塗櫛のブログ

塗櫛のブログ

そしてYJ連載中の「テラフォーマーズ」に夢中。
テラフォーマーズ感想についてはほぼ初見の勢いで書いてますので、
文章が荒ぶっています点をご了承の上お読みください。

今更ながらお勧め過ぎるお勧めです。


なんだかおもしろい様
→私がテラフォの感想ブログを書くきっかけとなったサイト様です!!
このブログでテラフォを見なければここまでハマることもなく、感想ブログを始めることもなかったサイト様。
テラフォのみならず、漫画、アニメ、イベント等多彩な記事とその更新頻度は頭が下がるばかり。
テラフォ好きの方は既にチェック済みとは思いますが、許可をいただいたので嬉々としてリンク貼ります!!!!

単行本の!!
告知が出ましたね!!!
単行本23巻は7月18日と告知がありましたやったー!!
特典がありそうならまとめたい気持ち。



 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
※以下本誌ネタばれですのでご注意願います。
 
 
 
 
 
 
 
 
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・明かされる真の姿──。
ハンニバルの特性を、ベースとなる生物を知らなければ手の打ちようがなかったこと。
天異変態に必須である微生物そのものがベースになるなどとは想像もしなかったろう。
かといって知っていたら何らかの対策があったのかといえば、特性をコピーされないために単独での攻撃をするぐらいしか対処の方法はなく、だが独りで闘うにはあまりにも実力に差がありすぎる。
サムライソードが単身で対峙したとしても、その特性を使ったとしても恐らく勝つことは難しかっただろう。
だからこそ彼女は仲間を信じ、頼った。
その結果がハンニバルの天異変態を、恐らくはランキング上位だろう彼らの特性をコピーされるということになるのは皮肉が過ぎるというかどこまでもハンニバルという男はサムライソードにとっての障害に成りうる存在なのだなと。

・知れる
テルムス・アクウァーティクスという名詞、先週に引き続き書いている単語だが空で言えるようになる気がしない。
この生物についてはハンニバル自身が誰よりも雄弁に、そして文字通りその身を持って解説してくれているので特に調べることもないのだけれど、個人的にはハンニバルが「この生物がベースになるのであれば手術を受けていい」と判断したということ。
M.O.手術を受けることで、恐らくだけれど遺伝子を取り入れるということはその生物が持つ特性を本能で使いこなせるということとイコールなのだろう。
つまりはその生物が「どういうものであるか」を完全に理解することが出来る。
だが、火星に行く前の技術レベルでは他の遺伝子を取り込むという物であるが故に抗体反応含め複数の生物を取り込むことは出来ない。
風邪村のような特殊な条件と体質を除いては。
なにより手術の成功率そのものが約四割となれば、ニュートン一族とはいえ手術に踏み切ることに関しては躊躇いがあってもおかしくない。
とはいえあの一族の中になら好奇心だけで手術を受けて死んだ人間も居そうな気もするが。
ただ、本多博士の技術開発による天異変態、そして一般的には秘されてる技術とはいえ現状は成功率がほぼ100%となっている以上、人を超える何かになるために手術を受けることを是とする判断は当然あったのだろう。
ましてや彼の知的好奇心を望む形で満たしてくれる物に適性があるのだとわかればそれは。
あらゆる生物を知れる機会があるのだとすれば。
この生物だからこそ彼は手術を受けたのだろう。
その知識欲を満たすために。

・どうでもいい知識
人間とは全く体の構造が違うモンハナシャコという生物の場合、人間の様に腰の捻りを使って腕を振りぬくという技術を使うことなく、シンプルに筋肉の反動を使って攻撃をしている。
その構造を理解していれば、ボクシングの技術はなくともその生物の持つ破壊力を活かすことが出来る。
そしてハンニバルの身体能力というか、身体の動かし方を把握している人間であればボクシングという技術が無くてもプロボクサーと同等の闘いを、戦闘能力を維持することが出来る。
彼にとって『どうでもいい知識』だからこそ、どうでもいいと思われそうな知識であっても取りこぼしたくない。
ハンニバルが嫡男でありながら当主ではないというのはこの知識欲にあるのだろう。
恐らく彼の人生において優先されるものは好奇心であり、それを邪魔するものは例え一族の人間であっても許さないのだろうし、それは明らかに当主が務まるタイプの人間ではない。
だからこそ彼はこのポジションで自由に生きている。
それに伴う周りへの影響というか被害を無いものとして扱える程度の財力がある一族だからこそ出来る生き方ではあるが。
そもそも誰かの手元で大人しくしているようなタイプではないし、大人しくさせることが出来るタイプでもない。
結局のところ、その目に留まらぬように周りは生きていくしかないタイプの人間であり、それはもはや人間というより災害と同じようなものだろう。
それが倫理に反するものだと理解はしているが、罪悪感を抱くことはない。
なぜなら自分の知識欲は、そして得た知識を実践するということは他者の尊厳よりも優先されるものなのだから。
例えば、サムライソードの戦闘力を奪うためにその手を引きちぎることも、彼にとっては満たされた知識欲を実践しただけに過ぎない。

・蝦蛄パンチ
このハンニバルの説明でならば、本来モンハナシャコの腕は伸びている状態が正常であり、それを無理やり折りたたんで何らかの形でその形に留めているということになるとは思うけれど、それがどういう構造なのかも説明して欲しかった感。
伸びてる状態を正とするなら曲げるときにどれぐらいの負荷がかかるのか、また曲げている状態を維持するためにどういう形で留めているのか、そのフックを外すための動作というか動きはどうなっているのかとか疑問は尽きない。
なので調べたら単純に言えば弓矢の構造と同じで弦を引いた状態を常とし、それを開放することで矢が放たれる=パンチを繰り出すというシンプルな構造ではある。
長節部分にある腹側棒という筋肉(?もしかしたら腱かもしれない)が弓の本体である弓幹にあたり、それを引き絞る力が指節そのもの、そして引き絞ったままの状態に留めておくために捕脚前節の中にある止め具構造というものがあるらしい。
「クチクラ内突起apodemeとは脊椎動物でいう腱であるが、一部肥厚・硬化している。ここが外骨格内側の隆起した部分とかみあうことで指の役割を果たす」という記載があるが、この場合の指は弦を引き絞った状態のまま留めておく状態そのものを指すようだ。
この留め具(腱)を意図的に外す、緩めることであの蝦蛄パンチが繰り出されるのだけれど、速ければ速いほど威力は増す。
蝦蛄パンチの速度が瞬きの1/100の速さということなので、その威力はもちろんのことジェットと同じようにキャビテーション現象も当然発生する。
というよりも実際にカニや貝の殻を割るのに有効的なのは打撃そのものの威力もさることながら、このキャビテーション現象の力も大いにあるとのこと。
そして常に全力でその力を使っていては当然自分へのダメージも蓄積されていくものなので、蝦蛄自身はパンチの速度をきちんと調整しているらしいということがわかって、あの小さい身体にスペック詰め込み過ぎでは……?

・再生
甲殻類のベースがあれば四肢をもがれたとしても再生という点においては可能だが、それは自分のベースとしてその特性を持っていることが前提ではあった。
今までは。
天異変態という他者の特性を一時的に自分のものとすることが出来る技術が確立された今であれば、自分のベースに再生能力が無かったとしても一時的にその特性を借り受けることが出来る。
この辺り、漫画として非常に使いどころが難しいのではないかとは思う。
腕や足がもげたぐらいでは死に直結することがない、という感覚は危機感を薄れさせる一面があることは間違いない。
ただ天異変態を発動させていること、そしてその特性が発動するには時間がかかるという制限があるという点ではそこまで安易に使えるものではないということと同義になるのかなと。
ただ、そうなるとエヴァの存在がますます重要というか難しい存在になるというか。
治癒能力という点においては味方として横にいて欲しいが、その特性が敵に奪われる可能性を考えると闘いの場に連れていくにはリスクが大きい。
そういう意味では制限を付けるのは当然だろうと思うけれども、本当に使いどころが難しそうだな。

・不味い
腕を引きちぎったあとのこの一瞬の表情、どう考えても「思い出している」している表情だと思う。
彼女の肉の、血の味を知っている。
この『不味い』は状況に対する物ではなく、純粋に味への感想だ。
人の味を彼は知っている。

