破顔一笑 北穂高岳 | 根性なしの山登り

破顔一笑 北穂高岳


根性なしの山登り


                                                  (2011年8月)



友人の玉さんの今登ってみたい山BEST3は


穂高、槍ヶ岳、剱岳なんだそうです。


8月のお盆の時期に、是非その内の1つに行きたいとの


リクエストがありまして、


2年前に雨で企画倒れとなった涸沢 &北穂のリベンジが決定いたしました。


今年になって仕事の都合で登山をしていないたーさんも


久々の参加となります。





1日目




根性なしの山登り



前回は雨の中のスタートで意気消沈してしまいましたが


本日は、この玉さんの力強いポーズが全てを物語っております。


しかしたーさんはいつも記事で書いているように、


それほど山登りが好きではありませんので冷静です。




根性なしの山登り



本日は涸沢までですのでのんびりと行きます。


冒頭の明神岳や梓川も鮮やかです。




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横尾で休憩です。


いつものように3人バラバラで歩いておりますので


足の速い玉さんはたーさんの到着を待っています。


それにしても2年前に横尾で撮ったびしょ濡れの写真と比べると


何ともうれしそうな玉さんの顔。


本当に山登り好きなんですねえ。




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ここから登りが始まります。




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横尾橋を渡りアルペンの世界へ。





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屏風岩を左方に見ながら進みます。




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本谷橋で休憩します。


玉さん髪の毛薄くなったような・・・




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たーさんは本日ズラをかぶったような髪型をしておりますが


ズラ着用ではございません。




本谷橋を過ぎた辺りから雲が多くなってきます。


朝はあれだけ晴れていたのに。




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2年前は7月の登山でしたので、かなり下から雪が残っていたのですが


今回はかなり涸沢に近づくまで雪を見ませんでした。


明日登る北穂の南稜辺りでしきりにヘリが飛んでいます。


後で聞いたところ登山者が亡くなられていたとのこと。





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涸沢に近づく頃からポツポツと雨が降り出し


テントを設営する頃には本降りとなってしまいました。


それにしても、私はどうも涸沢との相性が良くないようで


通過を含めて今回4回目ですが快晴はまだ経験しておりません。





根性なしの山登り



夕方近くになり雨はやみました。


北穂方面には青空も望めますが、雲は厚そう。




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まったりと各々がテントライフを満喫します。


手前の大きい岩がテーブル代わりでなかなか便利です。




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夜は更けていきます。




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写真では分かりにくいですが、それはそれは星がきれいでした。




2日目





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きれいに焼けてはくれませんでしたが


青空が見えるのを良しとして北穂に向かいます。





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穂高に全く興味のないたーさんはテントでお留守番。


朝から携帯をいじっています。




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涸沢小屋を横目にしながら登ります。




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穂高の上部は雲にかかっています。 いやな予感が。




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鎖場を通過しまして、




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はしごもこなして南稜を行きます、が、




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北穂の分岐に到着する頃にはやはり雲の中。


この後、北穂高小屋のテラスで休んでいると雨が降り出してきました。


天候の回復を待って40分ものんびり待っていましたが


回復の兆しはありません。


私としては、このまま下山しても良いかなあなんて考えておりましたが


玉さんがそれを許してくれる筈もなく奥穂に向かって出発します。





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何も見えません。


また、雨なのでこの後殆ど写真を撮っておりません。




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D沢のコル付近? まだ残雪厚いですね。




この北穂~奥穂のコースは、まあまあ危険なコースです。


とくに雨の日は岩が滑るので要注意なのですが、


危険だから余計にでしょうか? 徐々に玉さんのテンションが高くなってきます。


うれしそうに濡れた岩場をすごいスピードで進んでいきます。




「山と渓谷」の「穂高縦走」のDVDを何回も見ていたんだそうです。


涸沢槍付近のはしごが現れたときなんかは


感極まって 「beno!ここだよ。ここ。DVDに出てたよ。」なんて叫びながら


これまたすごいスピードで登っていきます。


飛騨側から結構強い風が吹いてて恐かったんですけどね・・・





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涸沢岳の稜線を登りつめたところ。


以前登ったときも思いましたが、ここはスリルがあります。



しかし何も見えません。 ので、さっさと穂高岳山荘へ向かいます。





穂高岳山荘で休憩していると、玉さんからこの天気なので


奥穂には登らず下山しようという提案がありました。


ここまでの縦走で穂高を十分に満喫できたそうです。





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下山途中、急に雲がとれだし、涸沢が見通せるようになりました。


