【ニューヨーク錦織祐一】米国の若い世代に核廃絶への思いを伝えたい--。核拡散防止条約(NPT)再検討会議開催中のニューヨークで、長崎原爆で被爆し4月に78歳で亡くなった語り部の吉田勝二さんを描いた紙芝居が上演された。関係者は「核廃絶を考えるきっかけに」と、思いが届くことを願う。

 市内の学校で5日(日本時間6日)、「高校生平和大使」の長崎北高3年、林田光弘さん(18)=長崎市=が、学習障害のある小中高生が通う「チャーチル・スクール」で、吉田さんの半生を描いた紙芝居を上演した。渡米の願いかなわず死去した吉田さん。林田さんは「勝二さんの分も世界に核廃絶を訴えたい」と上演した。

 吉田さんは13歳の時、爆心地から約850メートルで被爆。顔に大きなケロイドが残り、戦後は差別に悩まされたが、周囲の助けで克服し、語り部に。その体験を長崎市の生徒が06年に紙芝居にまとめ、英訳版も作られた。

 上演する林田さんは被爆3世。4カ所での紙芝居上演の最終日となったこの日、生徒ら約50人を前に、吉田さんの被爆状況や戦後の差別を語った。最後に「平和の原点は人間の痛みが分かる心を持つこと」(THE BASIS OF PEACE IS FOR PEOPLE TO UNDERSTAND THE PAIN OF OTHERS)と結ぶと、生徒たちから大きな拍手がわき起こった。

 祖父が原爆製造の「マンハッタン計画」にかかわったというアンナ・リービーさん(17)は「原爆投下はあってはいけないこと。いつか核が廃絶されることを願う」。林田さんは「反応が良くてうれしかった。勝二さんにパワーをもらった」と笑顔を見せた。

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