・共食いという行為
なぜサムライソードを買ったのか。
既に死んでいる姉までも買ったのか。
それは彼の知識欲があればこそ、倫理を理解していても欲が上回るからこそ。
そしてその欲を満たせるだけの力があるからこそ。
あくまでも個人的な考えでだけれど(以下に関しては本筋とは関係があるようで単に自分の見解なので別に読まなくてもいい話です)どの生物であっても同族を食べるということが無いのは倫理の問題というものではなく、本能的な嫌悪というか種としての生存本能によるものではないかと思う。
もちろん共食いする生物は存在する。
カマキリにある性的共食いや、蜘蛛にある生まれた子供が母親を食べる行為は共食いという言葉に当てはまるものだ。
ただ、カマキリの場合は生殖行為の後に母体の栄養になるという前提があり、蜘蛛の場合は産まれた子らに栄養を確実に行きわたらせる為のもの。
空腹を満たすために同種を食べるのではなく、次世代に繋がること、繋げることが確約されたからこその行為であり、単に空腹を満たすためであるとか娯楽としての食としては全く別のものとして扱うべきではないか。
人間でも共食いが皆無かといえばそうとは言えないが、それにはある種の尊敬や信仰、相手への愛着(人によっては歪んでいるという感覚を抱くことも当然あるとは思う)という本能の忌避を上回る儀式的な意味合いを含んだ上でのものとして扱われている気がする。
極論を言えば供養の一環のような立ち位置というか。
まあそれはあくまでも族内の物であり、族外にそれが向けられた場合は復讐という別の意味合いを持つ事にもなるだろう。
いずれにせよ共食いという文化についてはそれを本能のレベルで生物は忌避するものであり、そうでなければ種としての存続に関わってくるというのが個人の考えではある。
あとは単に人間の場合に限っては栄養価が高くない(1kg食べても1500kcalぐらいしかないらしい)とか可食部がそんなに多くないとか捌くのが大変だとか色々ありそうな気もする。
捌くということに関しても遺体に傷をつけることへの宗教的なタブー視もある気がするけれどこの辺りは東洋と西洋で違ったりするんだろうか。
日本の場合は遺体も仏として扱うというか(ホトケさん、という言い方もあるし)、死んでしまった場合は皆仏、という扱いが染みついている。
逆に西洋というかキリスト教の場合は魂により重点を置いていて、魂が天に召されたのであれば遺体は空っぽの器に過ぎないという考えがあるというか。
いや別に明確に出典がある話ではなく、あくまでも個人的な考えのレベルに過ぎない話ではあるけれど、その辺りの差異も含めて「遺体を食用として捌く」事へのハードルはもしかしたら多少の違いはあるかもしれない。
とはいえ進んでやりたがるということはないだろう。
そしてハンニバルはその種としての本能的な忌避を恐らく自覚しており、倫理に反するものだということも理解したうえで知識欲を優先させた。
だからこそ「不味い」ということを知っている。
『1回食えば十分』ということは『1回は食べた』ということに他ならない。
ハンニバルの名を関している辺りでなんとなく想像というか予想の選択肢としてはあったけれど、ここまで明確な答え合わせが出されるとは。
ただ個人的にこういうキャラは善悪とか好き嫌いを全てねじ伏せて納得をさせてくれるので純粋にキャラクターの造形としては完璧だなと。
「まあ……ハンニバルならそうだろうな」と非人道的な思考や行動であっても納得してしまう強さがあるというか、説得力のあるキャラというのは貴重だと思うのだけれど、ストーリー的には彼はそれなりのタイミングで退場するのだろうなという気持ちも……いやそうしないと恐らくこう、展開的にね……かといってハンニバルが仲間になりますとかの展開になったら多分なかなかに大きい声で「解釈違い!」って叫ぶと思う。

・何故
彼の行動原理で全てにおいて優先されるものが知識欲。
それはハンニバル・ニュートンというキャラクター性の芯を貫くものであり、常識よりも倫理よりも優先されるべきもの。
しかし逆に言うならその知識欲だけで人間を食べようと思うのだから感性が常人ではない......となりつつ結局は「ハンニバルだしな」で落ち着いてしまうのが。
この時点でもうサムライソードの特性を使いこなし、その握力……いや足の場合もこの言葉は適用されるのだろうか?というよりもツムギアリの特性の場合はそもそも握力と言っていいものか。
一応好奇心以外にもビジネス的な目的もありはしたようだけど、それが人体マーケットの開拓というなかなかに非人道的過ぎるものではあるけれど、いちおうM.O.手術という技術がある以上需要があるだろうというその読みは正しくはあると思う。
「実験台としての人間」の需要は間違いなく(非合法として)あるだろうし、その為には彼女たちのような身寄りのない、そして足取りを掴めないような地へ好奇心で足を運ぶような存在はうってつけだったのだろう。
全ては彼の中の知識欲と合理性に照らし合わせれば何一つ矛盾はなく、そこに他人の感情は介在しない。
恐ろしく身勝手すぎるもの言いであり、サムライソードを手元に置いていたのも別段彼女自身にたいしてハンニバルが何か特別視するような価値があったわけではない。
彼女が要因(の1つだと思っていた)「双子」という事実ですら、ハンニバルの中には価値として認められてはいなかった。
手放したのは価値が上がるのを待っていたからであり、そしてサムライソードの姉はまるで賞味期限が迫った冷蔵庫の中の食材を消費するのと同じ感覚で文字通り食材として扱われた。
女性としてのその身体に飽きたからなどではなく、単に今「売れば」より価値が上がるという数字の上でのタイミングに過ぎない。
文字通り彼女は投資の為の商品であり、それ以上でもそれ以下でもない。
商品は売るために存在するもので手放すことをまず前提とするわけで、そこに必要以上の情を抱いてしまえばそれは商売にはなり得ない。
例えば金というものに対して愛着や執着があったとしても、紙幣や硬貨の1枚にまで愛着があるわけではないというか。
いやこの例えは合ってるのか?

・初めて
強いからこそ己の力を自覚し、だからこそ好んでその力を振るうことはない。
女性は決して殴らない事を信条とし、ましてやその身で人を殺めるなど考えたことも無かっただろう。
だが、守るために強くなった男が、『初めてこの姿で人間を殴りたい』と思うほどにハンニバルという存在を許せない。
ハンニバル自身は彼の中の信念を持ってそうしてるわけだがあまりにもそれは相容れないものであり、慶次にすればその存在はテラフォーマー以下ともいえるもの。
テラフォーマーに関して言えば意思疎通することはできず、それは言葉が通じないというだけではなく倫理感が生物として違う故に相容れないのは当然であり、だからこそ互いを敵として認識し、嫌悪することは必然に近い。
だがハンニバルの存在は同じ人間という種であり、言葉も通じる。
なのに想いは何一つ通じず、伝わらず、理解はされない。
君はこういう顔もできるのかという気持ちと、その感情に至るのは当然だろうという気持ちと、なによりその感情に至ってくれて良かったという気持ちと。
ただ個人的に最後の一線を越えることを彼が是とするかどうかは気になるというか、個人的には越えて欲しくはないと思う。
かといって他の2人であれば手を汚しても良いのかと言われればそれもまた違う気がするし、けれど命を奪った対価を命で償わせるというのであればそれこそが対等だろうという気もするので難しいというか。
彼らの物語をどういう結末にするのか、楽しみではあるけれど誰かの人生に区切りがつくのか、それとも誰かの人生の転機となってしまうのか、それともあくまで通過点として彼らの何かが変わることはないままなのか、彼らの物語は続けることが出来るのか。
楽しみではあるけれど怖くもある。
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毎回早めに仕上げないと週一更新に間に合わないぞと思っているのに色々見るものがありすぎて結果このタイミングです学習と我慢をしなさい。

無理です!

 

今回は橘先生から単行本の告知があってうっきうきですね。

書影ももう出ているんですが本当ブログにTwitter(頑なに言い続けるインターネット老人会)の埋め込みできないの不便なんですけど何とかしてくれイーロン。

 

今回は蝦蛄パンチについて調べてきたんですけど、いや多分前にも調べた気はするんだけどもう5年以上前のことは覚えられてないので……あとやっぱり5年経っていると参照できる資料も違うので……。

でも本来伸びている状態のものを無理やり折りたたんで、留め具で止めている状態がデフォというのは多分5年前の私は知らなかったと思うんですよねえ。

あと蝦蛄が自身でパンチの速度を調整していることだとか。

さすがにそれは調べてたらどや顔で披露していると思う。

なのでまあ時間が経つのも悪いわけではないよなと感じてみたり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ところであのコックのケンてまだ生きてるんですかね?

個人的には生き残りそうな気がしてならないんですけど

3週間て早くないですか…?と思ったけど多分5年待ってたからの気がする。
嫌な慣れ方をしてしまったw




 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
※以下本誌ネタばれですのでご注意願います
 
 
 
 
 
 
 
 
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・去来する過去…。
「サムライソード」は双子の姉の存在があってこそなったもの、ならざるを得なかったものであるという過去と、今に至る未来。
この辺りは#38、#57(現時点では単行本未収録分)で描かれているけれど、彼女の姉はある意味ミニマリストに近いサムライソードに比べて自由奔放ともいえる存在、人生の余白を楽しむタイプの人間だったと言えるだろう。
可愛いから、面白いから。そういう理由で手元に置きたいと思えるならばそれは手元に置くべきだし、その余白を楽しむことが出来ないのであればそれに生きる意味などないのではという疑問を抱くような人間だった。
生きることを楽しむことが上手かったのだろう。
上手かった、という過去形で語る存在となってしまった姉が恐らく最後に言ったのが生きる機械でもいい、生きていられるならそれでいいのだという言葉。
生きてさえいればいいのだと。
2人が誘拐されたのは本来どちらのせいでも無いのだけれど、旅行先に刺激を、ある種の余白を楽しむ挑戦を含めた提案をしてしまったがゆえにこの事態を引き起こしたという後悔があればこその言葉だろう。
もし自分がこの旅行を提案しなければ、きっと無事だったというその後悔。
だから生きて欲しい。
機械でもいいから、人生の余白など無視していいから、まず生きて欲しい。
きっとそう願ったのだろう。
もしかしたら姉のその自由さに憧れを抱いていたかもしれない妹の前で、その命が尽きる間際にその言葉を。
生きることが、生き抜くことが過酷なことであったとしても。

