2か月ぶりの勝利…長いトンネルを抜けて降格圏脱出!! | Purely Belter

2か月ぶりの勝利…長いトンネルを抜けて降格圏脱出!!

プレミアリーグは第19節、シーズンの折り返し地点を迎えました。今節アウェーでウェストハム・ユナイテッドと対戦したニューカッスル・ユナイテッドは、2-3で見事逆転勝利。2か月ぶりの勝利を挙げ、降格圏から抜け出しました。


■苦しい台所事情の中で掴み取った勝利

前節はアウェーでアーセナルに1-0と惜敗。これにより4連敗となっただけでなく、多くの選手が負傷で離脱することとなりました。今節のウェストハム戦は、MFジョンジョ・シェルヴィーが出場停止の他、DFフロリアン・ルジェンヌ、MFミケル・メリーノ、アイザック・ヘイデンを怪我で欠いての戦いでした。

試合が動いたのは前半6分でした。今季初スタメンのMFアンリ・セヴェのバックパスをカットしたMFマルコ・アルナウトヴィッチにゴールを決められ、立ち上がりに痛恨の失点を喫してしまいました。しかし、直後の10分にセヴェが直接FKを決めて1-1と試合を振り出しに戻しました。その後もFWドワイト・ゲイルやMFマット・リッチーが惜しいシュートを放つも、バーとポストに嫌われ逆転とはなりませんでした。

後半8分、ついにニューカッスルが逆転します。DFキアラン・クラークのパスを受けたMFクリスティアン・アツが左サイドを突破して中へ。これをMFモハメド・ディアメが合わせて1-2としました。ディアメはこれが今季初ゴール。古巣を相手に価値あるゴールを決めました。さらに16分にはカウンターからアツが決めて1-3に。その後1失点を許しましたが、最後までリードを守り切り、2-3で勝利しました。

失点に絡みはしましたが、クラークやセヴェといった代役が見事なプレーを披露しました。第9節にクリスタルパレスを下して以降白星から遠ざかっていましたが、実に10試合ぶりの勝点3を獲得することができました。

■流れるような攻撃で3ゴールを奪う
この試合では、これまで苦しんでいた選手が結果を出しました。同点弾を決めたセヴェは、ラファエル・ベニテス監督からの評価が低く、昨季はフランスへレンタル移籍。今季も出場機会に恵まれていませんでした。そんな中、これまでの鬱憤を晴らす見事な一撃を決めました。また、これまで失点に関与することもあったDFデアンドレ・イェドリンも積極的なオーバーラップでチャンスを演出していました。

早い時間帯に失点しましたが、その後慌てることなく3ゴールを奪うことができました。後半の2ゴールは勿論、前半から多くの選手がボールに絡んでシュートまで持ち込むことができていました。2点目の場面は、DFラインから左サイドへ展開され、アツの見事な突破からゴールが生まれました。また、3点目の場面は、相手のコーナーキックから一気のカウンター攻撃でした。相手のミスを上手く突き、FWホセルの丁寧なリターンをアツが決めました。

シーズン序盤のニューカッスルは、積極的なプレスでボールを奪い、一気にフィニッシュまで持ち込むことができていました。それに加え、シェルヴィーやメリーノのパスセンスが光り、決して多くないチャンスを何とかモノにして勝点を積み上げていました。しかし、最近は怪我人が相次ぎ、DFラインも脆さを露呈し、攻撃陣も形を作れずにいました。この試合の勝利は、これまでの悪い連鎖を断ち切ると同時に、チームに新たな選択肢が増えたという点でも、大きいといえるでしょう。

中でも、セヴェとディアメのセネガル代表コンビの活躍は大きいと思います。共に攻撃面でも良さを出せる選手で、ディアメはシュートの巧さが印象的です。これまでの中盤は、パスが巧い選手は多かったですが、ペナルティエリアまで顔を出してシュートを放つ選手が欠けていました。現在のニューカッスルは、残念ながら前線の選手に迫力が欠けるため、中盤にパンチのあるシュートを打てる選手が必要でした。ディアメはその役割をこなすことができる選手といえるでしょう。

