『僕と先輩のマジカル・ライフ』 | 鞭声粛粛、夜本を読む

『僕と先輩のマジカル・ライフ』

僕と先輩のマジカル・ライフ (角川文庫)/角川書店
¥580
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  非常に有名な児童文学作家で小学校の教師だった、はやみねかおる氏の一般向け小説 『 僕と先輩のマジカル・ライフ 』 (角川書店、2003年12月初版)はオススメの一作。中高年には懐かしい(はずの??)学生時代の雰囲気を、現代を舞台に器用に再現したコミカルタッチの物語で、品よく言葉遊びも繰り出し、実力派の腕が光っています。

サーチネタばれなしのあらすじ

  場所は海際の地方都市。晴れてM大学に入学した井上快人は、自力で生活費を稼ぎつつ勉学にいそしもうと、学生向け安下宿に入ることを決めた。先輩下宿生は変なのばかりで、とりわけ長曽我部先輩は一体何年生なのか誰も知らないし、オカルトにはまっている。

  おかしな事件が絶えず快人の身の回りで起きる。幼なじみの天然系で霊視能力者、川村春奈は暇さえあれば快人の下宿でごろごろするし…。

サーチ津市の三重大学?

  はやみねかおる氏は伊勢湾に面する津市の三重大学出身。本書の舞台であるM大学のモデルのようです。執筆に当たり、かつて生活した街を久しぶり調べに行ったことを末尾で書いています。あまりの変わりように驚いたものの、意外な遺物を見つけ写真に撮ったそうで、そうした記述一つ一つが実に平易な言葉で心に残る筆致です。  

過去の書評一覧は以下のURLから
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