・愛が故に 愛の為に 我らは闘う!
見開きの格好良い事よ!
燈の専用武器については若干その存在を忘れてかけていたことは否めない…というか基本彼は徒手空拳でも十分に強いのでストーリーの展開の都合以外にあえて武器を使う必然性が薄いというのもあると思うという言い訳。
この面子でジェットが背中を向けているのもまた最高なわけですよ。
彼がどういうキャラクターなのかということを文字通り立ち位置で表現しているというか、同列の存在ではあるけれど、仲間と言うには何かが違うというか。
恐らくジェットにとっては劉さんの存在が未だ大きいのではないかという気持ちが個人的にはある。
というよりもその存在が未だ大きいものであって欲しいというか。
彼への忠義にも似た感情があるからこそ横並びではあるけれど仲間にはなれない、それはある種のうしろめたさのようなものも内包しているのではないかという願望を含めた上での話というかこのブログのすべての記事は私の妄想と願望で構成されています。

・BABIES IN THEIR NIGHTMARE
タイトルにもなってるこの言葉、本来は「BABIES IN THEIR DREAMS」という聖飢魔Ⅱの歌であり、「夢の中の赤ん坊」という直訳は決して悪夢を意味するものではないのだけれどあえてそれをアレンジしてこのタイトルにしたのだろう。
もっとも歌詞の内容としてはそこまで平和なものではないが、そこはまあ聖飢魔Ⅱの曲であることを考えればむしろ正しい。
安易に悪夢という言葉を使うのではなく、あくまでも不安という感情の表記に留めているのはサムライソードの今の心境だからこそだろうか。

・一日一善
なんだそのカレンダー。
職場支給のものなの。取引先の企業に年末にこれ配ってるの。
多分卓上型もあるでしょ?
欲しいけどいらないやつだ。

・ノルアドレナリン
テラフォ王道のナレーション芸というか、こういう知識を不意打ちで増やしてくれるのを含めて好きなのだなと。
もちろん生物の豆知識も好きなのだけれど、こういう「現象」に近いものを説明されるとつい読みふけってしまう。
実際人間の認識や感情は突き詰めてしまえば脳からの電気信号であると言う乱暴な括り方をしてしまいたくなる時も多いのだけれど、それを研究して物理的に存在するものが不安感を司るという事を突き止めた人がいるのだなという事実に感心してしまう。
じゃあこの物質を取り除けば人類は不安から解放されて常にハッピーな状態で暮らせるのでは?とも思ってしまうけれど、身体の中に常にあるものを完全に消滅させるとなると絶対に歪みが生じるものだろうし、多分ロボトミー手術と呼ばれるものではないのかという気付き。
不安ではないから幸せかと言われればそういうものでもないだろうし。
それに日常生活において人間の持つ機能として寝るという行為を挟み、色々なものをリセットすることでその不安を記憶と分離させることが出来るというのもよくできたシステムだなと。
というよりもそのシステムがあるからこそ生活していけると言えるし、そのシステムが無いと生きていけないからこそ構築されたものかもしれない。
感情という曖昧なものにも何らかの法則性があることを見出すというのは単純にすごい事だなと思うし、人がそういうシステムによって感情を抑制している、もしくは抑制することが出来なくなるというのは個人的には便利であり不便な話だなとも思う。
あと睡眠時間は大事。

・頼る
男であろうと女であろうと、一人では成しえぬことを誰かに頼れるのであれば、それは頼るべきではないのかと個人的には思っているタイプの人間です。
しかしここで彼女の過去を知っている、というか彼女の過去を「そうした」男が『男に頼るのか』と聞いてくるのはあまりにも人の心が無い。
が、同時にハンニバルならそう言うだろうなという気持ちもある。
ハンニバルの中では復讐の為に命を賭けた手術を受け、そして会社とは全く違うルートで単身この船に乗り込むまでの情報を集め、ようやく自分の人生に区切りを付けられるだろうこの瞬間、誰かに、ましてや恐らく彼女が最も嫌悪してるだろう男という生物に頼ることなどおかしい事だと思っているのではないかと。
もちろん精神的な揺さぶりの意味も含めての事だろうが、自分が彼女をどうしたのかをわかっているからこそ、そしておそらくここまで辿り着く為に彼女がどういう「努力」をしたのかを察したからこその言葉ではないか。

・一人で出来ること
このサムライソードの顔よ。
諦めではなくも優しさを感じるこの顔よ。
もちろん根幹にある復讐心、男という生物に対する嫌悪が消えてなくなったわけではない、消えてなくなるようなものでもないのは当然として、それでも彼女にとって一警護にいたことは抱き続けてきた不安を遠ざけるだけのものがあったのではないだろうか。
男という存在を利用するだけだと割り切ることが出来ないぐらいには、そして人間が一人で出来る事なんて、手の届く範囲なんてそんなに広いものでもないということを教えられたというか理解できたのが一警護という存在であれば良いと思う。

・値する
何に値するのか。
命を奪うことに値するのか、サムライソードが男に頼るに値するのか。
ハンニバルは前者の意味で捉え、慶次は後者の意味で捉えたのではないかと。
だからこそハンニバルは否定し、慶次は肯定した。
もっとも否定したところで自分の命が奪われるなどとは微塵も思っていないような気もするが。

・するだろ
するよなあ。
こういう時にスッと入ってくるジェットの一歩引いた感じがたまらなく好きです。
あとジェットは多分前者の意味での肯定をしている気がする。
サムライソードの過去を知らずとも、今聞いた話だけでジェットにとってのハンニバルは命を奪われても仕方のないものとして扱われているというか、命を奪うことと奪われることに関しての温度差があるというか。
彼はちょっと環境がまた違うからなあ……。

・不安
すごくこのシーン好きなんですよね。
もちろん復讐という大前提があるし、彼女はハンニバルを亡き者とするつもりなのはわかっているけれどそこから先を見据えた言葉が『不安にならない様にしたい』というのが。
サムライソードが前に進むためにはどうしたって目の前のこの男を亡き者にする必要がある。
それについては他人が口を挟むようなことでもないだろう。
そもそもハンニバルの存在については大っぴらに言うことではないがニュートン一族の人間としてジョセフの情報を引き出す為に「ある程度までは許される」という大義名分がある。
もちろんそれは一警護側、さらに言うなら物語を読んでいる側に提示された「正義」に起因するものだけれど、それに至るまでのサムライソードへの仕打ちも含め、「亡き者にしても許される背景」を持たされているキャラでもある。
ハンニバルの存在を屠ることで溜飲を下げる、姉の仇をとる、自分の人生に区切りを付ける、そういう言葉であってもいいのに、サムライソードは『不安にならないようにしたい』という言葉で彼女の今と未来を表している。
男という嫌悪し、唾棄すべき存在だと思ってしまう、そう思うべき存在であるはずなのに周りの人々が、周りの男たちが自分に対して寄せてくれる信頼を、優しさを裏切りたくない、その想いに裏があると思いたくない。
彼女の『不安にならない様にしたい』という言葉は「信じたい」という言葉。
だからこそ慶次は値すると判断したのだろう。
過去の清算だけでなく、確実に未来へ歩むためのものだとわかっているからこそ彼女が手を汚すことへの覚悟を、そしてそれに間接的にとはいえ己が手を貸すことへの責任も含めて値するのだと。
悲痛な覚悟ではなく、前へ進むための覚悟を抱いた彼女の顔を見ればそれは『値する』ものなのだ。

・服を着ろ
男女問わず全裸の相手に遭遇しがちランキング1位、鬼塚慶次。

・衝撃波
ジェットの衝撃波を受けた際に踏ん張った足の踏み込みで同じように衝撃波を出せるのか、それとも受け流し的なイメージなのか。
いや受け流すにしても空気の流れを変えることが容易にできるわけでもないので、恐らく前者なのかなと。
もしかしたらこの時点でジェットに何らかの形で触れていたとしたら、ハンニバルが衝撃波を出せたとしても何の不思議も無い事ではあるんだよな……。


・ジャスティス・ブレイカー
サムソさんの武器、カラーで見たいけどまさか茹ってる状態ではないことを信じたい。
ナイフではなく刃物、と彼女が言っている以上それはむしろ刀というべきなのだろう。
その切れ味については「足の指を切断したうえで」恐らく金属製であろうベルトのバックルを綺麗に切断できるほどのもの。
もしこのベルトが無ければハンニバルの21本目の指(指?)は無事に切り落とすことが出来たのだろうか?
実際に尾を使っての狩りというのは自分の中に知見としてなかったのだけれど、蝦蛄や海老の尾の鋭さというか薄さについてはなんとなく実感はある。
フライとか。
絶対口の中が切れそうな気配があるというかいやでも言うほど海老の尻尾を食べるかと言われれば食べない方ではあるのだけれど、今調べていたら外側の尾扇部分が自分の想像している部分で、真ん中の部分はどちらかといえば肛門節とも言われているらしく字面から色々察してしまい、今後食べる頻度は減りそうだなと思うなどしている。

