昨今、ご存知のように病院の”たらい回し”による死亡事故が増えています。

この問題の元凶は医師不足によるものですが、その根本は制度の変更によることも一因のようです。

今までは、大学病院などが新任の医師を地方病院に振り分けていたのが、若い医師が任意に赴任先の病院を選べることができるようになったようです。これにより、医師が境遇のいい所や、希望に近い診療科に集中する事になってしまったようです。

 

 

こういった制度の変更により状況が悪化したのかもしれませんが、そもそも医師になるという志の高い人たちが、安易な環境を求めて流れている状況がおかしいのだと思うのです。

 

 

医師とは人命を扱う尊い仕事です。我々凡人にはまさに”神の領域”のような仕事です。

ですから、当然医師であること、なろうとすることは誇り高きことですし、それ相当の報酬や境遇に値するものです。

 

 

しかし、そういった人たちの意識の根本に”まず報酬や好環境”を優先させるという考えがあってはならないと思うのです。

そんな意識ある時点でもはや”聖職”に携わる資格や人としての資質がないと思うのです。

 

そんな金の亡者のような人たちに、人命を預けるわけにはいかないのです。

 

 

最近もTV番組でいろいろな”スーパードクター”を紹介していましたが、勿論彼らはひっぱりだこですから、多忙を極めています。

しかし、共通して言える事は、どの先生も自分の腕を信じながらも、奢れることなく患者を大切に扱ってくれていることでした。

最近に見た番組で紹介されていた先生は、動脈硬化などをひきおこす血管の詰まりを、”カテーテル”という細いワイヤーのようなものを血管に通して除去していく手術をする方でした。

 

 

密着取材を受けていた日は、夜中の2時まで手術をこなしていました。

ほかの外科手術に比べ手術時間は短いのでしょうが、それでも過酷な労働時間です。

なぜそこまで1日に多くの手術をこなすのかという問いかけに対しその先生は、過去に手術日に余裕を持ったがために、患者さんが手術前に亡くなった経験があったとのことでした。

それ以来、手術は絶対に後回しにしないという事でした。

 

 

意識の低い医者に同じ事が起きても、この先生のように自分の考え方を変えるでしょうか?

 

 

 

先日も母を連れて、大学病院に行きました。

担当の医者は患者が多く忙しいのは分かるのですが、

 

早口で事務的に話すばかりで、こちらが理解できていないことなどお構いなしです。

そして自分達の都合にあわせてくれないと困るようなことさえ言う始末でした。

 

 

医師も人間です。人徳のある人ばかりではありませんし、我々も彼らに少しでもいい環境で、その能力を発揮して欲しいと思います。自分達の命を預けるのですから。

 

それには、医師個人の資質だけに頼るのには限界があります。

やはり国や地方の行政力が必要不可欠です。

 

 

大阪ではATCやWTCといった無用の巨大ビルに、莫大な税金を投じて巨額の赤字を平気で垂れ流しているかと思えば、ある市民病院を経営不振を理由に簡単に閉鎖してしまうような、アホとしか言い様がないことをしています。

いくら資質の高い医師が大阪にいても、行政がこんなことをやっていては、”患者のたらい回し”は続くだろうと思います。

 

 

 

しかし、行政に即断即決を期待するのはムリな話しです。

やはり、医師や医師を志す若い人たちに今一度、自分達が”聖なる職業”に携わっている事の意味を理解してもらうしか方法は無いのかもしれません。

 

 

そのためには、医師の卵である今の子供達の”心を健全に育てる”という意識が、教育現場や地域社会に根付いていないといけないのだと思うのです。