います。

酒は昔から百薬の長とも言われ、適量であれば体にとってプラスに働くとする研究者
もいます。

今回紹介した生物などを使った研究が進み、アルコールの悪影響を低減できるので
あれば、世界的に消費量が減少しつつあるお酒ももう少し歓迎されるかもしれません。

最も、飲んでも酔っ払わないのであれば、果たしてヒトはお酒を飲み続けるかどうか
は定かではありませんが。

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┃編┣━┫後┣━┓
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今年もバイオ・コンシェルジェをご利用頂きありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

TOPICSにもありましたが、お酒はほどほどに!
楽しいクリスマスと年末を過ごして新しい年を迎えてください!
                             (鈴木)
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      バイオ・インフォメーション・ニュース編集部

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不可能の代名詞からサクラサクへ?サントリーが青いバラを商品化。来月発売

「不可能の代名詞からサクラサクへ?サントリーが青いバラを商品化。来月発売」

サントリーから、世界で初めて開発に成功した「青いバラ」が発売されることになり
ました。バラには青い色を出すための色素遺伝子がないため、「青」は従来不可能
とされていましたが、サントリーはこの遺伝子を他の植物から導入することで実現
しています。

開発自体は既にされていたのですが、遺伝子組み換え商品として販売するに当たり、
自然環境への影響がないかを調査する必要(カルタヘナ法に基づく承認を得る)が
あったため、発売が11月3日となりました。

サントリーフラワーズのページはこちら
http://www.suntory.co.jp/flower/

バラは、世界中(南半球を除く)に様々な品種が存在し、品種によって様々色合い
を見せる花ですが、青いバラだけは自然界には見つかっていません。

それ故に不可能の代名詞とされ、古くから品種改良の目標にされてきました。
その結果、数多くの育種努力のおかげで、栽培環境によって変化こそすれ、
今回発売されるサントリーのバラと比べても遜色ない青さを持ったバラはいくつか
作成されています。

ただ、これら育種によって得られた青いバラは、見た目として青っぽくはなって
いるものの、花の色素としては青色の要素を含んでいないので、「原理的には」
青いバラとは呼べないものとされていました。

近年、遺伝子解析技術が発展したことにより、バラには青色色素を作る遺伝子が
存在しないことがわかり、従来の方法(育種法)では正に「不可能」なことが証明
されてしまいました。

ただ、不可能を証明した遺伝子解析技術と共に、その不可能を可能にする遺伝子
導入技術が開発されたため、各社はこの方法による開発を進めました。

とはいっても、同一種内には存在しない遺伝子を外部から導入し、しかも正常・
安定的に発現させるのは容易なことではありません。

パンジーの遺伝子を導入することで商品化に成功したサントリーでも、実に14年
もの歳月が必要でした。

今回、青いバラが開発されたことで、3原色である赤・黄・青が揃ったことになります。
この3色を混ぜると、理論的には純粋な黒が出来るはずです。

青いバラが不可能の花言葉を脱ぎ捨て、新たに「奇跡」という意味を得た今、
次の不可能の代名詞は黒バラになるかもしれませんね。
(現在の「黒バラ」は純粋な黒ではなく、非常に「濃い赤」)

◆理研の技術基盤を活用して創薬研究を行う外部モニター利用者を募集
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理化学研究所は、「創薬基盤プロジェクト」を始動させます。
これまで培ってきた先端ライフサイエンス研究の基盤技術を、創薬研究に有用な
技術プラットフォームとして再構築し、創薬ベンチャーや学術機関などの創薬の
研究開発を強力にバックアップします。

創薬基盤のご利用に関心のある方を対象にして、「外部モニター利用者」
を本年10月末まで募集します。
詳細はこちら
http://www.riken.go.jp/r-world/info/info/2009/090918/index.html

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┃編┣━┫後┣━┓
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今回の『最近のTOPIXからつまみ食い』で青いバラに関して掲載しましたが、
なんと、その価格は通常の赤いバラの6~10倍とのこと。

バラ100本プレゼント!のようなシーンでは、20万~30万することになります。
インパクトはものすごく強いですが、お財布にもかなりインパクトの強い打撃
になりそうですね(笑)。
                             (鈴木)
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