・天異変態
風邪村くんの場合は特殊なパターンなのでさておくとして、今までだと描写的には複数の特性を取り込むということはあまりなかったような気がする。
うろ覚えなだけかもしれないけれど。
特性同士の相性というか、アレルギー反応的なものが発生することはないのだろうかとよくわからない心配をしてしまう。
あとは他人の特性であったとしても「それの使い方」というのは直感というか体感というか、本能的な部分で理解するものなのだろうかとか。
これについては火星編の時にも疑問に思ったような気もするが、遺伝子を体に取り込むというのはそういうことなのかもしれない。
あとは端的に「細けえことはいいんだよ」で納めるのが正解な気もする。

・3対1
オノマトペが無くても音が聞こえる、もしくは音すら聞こえないというこの表現。
しかし咄嗟にその場にあるものを武器として使いこなすジェットの器用さというか、臨機応変さというか。
火星編の時もそうだったけれど、その場にあるものを利用しての戦闘に慣れているというか
ゲリラ戦を常としているというか。
生存を最優先とした闘いに長けているというか。
その辺がジェットの育ってきた環境というか、燈との対比というか、アンチヒーローとして最高のキャラだなあと毎回思ってしまう。
そしてサムライソードは彼女の専用武器を、というよりも太刀をこそが彼女が得た闘う力であり、最も確実に相手を仕留めるための手段を持ち、慶次も人生を賭けて得たボクシングというその徒手空拳こそが最大の武器であり。
だが、勝てない。
火星でも地球でもランキング上位である彼らが3人がかりであっても、勝てない。
多勢に無勢という言葉など恐らく存在しないのだろう。
ましてや、ハンニバルの持つ特性を考えれば、きっと。
多勢でない方が良かったのだ。
本来の肉体だけのポテンシャル以上に、彼のその特性を考えれば、せめて1対1であるべきだったのだ。

・テルムス・アクウァーティクス(Thermus aquaticus)
ベースが細菌というよりバクテリアに近いし「環境中からタンパク質を吸収できる」というなら確かに『特性が天異変態』になるのは当然か……。
#8のキマイラ・ブラッド技術の際に出てきた名前だけれど、さすがに5年以上前に出てきた細菌の名前まではさすがに脳内に留めておけなかったというかすみませんシンプルに忘れていました。
でもまあ自分のブログを読み返すと「新薬の中にテルムス・アクウァーティクスが含まれており、その酵素によって相手の持つベース生物のDNAの断片を増幅させて己の新たなベースとする」という記載がきちんと残っていたのでさすが5年半前の自分ちゃんとしていたえらい。
ハンニバルの特性としては細菌型、ということになるが今までの「正規の手順ではない天異変態」の場合、血液を媒介してのパターンだったことを考えれば、この闘いの最中にほんのわずかであれ相手の血液を取り込むことさえできればその特性を自分のものと出来る。
言い換えれば能力のコピーということになるだろう。
血液経由の場合効果時間が非常に短いとされていたが、それはあくまでも己の特性があった上で他人の特性を取り込むが故、という条件のもと。
では自分の特性そのものが取り込んだDNAを増幅、そしてそれを固定できるものであったとしたら。
一度取り込んだ特性を恒久的に己のものとする、という事は無いだろうとは思うが、そうなると勝敗のカギはハンニバルが取り込んだその特性をどれだけの時間維持できるのかという所にかかって来そうな気がする。
既に相手が自分たちの特性を得ている以上、下手に引いたところで意味はないだろう。
短期の攻撃をしのぎ切り、その上で反撃の機を伺うか、連携で叩き潰すか。
ただランカー上位3人分の特性を、ニュートン一族の肉体が得ているという条件を前提とした上での選択である以上容易いことではない。
容易いことではないが、それを遂げなければ情報を得るどころか己の命が奪われる。
『人間』であることを自負するその相手に。

・人間
ジョセフもそうだけれど例えM.O.手術を受けた存在であったとしても自分のことを誰よりも人間であると、自分こそが『人類の』到達点であると自負する彼ら。
ハンニバルの言い方だとむしろ自分こそが人間であり、手術を受けたサムライソード達を人間とは認めていない言い方でもある。
だからこそ傲慢、という煽りを付けたのだろうとも思う。
言い方は悪いがより強い個体を作り上げるために自分たちの身を使って交配を繰り返し、人間が持つ遺伝子の強さとその可能性を信じて何百年と進化し続けてきた彼らは人類の指針になるべき生命だという誇りがある。
人間離れをしているのではなく、ただ周りが自分たちに追いつけていない、自分たちの様になるには外的要因が無ければ対等になれないと思っている。
思っているというよりそれが彼らにとって当然の認識であり、世界とは彼らという人間と、人間に進化する過程の「なにか」で出来ているのかもしれない。
ただ、個人的にその価値観が自分にそぐわない、理解できないものであっても責めるものではないなと思ってしまう。
彼らが文字通りその身をもって続けてきた事を考えると自分の中で決しておかしなものではないなと。
それを受け入れる事は無いけれど、「まあ彼らはそういうものだろう」という納得があるというか、今まで描かれてきたニュートン一族を踏まえるとむしろ彼らはそうであるべきと思ってしまうというか。
それはこの作品の中でキャラクターたちの描写が丁寧に積み重ねられたからこその説得力なのでは、と。
ニュートン一族が目指した先の到達点たるジョセフを、そしてその兄を見ているとそのブレない価値観は説得力がある。
例えそれが人類の味方ではない存在であったとしても。

 

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3週間て速いですね!!!!

いやなんでそんな時間かかってるんだ更新がギリギリじゃねーかと己にツッコミをしつつ、全力で脳内の自分が「だってプロレスが一番好きな大会やってたんだから仕方ないじゃん!途中でサッカー見てるしルチャも週に4回見てるじゃん!」て反論してくる。

見すぎだよでもルチャについては本当週に4回配信があるから仕方ないじゃないですか。

週に4回……?

 

しかし今回早めにハンニバルのベースが判明したなという気持ちとまさかのそういう細菌型かという気持ちと反則じゃないですかそのベースはという気持ちと。

本文でも書いたけれど、あとはどれぐらいの効果時間なのかが勝負のカギだろうということぐらいかな……もしかしたらハンニバルだし、彼らも知らない特性の使い方とか披露する可能性も無きにしもラハブ。

そうなると期せずして師匠ポジション的なものになってしまいそうでそれはちょっと……でもジョセフとの戦いで「お前の兄が使っていたぞ」的な展開があったらそれはそれでいいな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本気でテルムス・アクウァーティクスの存在を忘れていた自分にびっくりしました

 

 

前回勢いでブログを書いたもののこれしばらく恥ずかしくて読み返せないなあ!という気持ちでいます。
5年以上なんというか「文章」を書いていなかったのに変に手癖だけはあるから手直しするにしても開き直った頃じゃないとむず痒いw
手直しするにしても開き直れるぐらいの日数が経ってからになりそうですうひー。




 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
※以下本誌ネタばれですのでご注意願います。
 
 
 
 
 
 
 
 
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・連鎖する死!!
にらみ合いとは言いつつ実際に互いに物理的な手出しをしていることは間違いがないわけで、だからこそ戦争というこの事態に対しての早急かつ有効な対応が必要となる。
今まで一警護という組織でのみ通用していたジャパンランキングという(特性を曖昧ながらも数値化、視覚化した)ものの適用範囲を広げ、火星帰還組との統合を測りより激化するだろう戦争へと備えなければならない。
その戦争の相手はかつて地球から火星へと放たれた虫。
本来は異様な変化をするはずではなかった。
既に撒かれていたラハブの遺産。
それが意図的なものであったのか、それともただ打ち捨てていったものなのかはわからないが、遺産があったがゆえに人類が想像していたものとは全く違う方向へと進化した。
言語を、文化を取得し統治者が生まれ、そしてそれは人間への憎悪に明確な統一性を持たせた。
小吉との因縁を抱えたまま。
という5ページでわかるこれまでのテラフォーマーズ。
いや本当にこのページ数で今までの読者に全てを思い出させる話の運び方は凄いなと。
逆に未読の人は興味が出るんだろうかと思ったけれど、未読の人はここから読むことはあまりない気もする。
個人的には一気に読んでしまっている印象があるけれど、単行本22巻分の量はなかなかだと思うので……。
あと無料期間も終わってしまったので……。