■降格圏脱出もまだまだ油断できない戦いが続く
今節の勝利により、ニューカッスルは15位に浮上しました。しかし、降格圏内の18位とは勝点差2と全く油断できない状況です。

プレミアリーグの特徴の一つが、年末年始の過密日程。そして、ニューカッスルはそこでの戦績が悪い印象です。ニューカッスルは次節(27日)にマンチェスター・シティとホームで対戦し、30日にブライトン&ホーヴ・アルビオンとのホーム戦、1月1日にストーク・シティとのアウェー戦を迎えます。

上記3試合はいずれも重要ですが、中でも次節のマンC戦は注目です。ここまで首位を独走するマンCは、攻守両面で他を圧倒しています。昨季は守備陣に安定感がありませんでしたが、今季はブラジル代表GKエデルソン・モラレスが加わり、DFヴァンサン・コンパニーも万全の状態にあります。攻撃陣の破壊力も例年以上であり、今や世界最強チームの一つといえるでしょう。非常に厳しいゲームになりそうですが、ホームで相手の勢いを止めたいところです。

マンC戦を終えると、ブライトンやストークといった中位との対戦が続います。こうしたレベルの相手にしっかりと勝点3を獲得することができれば、最大の目標である"残留"は大きく近づきます。昨季チャンピオンシップ(2部相当)優勝を争ったブライトンは、粘り強い戦いを見せています。第6節ではアウェーで敗れているため、次のホーム戦ではしっかりと勝ちたいところです。

■戦力的に厳しいニューカッスル…1月の積極補強はあるのか!?
シーズンの半分を終え、残留圏内で折り返すことができました。とはいえ、客観的に見て、今季のニューカッスルの選手の質は下位に位置していると言わざるを得ません。監督がベニテスでなければ、早々に残留に黄色信号が灯っていたはずです。

全てのポジションに選手を加える必要があると思いますが、中でもGK&DFラインとFWの補強は急務でしょう。現在ゴールマウスを守るGKロブ・エリオットは、この試合でもPKをセーブするなど活躍しました。しかし、ハイボールの処理で不安があり、ベニテス監督はよりレベルの高いGKを求めているようです。以前は元スペイン代表GKイケル・カシージャス獲得の噂がありましたが、彼もハイボール処理に難があります。とすると、別のチョイスになるでしょう。

また、CBはジャマール・ラッセルズのパートナーが必要です。ルジェンヌは高さがあり、力強いロングボールも武器ですが、怪我が多いのがネック。クラークも高さと強さが持ち味ですが、サイドからクロスが入る際にボール・ウォッチャーとなる癖がありますし、一対一で軽さが見られる場面もあります。補強候補として、チェルシーで出場機会を失っているDFダビド・ルイスをレンタルで獲得するという噂が出ています。実現可能性は低そうですが、彼のようなレベルの選手が加われば、チーム状態は大きく好転するでしょう。

19試合で22ゴールという数字からも分かる通り、今季のニューカッスルは攻撃陣に迫力を欠いています。ゴールの多くはセットプレーから生まれており、FWがしっかりとゴールに結び付けるシーンは決して多くありません。ゲイルは裏に抜けるプレーが巧いですし、ホセルは前線からのチェックやポストプレーが特長ですが、いずれもシュートの正確性がありません。個人的にはアレクサンダル・ミトロヴィッチのプレーが好きですが、残念ながらベニテス監督の信頼を得られていません。決定力のあるストライカーが必要です。トルコ代表FWジェンク・トスンをはじめ多くの名前が挙がっていますが…どうなるでしょうか。

オーナーであるマイク・アシュリーがクラブの売却先を探しているというニュースが10月から出ており、女性実業家アマンダ・ステーヴリーが新たなオーナー候補として挙がっています。しかし、現在のところ、アシュリーの求める価格での入札はなく、大きな進展はない状況です。1月に移籍市場がオープンしますが、このままアシュリー体制が続くのであれば、冬の大型補強は期待できないでしょう。ベニテス監督がしびれを切らして退任…という最悪のシナリオだけは避けなければなりません。状況が好転することを祈るのみです。


 にほんブログ村 サッカーブログへ