言葉は刃に等しいから
ひとこと ふたこと 際限なく
身体の芯まで突き刺さる
なかでも あなたの投げかける言葉は
特別 深く刺さりすぎて
そう簡単には抜けそうにない
鋭利で 冷たい 刃
あとどれくらいこの痛みに耐えれば
平気で受けとめられるようになるのかなあ・・・
言葉は刃に等しいから
ひとこと ふたこと 際限なく
身体の芯まで突き刺さる
なかでも あなたの投げかける言葉は
特別 深く刺さりすぎて
そう簡単には抜けそうにない
鋭利で 冷たい 刃
あとどれくらいこの痛みに耐えれば
平気で受けとめられるようになるのかなあ・・・
ゆらゆら ゆらゆら
理科の実験みたいに
上皿天秤の釣り合いがとれるよう
こころの微調節をする
思いやりをもう少し誰かに分けてあげて
その分 心の底からの笑いをちょびっといただこう
そうすると ほら
たちまち元気になった
犬が居る。
他人を見てやたらと吠えることもない、至って普通の、どこにでもいる日本犬だ。
ただ普通と違っていたのは、塀の上に登って、威風堂々たる姿でこっちを見下ろしていたことだった。
両足をしっかりと地面・・・ではなく塀の上で踏みしめて、その犬はあたしと目を合わせたまま逸らさない。
わずか数10センチの幅の先っちょにたたずんでいるその様子は、なぜかサモトラケのニケを思い出させた。
つい、本屋に行く途中だった足を止めて、あたしは犬と正面から向かい合う。
いや、ニケというよりむしろコマイヌだろう。何しろ本物の犬なんだし。
・・・ま、どっちでもいいか。
頭の中で、勝手なイメージ像がくるくる回る。
それにしても。
傍から見たら、何とも滑稽な状況に違いないだろう。
犬と人間が、種族の枠を超えてじっと見つめ合っているなんて。
テレビや新聞なんかでは、時々、高いところに登る妙な癖のある犬を取り上げているけれど。
実際そんな犬にお目にかかったのは、今日が初めてのことだった。
黒くてつぶらな瞳。
整った茶色の毛並み。
くりんときれいなカーブを描いたしっぽ。
どうしてだろう。
同じ姿形をしていても、人間の足元でまとわりついている時はただ「かわいい」だけなのに。
あたしよりも少し高い目線にいるこの犬は、確かにかわいいけれど、どこか高貴な雰囲気を漂わせている。
少し、犬に近づいてみた。
「ここから何が見えるの、ですか?」
・・・と言った後で、犬相手に敬語を使ってしまったことに失笑した。
でも、使わざるを得ないような雰囲気だったのだ、どういうわけか。
当然、あたしの質問に、犬は答えるわけもない。
バカと煙は高いところが好きとは言うけれど。
このわんこは世の中に何件かある例外で、常にこうして塀の上からあらゆるものを眺めているのだろう。
普段は、地上50センチ以下の世界。
でもここでなら、人間のつむじだって見下ろすことができる。
「そこ、居心地、いい、です、か?」
最早、敬語であることに違和感はなかった。
ただ、例えばクラスで一目置かれる存在の級友に話しかける時のような躊躇いというか戸惑いというか、まあそんなものが、彼または彼女とあたしの間に薄いバリアーを作っていたのは否めない。
たどたどしい言い方になってしまったのはそのせいだ。
やっぱり犬は、何も答えない。
彼または彼女は、一体ここで何を考えているのだろう。
何を思いながら、普段の何倍も高い目線から世界を眺めているのだろう。
その時、塀の向こう側のガラス戸が勢いよく開く音がした。
すると途端にわんこは、ぱっと飛び降り、おそらくは飼い主の方へ駆けていく。
・・・普段の、地上50センチ以下の世界に戻っちゃったんだ。
あっという間の様変わり、だ。
ふうっ・・・とあたしは息をつく。
ようやく、本屋に行くところだったことを思い出した。
踵をかえしてから、一度だけ後ろを振り返ってみる。
やっぱり彼または彼女は、もうそこにはいない。
きっと今頃、飼い主から頭をなでられて、ちぎれそうなくらいしっぽを振っているのだろう。
ようやくあのわんことの間の、バリアーが解けた気がした。
明日から3日間ほど
入院します。
あ、
たいしたことはないので
何も心配いりませんよ(*^.^*)
というわけで、
少しの間お留守にします♪