・〈祈る者〉
眼球が同時に左右別の向きを捉えられる描写は火星編の110話でジョセフにも同じ描写があった。
両方右手だと色々と不便もありそうだし、何なら人為変態したままの手はタッチパッドというかパネルに反応するものなのだろうか?
個人的にタッチパネルが使用できる条件は静電気での反応だと思っていたので外骨格の手である右手(形状としては左手でもある)での反応はするのだろうかと疑問に思っていたのだけれど、調べたらタッチパネルの認識にも種類があるらしいので「抵抗膜方式」であれば圧迫という手段(古いスマホや多分DSなど)が使われているタイプのものであれば対応できるかもしれない。
一応スマホや大型のモニターなどで反応の種類は違うものらしい。
そもそも600年後なわけだし、タッチパネルについてもより細かい進歩があるのかもしれないと読み返していたらページ?を捲るのに本来の肉体である左手しか使っていないので、結局のところ外骨格に覆われている右手は使えないということなのかもしれない。
右手で使えなくてしぶしぶ左手を使っているのだとしたらそれはちょっと微笑ましい。
もしくは単に左利きの可能性。
<祈る者>にも利き手があるのかと思うと妙に人間臭いというか、ある種の同族嫌悪のようなものを抱いてしまう。

・神
エジプトアンクに似ている十字架……というよりA.E.ウィルスも同じ形をしていたことを考えればこれが奴らにとっての神の象徴、ひいてはラハブの象徴なのだろう。
それを祀るということは火星に、奴らにとって神という概念が存在しているということ。
そしてその神には捧げ物をするという行為が伴っているということ。
祭壇の内容を見ると判明しているものでは牛(の首)、深海魚(リュウグウノツカイ?)、あとは食料的なものとは思うが、プロテインが入っているのが。
シュールといえばその通りではあるが、それ以上に「何を信仰としているか」ということに対する象徴なのかもしれないとも思う。
より強い身体を作りあげる事が出来るもの、火星では蚕を食べることで一部の素質を持った個体のみに動物性たんぱく質を積極的に摂取させていたが、地球にはより効率の良いものが存在している。
奴らにすれば効率の良さに特化した補助機能食品というのはそれこそ神に捧げるだけの価値があるものなのだろう。
それだけのものだからこそ、蟲を守り導く身体を作り上げるためのものだからこそ食に関するものが神に捧げるに相応しいものとして認識され、実際に祀られている。
以前書いたことがあるような気もするが、民意に指向性を持たせる際に一番効率がいいのは宗教だろうと思っている。
ただ、奴らは神を持たずとも蟲として統一されているので神という存在を作り上げる必要も無いのではないか。
この神は〈祈る者〉の為だけに存在しているのではないか。
蟲としてではなく種として生きることが当たり前の真社会性生物の中で自我を持つ異端な存在が崇める神は、唯一の信者に何をもたらすのだろう。

・祭壇
左上のものが雑誌の印刷だと荒くてわかりにくいなとアプリでも確認したのだけれど、アプリはアプリで拡大すると画質が落ちるという。
個人的には火星の苔が祭壇に祀られていたら面白いというか色々と思うところがあるなと。
人間側にすればそれさえなければテラフォーマーは生まれずに火星への移住はスムーズに行われただろうし、テラフォーマー側からすればそれがなければ進化することはできず、自分たちを打ち捨てた人間への復讐をすることもできなかった。
これで実際に単行本クオリティの印刷で見たら全然違うものだったという可能性は大いにある。
あるんかい。

・完結させる
マルコスと染矢、意気投合が速いな……と思ったけれど多分これはなんとなく互いに似ているものを感じ取った故の意気投合な気がする。
育ってきた環境が違うものとはいえ、根っこにある真っ直ぐさというかブレのない芯の強さのようなものが似通っているというか、ある意味非常にエンターテイメントとして正しい「理想的な体育会系」の要素を2人とも持っていると個人的には思っている。
もちろんそれだけで語れるほどキャラが薄いわけではなく、そこに染矢は染矢の、マルコスはマルコスとしてのキャラクター性を確立させるだけの背景が描かれた上での話ではあるのだけれど。

・それ以外
一警護の人間である以上、神奸達の存在については相当早くから気付いていただろうし、だからこそテラフォーマーと同時に奴らに対する警戒も決して怠ってはいなかった。
一郎が襲撃されたことに関しては警戒の上を行かれた感はあるが、それでも一郎が一郎であるが故に挽回は早くに出来た。
そして奴らの存在に、その意図に気付いていたからこそ知ることが出来た。
誰を叩くべきなのか、その為に誰を送り込めばいいのかをわかっていた。
最も真に彼らが何を望んでいるのかはジョセフ本人以外はわからないのではないか。
ジョセフが「ニュートン一族の長として」掲げている目的、世界を征服するという言葉はあっても、その裏にあるミッシェルさんへの欲というか人の持つ感情に対しての歪んだ認識までは理解出来ていないのでは、と思ったけれどあの一族はおおよそ常人の感性からかけ離れているのでむしろ言わずとも知れたものとして扱われるか、理解は出来ないがそれに関してはどうでもいいと思っていそうだ。
ニュートン一族に関しては一般的(と自分が思っている)感性を基準にしたところで当てはまらないからこそニュートン一族であり続けられるのだから。

・復讐のために
サムライソードさんとの接点──という言い方をするのは彼女にとってあまりにも不本意な物言いだろうし、望んで作られた接点ではないがあえて端的な言い方をするならば「接点があった」という事で許されたいのだが、それがあったからこそ彼女は乗り込み、それに対してはなんの疑念も抱かずにそういうものだろう、と思っていた。
彼女が復讐の為に情報を集めることも、今回船に乗り込んだことも、サムライソードがハンニバルに対してその過去を踏まえた上でそうすることは当然だろうと。
それは個人の感情であり、独断であり、会社が理解を示したとしても援助はしないだろうと。
復讐の為に接点を保ち、そして繋ぎ、接触した。
そしてそれを会社は、一警護はすべて容認していた。
一個人の復讐を、会社が。
だが彼女が一応正当?な手段を持って船に乗り込み、その際に七星が『成果』と言っていた事が全てを物語っていた。
これはこの話を通して読んでから書いているけれど、本当にこの演出というか話の振り方が上手いなあと思ってしまう。
サムライソードがあくまでも復讐の為に単身乗り込んだということを主軸に、ただしそれを会社が容認しているという時点で「それだけではない」だろことを読者にほのめかせつつ、対決の最中に答えを出してくる展開が好きで連載再開後も安定の構成力で嬉しい。

・仲間
音としては「ヤツ」ではあれど、彼女の真意が仲間というその文字に現れているのは、漫画として特権ともいえる表現方法。
アニメだと音が来てしまって同時に文字として視覚的な面で同時に意味を持たせることは難しいので……。


・PHENOMENON
このナレーションの2ページに「ああ、テラフォだ!」という気持ちになったのは私だけではないと思う。
ナレーションというか状況説明で2ページ使うというのは週刊連載において贅沢な使い方だなとおそらく以前にも書いたと思うのだけれど、テラフォーマーズという作品の場合、それが次のシーンへ引き込むための、カタルシスに近い動への予備動作としての静。
内容自体がまた、「既に我々が知っている現象」であるというのもページを捲る手に期待を込めさせるものでもある。
私たちは知っているから。
キャビテーションというこの現象そのものを。
それを誰が、誰の特性となった生物が起こしていたのかを。
個人的にはこのナレーションがあるからこそ『PHENOMENON』という、『現象』という言葉のタイトルにしたのもテラフォーマーズらしいなと。
彼の起こしたものは直接的な攻撃手段ではなく、あくまでも現象に過ぎない。
船が推進力を得る際に避けては通れないキャビテーションという現象。
推進力を上げれば気泡が増え、スクリューやタービンの寿命が減る。けれど気泡を減らすようにすれば今度は推進力が上がらない。
おそらく船の設計において、頭を悩ませる部分の一つなのだろう。
そしてその気泡が、その現象が外部からの衝撃となった場合、それは船を止める事になる。
気泡が船を止める。
人が水を進もうとする時に付きまとう仇敵。

・残念
私はアプリで日付が変わった瞬間に読んでいるタイプなのですが、この見開きを見たときは夜中なのにまあまあの声量で叫びましたご近所さんに申し訳ない。
いやでもこれはよくわからない声が出ても仕方がないと思うんですよ。
慶次はどこに行っていたんだろうという疑問も当然あったし、そういう意味でもこのタイミングでの再登場は当然ながらあまりにも格好良い登場で変な声が出るのは仕方がないと思う。
仕方がないと思う(強調)。
そしてそれ以上に元々ジェットは中国の人間ではなく劉さん個人に対してついていくことを決めていたキャラであり、燈に対するアンチテーゼ的な書かれ方をしてたこと、地球編が始まった時に巻頭カラーのイラストにいた事を踏まえて何らかのタイミングで確実に出番はあるだろうと思ってたけれど、燈のピンチではなくここで来た早めの再登場に変な声が出るのは仕方がないと思う。
仕方がないと思う(再強調)。
当たり前のように上着を差し出す慶次も、落ちてくるシャンデリアが当たらないようにもう一度キャビテーションで吹っ飛ばすジェットも戦況把握が素晴らしい。

・上着
朝太郎さんの上着は突き返したのに慶次の上着は黙って着るんだな……。
いやあの時はまだサムライソードも人生に余裕はなかったし、牙をむいていないと生きていけないぐらいに追い詰められていたのだろうという理由があったに違いない。
と思わないと朝太郎さんが切ないことになるので。
今のところの朝太郎さんの状況については一度目を背けるものとする。

