『脱・限界集落株式会社』 | 鞭声粛粛、夜本を読む

『脱・限界集落株式会社』

 

   『 脱・限界集落株式会社 』 (黒野伸一著、小学館、初版2014年11月)は、テレビドラマにもなった前作の一気読み小説 『 限界集落株式会社 』 (書評はhttp://ameblo.jp/benseishukushukuyoruyomu/entry-12080135409.html)の続編。前作ほどにドラマチックでなく、小説ふうの村おこし・町おこしパンフレットとしか思えませんでした。

  面白くない小説だ、とは言いませんが、全国の当事者には参考になるかもしれない、という程度の作品です。客ターゲットを絞った手堅い商品だとも思いましたが、パンフレット的な作りであることをあらかじめ帯にでも書いておいていただきたかった。

  ラストシーンはどんでん返しが用意され、温かい気持ちが読後に残りますが、現実の問題に肉薄しながら夢物語で終わったのは残念でした。実際はこうは上手くいかない。人口減少が続く中山間部や地域社会の立て直しと利権の激突は日本列島改造論にまでさかのぼります。みんながみんな、立場ごとに必死で、物事はそう簡単ではない。現実に沿った物語なのだから、最後までずけずけと書くべきだったと思います。だから登場人物の造型も甘い。