はっきりと描かれない限り生存している可能性は当然あるわけでシュレディンガーの朝太郎さん。

・ジャパン・ランキング
見出しに中点使ってると字面が良くないな。
『本日付けで』の順位変動ということは、火星帰還組がランキングに含まれたことを彼らにもリアルタイムで伝わっているということか。
そうなると何らかの形で彼らはこの状態で連絡を取る手段を得ているということになる。
一見通信手段を持っているようには見えないが、まあその辺りは一警護にいる人材の特性のことを考えればある程度対応は出来るのかもしれない。
高橋とか。
海というか水に囲まれた状態だからこそあえて出番が今無い彼が更に後ろに控えている可能性も捨てられないかなと。
そして彼らの順位、ジェットの方が慶次より上なのかと思ったが今回は捕獲という条件が無く、純粋にテラフォーマーを殲滅させるだけの戦闘能力を考えると範囲攻撃が出来るだろうジェットの方がランキングが上になるのだろう。
あくまでも慶次は1対1の戦闘に関して圧倒的な強さを誇るが、テラフォーマーの数を考えれば点で制圧するのではなく面で制圧出来るジェットの方が戦闘力が高いという判断になるのは至極当然。
ところで変動がある前は6位が本郷だったのだけれど、彼の順位は上がったのか下がったのか……。

・塵(ダスト)
慶次の神眼(ブルーアイズ)を見ると反射的に遊戯王のブルーアイズホワイトドラゴンを思い出してしまうタイプのオタクです。
あれは青眼の白龍なのでこうして漢字で見るとわかるけど似てないな。
しかし慶次にしろジェットにしろ、この二つ名(この言い方が正しいのかもわからないが)は一体誰が付けているのだろうか。
自己申告制だったらだいぶ恥ずかしいな。
ただジェットの二つ名については本人の立場というか「客観的に見た自己評価」のような感があって、私個人としては好きではある。
彼は未だ自分の立ち位置というか、自分の命を軽いものとして見ているような気がする。
だからこそ塵と名乗ることに抵抗が無い、自虐的なものを含んだ上での言葉なのだろうかと。
まあ実際名乗ることについては色々葛藤があるというか文句の一つも言いそうな気がしないでもないが。
慶次はあまりそういうの気にして無さそうというか普通に「格好良いな」って納得しそうで、多分厨二を通ってないというかそういうものへの耐性も無いが偏見も無いというか……。
という偏見(妄想)。

・数字
一目で慶次とジェットの特性を当て、その専用武器も把握している。
今ジェットが手にしているのはあくまでも人為変態の為の薬であり、武器とみなすには難しい。
中国班に所属していた時の彼の武器は『具足型パーソナル全方位ソナー・「銀河蝦虎魚」』。
それがあったからこそスムーズにこの船に辿り着けたという可能性はある。そしてジェットが上着を脱いでいないのも、その武器を身に着けている(具足型なので)からというのであれば納得もいく。
ただ、火星編において中国班以外は知ることも無かった専用武器の存在をハンニバルが知っていたのは彼がローマ連邦の人間であり、あのジョセフの兄であるというその特異性もあるだろうとは思う。
だからこそマーズ・ランキングのことは把握している。
だが、ジャパン・ランキングについては把握していない、もしくは把握していたとしてもそこまで重要視をしていないというところだろうか。
それならば今の順位の変動についても(些末なものとして認識してるが故に)知らないし気にしてもいないのだろう。
だからこそ、その順位が、その数字が如何ほどのものかを己に対して見せてみるが良いという圧倒的なまでに強者としての言葉。
テストという言葉を使っているのも、自分がこの三人の攻撃を受けきる自信がある、なんなら遊びの範疇に過ぎないという自信があるからこそだろう。

・弟
ハンニバルは勝敗に関わらず「自分が楽しかったら報酬を与える」ような気もする。
確かに売られた喧嘩ではあるけれど、ここでジョセフの情報を餌にする必要も無いというか、彼らの目的に対して本来付き合う義理も無いはず。
この状況は彼にとって本当に暇つぶしであり、その暇つぶしの添え物程度のノリで弟の情報を、ジョセフという実質今世界を支配しているともいえる男の情報を与えようとしている。
それに対して家族愛という感情があることを前提に、自分が負けることなどありえない=弟の情報を与えることなどないというニュアンスなのか、弟の情報を与えるつもりがないのか、たいした情報を与えるつもりがないのか。
それとも家族的な感情が希薄で、本当に弟の情報を渡しても本人には呵責が無い、どうでも良いと思っているのか。
ニュートン一族自体は「一族として」の結束というか、同族意識は一般的な感覚よりもその特異性故に強いとは思っているが、それでも個々の感情としてはあまり関心が無さそうな。
だからこそこの暇つぶしが楽しいものであれば、その対価として弟の情報を与えることに罪悪感が無いのではと。

・人類の先
これは今回の内容とは関係が無い話になるのだけれど、ハンニバルは享楽主義ではあれど、それ故に無邪気な一面があるような。
ただその無邪気さは人間とは違う存在であるが故の何か、という見方もできる気がする。
戯れに人に牙を剥く無邪気さ。
彼らは人でありながら己を改良し続け、そして人ではない何かへと到達したのだから。
今はまだ『人類の』到達点だが、その先を当然視野に入れているだろう。
だが人類の先とは何なのだろう。
それはもはや人ではないものになるのではないのか。
人類を超えてしまえばそれはもう人類の枠から外れている。
いくらそれが種として進化したものだとしても、その個体だけが特異な存在になるということは、それは<祈る者>と同じ存在なのではないか。
彼らの「完成」はどこにあるのだろうか。

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自分で書いておいてなんだけど文章がとっ散らかってるなあというか思い付きを並べるとこうなりますみたいな。

まあリハビリですからね、長い時間をかけるつもりで(元気な言い訳)。

 

しかし今回の見開きの慶次とジェットはあまりにもテラフォ的展開というか登場で、本編にも書いたけれど本当夜中に結構な声が出ましたねえ。

いやあれは結構な声が出ると思うんですよ。

周りがキラキラしててなんだこれイケメンに許されし何かの演出か?って思ったらシャンデリアの破片じゃんっていうぐらいにはテンションが上がりまくってましたね……w

まああの二つ名、漫画だからこそかっこいい~!ってなるけどリアルで考えると微妙いやリアルで考えるな二次元やぞ!

 

前回よりは早めに書き上げられたので、次回はさらにもうちょっと早めに頑張りたいという目標。

次の更新は5/23だそうですね楽しみー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 














そういえば巻末コメントって無くなったの?
 

祝!

連載再開!!

 

お待ちしてましたありがとうございます!

でもくれぐれも無理なさらず……不定期連載でもいいので……。

 

 

 

連載再開が5年半ぶりということは、このブログを書くのも5年半ぶりということで今までどうやって書いてたっけ?と自分のブログを読み返すところからスタートしました。

 

というかブログの色々な埋め込み機能その他も変更がありすぎて色々と不慣れもあるとは思いますが改めましてこちらもよろしくお願いします。




 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
※以下本誌ネタばれですのでご注意願います。
 
 
 
 
 
 
 
 
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・巻頭カラー
連載再開ボーナス巻頭カラーありがとうございます!
とはいえカワイイ女の子のグラビアから前振り無しのテラフォーマーのアップはいかがなものだろうかという気はしないでもない。

・死闘、再び──。
死ぬほど嫌い、というよりは殺したいほど嫌い、という方が正しい気もする。
テラフォーマーが人間に対して向けるのは嫌悪というよりも憎悪、それを通り越した殺意という言葉の方が相応しいかもしれない。
その発端は火星という地に人間が住めるようにするという、己の種族の為だけの利己的な動機であり、そのためにゴキブリという他種を過酷な環境へ送り込み更にはその星に置き去りにした。
今抱いている憎悪が純粋にそれに起因しているのかといえば決してそれだけではないだろうが、少なくともそこに端を発していることは間違いない。
おおよそ生物の生存のは不向きなその環境の中で生き残るために短期間での進化という、種を存続させるための唯一の手段を成し遂げ、ラハブが捨てていった文明の残り火からようやく温もりを得たところで自分たちを置き去りにした人間たちが現れた上にそれを否定し、破壊する存在であれは憎むことは必然だろう。
人間側とすれば己の首をただ絞めただけだとも言えるが、そこには失われたとラハブの意図も噛んでいることを考えればたがいにとって不幸な再会だったという言い方もできるだろう。
それが偶発的なものなのか、必然的なものなのかはわからないが。

・魂は再び戦場へ…!!
小吉『自身が』闘うというその言葉、今までも彼自身が最前線に立つことはあったし、実際にその身を削って戦っていたことは間違いない。
ただ、火星での戦いはバグズ編において人生を取り戻すためのものであり、アネックス編においてはかつて失った何かを、火星に置き去りにした思い出を、その欠片を見つけに行くものだった面があったことは否めない。
もしかしたら己が失ったものがまだあるのかもしれない、わずかな欠片を持ち帰ることができるかもしれない。
そんな淡い期待を、感傷的なエゴが根底にあり、その想いに他人を巻き込んでしまったという自責の念もまた心の中にとどまり続けていたのではないだろうか。
生きろ、というかつての仲間の願いは呪縛にも等しく、それ故に自己判断という自我の根幹を他人に委ねることすら受け入れてしまう程には。
それでも燈と闘うことで、かつて追い求めた欠片は残っているのだと、己の目の前で今なおその光を絶やさずにいるのだという事を文字通り「叩き込まれ」、そして新たに得た決意。
自分を生かすためにかつて巻き込んだとも言える仲間たちが全力を尽くし、生きることを願ってくれた。
きっと、それは呪縛ではない。
生きて欲しいと願うことは純然たる願いなのだ。
小町小吉という男は、ようやく20年に渡る願いを受け入れることが出来たのではないだろうか。
だからこそ、その魂は戦場へ向かうことを厭いはしない。

・酒
多分それはジョッキで、しかもストレートで飲む酒ではないと思いますミッシェルさん。
M.O.手術を受けた人間は細胞の入れ替えというか代謝が情人よりも良い(良すぎる)からこそアルコールの分解が速いといあそういうことがあるのだろうかと思ったけれど、単にミッシェルさんがお酒に強いだけな気もする。


・戦時中
おそらく戦火に晒されているのは日本という地だけなのだろう。
もちろん中国やロシアにもテラフォーマーの存在はあるが、〈祈る者〉が軍事拠点を日本に構えた以上、そこが決戦の地になることは必然。
ミッシェルさんからすれば地球の裏側とでもいうべき距離は実感がわかないのかもしれない。
ましてや本来であれば己もそこにいただろうことを考えれば。
彼女が今戦いに参加していないその理由は、一郎が小吉を取り戻しに行くその時、彼女に話をしたことが要因であることは確かだろう。
そうでなければ国の、地球という惑星の、人類という種の存続をかけた戦いとも言えるこの状況で彼女がいまだ戦地にすら赴いていないのは、保護というその名目を彼女が受け入れざるを得ない程の何かがなければ、その手で確実に己の魂にかけて敵を、テラフォーマーを彫屠り、そして仲間を守るために闘うことは間違いないのだから。
これに関しては一郎しか知り得ないこと、それは一国の首相として知りえたことなのか、それとも本多博士と手を組み彼女の父親を裏切ったあの時から何かを知り得ていたのか、そしておそらく彼女だけに伝えたのだろうその内容を伺い知ることはまだできない。
今ある事実は、彼女はその特性を振るうことが無いということだけ。


・連合軍
国旗を確認するだけでもアメリカ、日本、(モノクロではあるがおそらく)イタリア、ベトナム、ブラジル、チェコ、トルコ、オーストラリア、チリ。
文字通り連合軍ではあるけれど、2つほど実在していない国旗がある気がする。
まあ600年後の世界だし、新しい国の1つや2つあってもおかしくないだろう。
ジョセフのいるローマ連合も新たな国旗が作られていることだし。
一番下の横十字に月が付いている国旗、デザイン的には東欧系っぽいデザインに見えるが、調べた限りでは国旗を有している国の中でこのデザインのものは見つからなかった。
あえて架空の物を混ぜることで逆にリアリティが増しているように個人的には受け取れるし、もしこれがイワンのデザ共和国のものだとしたら個人的には嬉しい。
(これで単に調べる内容が不足していて、普通にある国旗だったらだいぶ恥ずかしい)
ロシアと戦争を続けていた以上国力の疲弊があることは否めないとしても、戦争をしていたからこそ有事の際の初動を早くすることができるという利点はあるだろう。
それを利点というには余りのも悲しい事ではあるが。
地、海、空と全てにおいてあらゆる最新鋭だろう兵器が終結している状態だが、日本という国は四方が海に囲まれているが故に侵略されにくいという島国ならではの地の利があるが、それは兵士の輸送手段という枷があってこそのもの。
テラフォーマーの様に「兵士が自ら飛んでくる」状態では島国としての利点はあまり活かせないとは思う。
それでも陸路で物陰に隠れて侵入されるよりは幾分かマシなのかもしれないという気もするし、逆にすべての海岸線を監視することなど不可能なことを考えれば逆に島国こそ不利な気もする。
ただ陸路での侵入は人間が引いた国境線という概念があってこそ監視も阻止もできるわけで、国という概念がない相手にはそれは意味をなさない物でもあり。
この辺りは#40でも描かれているが、日本という地が戦禍の中心に選ばれたのはテラフォーマーに、〈祈る者〉にとって必然性があったからであり、だからこそ遠い。

・遠い
物理的な距離も、そこに己が関われないという心の距離も。
一警護と彼らが内包する事情を含め全てを把握している日本側としてはミッシェルさんを火星からの帰還組として当然戦闘員の頭数として入れてはいるものの、肝心の本人はいまだ戦場へと向かう事はない。
#49で一郎から話を聞いてから燈曰く『大人は色々ある』感で多くを語ることもなくアメリカ軍の保護下にいることを是としているが、一郎の話を聞いたからこそ迷っているのだろう。
その内容を伺い知ることはまだ出来ないが、彼女が迷うだけの何かを聞かされた(一郎自身は単に誇張もなく必要な伝達をしただけとは思うが)となればそれは世界の命運に関わることは間違いがないとは思う。
一個人の意志を優先すべきではないという判断をするほどの何かが。

・にらみ合い
にらみ合いというよりは消耗戦。
相手が基本ゲリラ戦とも言える手法をとっており、しかも個の戦闘能力だけならば銃を持った兵士1人では太刀打ちは無理だろう。最低でも陸軍における分隊の人数でなければ相手にならない(陸軍では10名程度、海軍では最大150名程度と差が大きい)。
冒頭でも書かれていた通り、その身体能力は腕の一振りで人間の頭を容易に叩き割る、もしくは吹き飛ばすレベルのものなのだから。
そんなものがゲリラ戦を、しかもゴキブリと同じように、いや同じようにというか同じ存在ではあるのだけれど、どこからでも入り込みそして何のためらいもなく命を奪っていく。
互いに大きく部隊を動かさないから『にらみ合い』という言葉が使えているだけであり、小競り合いは前線で当たり前のように起こっている上に、テラフォ―マー1体を倒すのにおそらく1.5人は戦闘能力が奪われるレベルと思われる。
それは個々の消耗戦というべきだろう。
ましてやまだ戦争は始まってすらおらず、そしてその戦争が始まったところでいつ終わるのか、何を持って終わりとするのかすらわからない。
始まる前から消耗しているのだ。
物資も、人も、人の心も。

・仕方ない
戦況に対して一番冷静で、一番的確な見方をしているのが最年少のイワンであるという事実。
もちろん火星に行った他の面々も当然闘いを経験してはいるものの、実際に「戦争」を体感しているのは彼だけといってもいいだろう。
もちろんナスチャさんもデザ共和国の相手国の人間として、そして軍人として戦争を体感していることもまた事実ではあれど、国力の差は安全性に現れると思っている(あくまでも個人の感覚であり別段統計データなどがあるわけではない)のと、彼女は後方支援部隊に所属していたという事を踏まえれば「戦争体験」という点においてはイワンとは別の立場にあるのではないかと。
そして戦争を知っているからこそ、まだ軍としてテラフォーマーが動いているわけではないということ、そしてそれに対して複数の要因の可能性を示唆しつつ、動かないことに関しては奴らなりの理由があるだろう事も推測してる。
彼の言う『アタマがくっつく』は一度は〈祈る者〉を#44と#45で倒し、頭部を切断し捕獲したものを取り返されたことについて言っているのだろうが、待っているのだとしたらその全てのような気がしてならない。

・産んでほしい
何を、と安易に問えない言葉。

むしろ誰を、とすら問えない気がするのはジョセフの言葉だからか。
ジョセフがミッシェルさんに対して執着を抱いていたことは確かだけれど、だからと言ってジョセフが自分の子供をミッシェルさんに産んでほしいと思っているとは安易に考えられないのがジョセフなわけで。
誰との子なのか、そもそも相手は人なのかという所から疑ってしまうのはジョセフだからとしか言いようがない。
ミッシェルさんが奇跡の存在であればこそ、子供を産むという過程で新たな進化の形を、その道筋を産みだしたいと思っているのだろうか。
燈の存在を考えれば、生まれつきM.O.手術に適合する人間は理論上は「造れる」世界である以上、だからこそ人の手を加えることなく産まれたミッシェルさんは対称的であり、ある意味ジョセフにすれば信仰の対象に等しいものなのかもしれない。
そして信仰というのは相手を自分と同じステージに見ていない、上位の存在であるとはいえだからこそ欲や願望を一方的に押し付けてしまうことも多々あるわけで。
ジョセフがなにを目的としているのか、その目的は果たして人知の及ぶところなのかもわからないけれど、それは多くの人間にとって共感が得られるかどうかは難しい物なのだろうなということはわかる。
そもそもジョセフがミッシェルさんに抱いている感情は恋愛なのだろうか?
ジョセフが育ってきた境遇を考えると恋愛という物に対しての感覚が一般人とかけ離れているだろうことは間違いないし、恋愛的な熱情を向けているというのであれば小町小吉という人間に対する憧憬を含めそれが一番近かったような気がする。
欲ではなく情という点においては圧倒的なまでに。

だからこそ、いったい「何を」産んでほしいと思っているのかが怖いと思ってしまうのだ。

・俺たち
燈の希望と決意の表情とは対照的なジョセフの浮かない、というよりも心ここにあらずとでもいうべき表情よ。
艦長だったころの小吉と今の小吉が書かれているのに対して、ミッシェルさんは副長だったころの姿としてしか描かれていないのが気になるけれど多分気にしすぎなだけだとも思う。
小吉自身は敵の手に囚われていたこと、そして自分の為にかつての仲間が危険に晒されることを懸念して突き放していたものの、皆は艦長の為に戦うことを厭わず、そしてこれからも共に戦うことが出来るというその言葉。
小吉にとっては心強いものであり、彼の止まっていた時が再び動く際の門出に相応しいものだろう。
ただ、時計を動かさなければならなかったこの状況を考えれば決して手放しで喜べるようなものではないが、この状況でなければ彼が再び歩めることもまた無かったかもしれない。
平穏に満ちた中で、自分だけが安らぎを感じられるその中で、新たな生を見つけることはきっと難しかったろう。
自分を慕う者たちが、自分と未来を共にしてくれるという後進の者たちが背中を押してくれるからこそ彼はまた歩き始めることが出来るのではないだろうか。
再び歩くその道が例え平坦なものではなかったとしても、きっと独りで想い出だけを連れて歩くよりはずっといい。


・ジャパン・ランキング
マルコス、そういうこと言わない!!
でもそういうことをいうのは大事!!
確かに火星に行く際は各国からの精鋭という意味で世界を基準にしたランキングであり、それが日本という国に限定された点についてはM.O.手術という技術を本多博士の存在を通して自国のものとしていたこと、そしてテラフォーマーの存在を政府が正しく把握しており、かつそれへの対策方針を明確にしていたこと。
見つけたら速やかに「駆除」する必要性があるということを一警護という存在に徹底させていた、というよりも徹底することに長けた組織を軍とは違うところに作り上げていたというのは遊軍的な意味も含めての戦略の一環だったのだろう。
一郎の存在があればこその備え。
日本にしかできなかった備えであることを考えれば『ジャパン・ランキング』という名称になったことも当然というか、仕方のない事というか。
まあそれでも多国籍から一国のみの名称になればスケールダウン感は否めないから結局マルコスが正しい。

正直ランキングにする必要はあるのか?というレベルで人数も微妙であることは(仕方のない事とはいえ)間違いないので……。

・際疾い
ルビでは「やばい」となっているけれどもこの感じは本来「きわどい」と読むもの。
事態が不安定、危険な状態であることを指す言葉だけれどあえて七星に「やばい」と言わせているのは土竜連合の連中と知り合ったゆえに多少の感化あったのかもしれないなどと。
個人的に七星から見て斉藤くんたちのような存在は住む世界の違う人間であり、今まで関与したことのないタイプの人間だからこそ新鮮な影響を与えている可能性があるのでは?
まあ言い方を変えると今まで自分の中になかった語彙を使ってみたいとかそういう感情もあるかもしれない。
だとしたらちょっと可愛いな。

・全員
他国の人間を加えることに対する権限が果たして日本にあるのかという疑問はあるが、この戦争の中心がどこにあるのか、そしてその為に世界中からの軍が集結している現状であれば、特定の戦力を持った存在を一つの指揮系統にまとめる事に関して特に異を唱えるような存在も無いという判断だろう。
ただここにいない人間が少々気になる。
サムライソードに関しては今ハンニバルの元で闘っていることを闘っていることを考えればここにいないのは当然として、マーズ・ランキング8位の鬼塚慶次、ジャパン・ランキング4位の高橋舜という高位者二人がいないというには理由があるのだろう。
一番可能性が高いのはサムライソードへのバックアップ。
慶次の個に対する戦闘能力の高さは火星でも実証済みだし、高橋に関してはベースとなる生物がマッコウクジラであることを考えれば海水に囲まれている状況に対して何らかの有利性を発揮できるのではないかと。
もちろんサムライソード自身は独りですべてを済ませるつもりだろうし、もし慶次と高橋がついて行っているのであれば、彼女には知られないようにしているだろう。
そういう意味も含めてここに表記されていないだけなのだと信じたい。

というか#58の感想を書いていた時に「答え合わせは先になるとは思うけれど、それもまた楽しみにして待っています」と思っていたんですが、5年半待ったので、連載が再開したというだけで幸せ過ぎて答えを待つぐらいどうということも無い、というより答えが待てる状況というだけで最高だなという心持ちになっています。

メンタルは強くなるもの。

・軍神アレスと地母神ガイア
アレスは軍神であり闘いの神でありギリシャ神話において火星を司る神、ローマ神話でマルス(Mars、火星のマーズの語源)と言われている。
火星に神はいないと言われ続けていたこの世界で、火星を司る神を描写すること、そしてそこに燈が重ねられているということ。
彼の出自を考えれば「誰かの手で造られたもの」として火星に位置付けられるものなのかもしれない。
彼自身は闘いを望むわけではなくとも、彼が戦禍(タイトルでは戦火となっているがこの状況はむしろ戦禍という方が適切な気がするので)の中心の一つとして捉えられることは必然であり、そしてミッシェルさんもまた同様だろう。
2人がその生い立ちは違えど奇跡の遺伝子を持っているという点では同等なのだから。
だからこそミッシェルさんがガイア(大地、土、地球を意味する女神)に例えられ、そして対比として並べられている。
これは本来の神話に基づくものというよりは互いの持つ立場を象徴化したものと捉える方がしっくりくるだろう。
個人的にミッシェルさん自身のイメージでギリシャ神話の神に例えるのであれば、どちらかといえばアテナの方が似合うような気もするので。
闘いと知恵の女神の方が彼女らしいと思うんだよなあ。

・戦争の為の大地
火星編ではA.E.ウィルスのサンプルを採取するという名目と共に、各国の代理戦争の地という意味合いで火星という星がその地に選ばれた一面があったけれど、今回は異種族との戦争という状況で日本が選ばれている。
ただ『日本にしか無い』という言葉の真意はどこにあるのか。
#40でルークが言っていた『自分の味方を住ませてやりたい』という土地の一つに日本があげられており、当然その他の地名もありはしたものの最終的に日本という地に奴らは居を構えた。
他国ではダメだったその理由は単に多くの人間がすでに住んでいるからという単純な理由だけではないだろう。
それならば日本も条件としては同じはずだ。
テラフォーマーにとって日本を選ぶだけの理由、島国という海に囲まれたその環境と、多くの離島が存在することなどもあるだろうが、それだけであれば他の島国でも何ら問題はない。
国が栄えてきた場所を聖地という不確定な要素を含んだ言葉で説明するのであれば、確かに日本は一つの王朝(天皇制度を王朝として捉えるのであればだが)が統治し続けているという点において他国と比較して圧倒的な長さを誇る。
その安寧さが聖地の価値を高めているという評価になるのかはわからないが、もし何かを感じることがあるというのであれば要因の一つとしてもおかしくはない。
多少オカルトじみた事ではあるが、〈祈る者〉という人知の外にある存在であればこそ、そこに何らかの価値を見出したのだろうか。
正直いい迷惑だとしか言いようがないのもまた事実なのだけれど。

・BLUE for RED
タイトルでは日本語表記が「と」になっているが英語表記だとfor、青から赤へという意味合いになるがその辺はまあ言い回しの良さというのもあるのかもしれない。
地球から火星へ、という意味合いとして言葉の通り捉えるのであれば、それはテラフォーマー側の言葉とも、人間側の言葉とも取れる。
青き地球から赤き火星へ生命を送り込んだことが全ての始まりなのだから。
そしてそれは還ってくる。
かつては赤く、そして今は緑を持った星から、いまだ青く、けれど赤く染まるだろう星へ。
漆黒の眼に見定められながら。

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大丈夫?

文章これで大丈夫??

さすがにブランクありすぎて何一つ安心できる要素がないですなんかこう、多めに見てください。

 

次回の更新は4/25発売分とのことでまずはゆっくり再開して欲しいですね。

無理だけはなさらずお願いします…!

言うてるうちにもうこのブログ書き終わった次の日が更新なんですけどね。

ちんたらやってるからだよ!

あらすじ書いてたら間に合わないなと思って今回省きました。

もうブログの書き方どころか文章の書き方を思いだすところからというかテラフォの読み方を思い出すところからでした。

あと一応こう、言い訳をするならこっちもほら5年半ぶりということであと「あれこのシーンどうだっけ?」って読み返して「うわーテラフォおもしれー!」って読みふけって帰ってくる、ってパターンが3週間続いたからです。

5歳児か。

でもほら、面白いから…仕方ないかなって……。

3週間て速いな!

 

5年半もあればみなさん色々変わることもあると思うんですけど、ライフスタイルとか色々。

私はとりあえずサッカー以外にプロレスとルチャを見るようになったんですけど、デイヴス親子の戦いの解像度が爆上がりしました(報告)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5年半前の私へ。

まだJ2だぞ。