かなり先を歩いていた玉さんはうれしそうにこちらを振り返り


涸沢方面を指差します。  また、テンションが上がってきたみたい。


 



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このグレーと緑のコントラストが北アルプスなんだなあ。




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前穂北尾根。


挑戦したいが無理でしょう。




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奥穂山頂に晴れ間が見えます。


登れば良かったかなあ。 でもこの後また雨が降ったんですよね。




ザイテングラードから常念山脈がきれいに見えます。


常念岳のピラミダルな山容に感動した玉さんは


「秋の連休は常念で決まりだね。」と言っておりました。


剱は? 槍はどうするの?




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2日目の夜も更けていきます。


今日の山行に感動した玉さんは、その思いを一生懸命に


たーさんに伝えています。


伝える方も伝えられる方も楽しそうで、


友の楽しそうな様子を眺めているのも良いものです。





3日目





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パノラマコースで下山します。


屏風のコルまではなんとか天気もちましたが


その後は雨となりました。


パノラマコースは意外と岩の上を歩くことがあって滑り易くなっています。




また例の如く、3人バラバラで歩いていまして


私が2番目で歩いていますと、前方の登山道に玉さんが座り込んでおりまして


呆然とした顔つきをしております。


実は玉さん、75Lのザックが木に引っかかり、そのままバランス崩して


登山道から真っ逆さまに落ちたそうです。


幸いにも背中側から落ちたので、大きいザックがクッションとなって


怪我はありませんでした。


3Mぐらい滑落して、木の枝や草を掴んで止まったようです。


あまり速いスピードでおりるのも危険ですね。


怪我なくて良かったでした。




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徳澤方面。




そして、今度は遅れてくるたーさんを待っておりますと


これまたちょっと足元が覚束ないたーさんが、


真っ二つに折れたストックを持ったままやって来ました。


たーさんも濡れた岩の上で足を滑らし


背中から倒れそうになったところ、咄嗟に後にストックをついたところ


そのまま折れてしまったそうです。


頭の後には尖った岩があったそうでストックつかなかったら


直撃していたとのこと。


やはり雨だと危険は増しますね。





小さい事件はまだ続きます。


沢を横切るところで玉さんが私を待っておりまして


道がよくわからないとのこと。


沢の向こう側に道は見えるのですが


その沢がまるで道のように真っ直ぐ下っているので


分からなくなったそうです。


地図見ていれば分かるのですが、この辺が素人集団なんですね。


ということは、後から来るたーさんも迷うんじゃないか?


で、反対側の道の先で岩に座って待っていると、


たーさん来ました。 そして沢を下って行こうとします。


流石、たーさん期待通りの行動をとってくれました。





最後に、


徳澤園でブルーベリートーストを食べ


上高地までたらたらと歩いていきますと


小梨平のキャンプ場のベンチで


またまた、玉さんが上気した顔でたーさんと私を待っていました。


普通に待っているときと、何かが起こって待っているときとでは


顔つきが違うのがおもしろいのです・・・



玉さんは開口一番興奮しながら


「熊がでた!」と言うではありませんか。


明神から上高地の間で右側の茂みがガサガサしだして


玉さん含めて登山客、観光客の動きが止まったところ


熊が道を横切って左側の茂みに消えていったそうです。


そこに居合わせた人達は


「今のは何だったんでしょうか?」


「いいい、犬ですかね。」


「いいい、イノシシですかね。」


と、分かっているのにその瞬間は現実を認めたがらないそうです。


熊と認め合った後は、どことなく寄りそってみんな歩いてきたそうです。


いやあ貴重な経験ができて玉さんうらやましい。






上高地で玉さんは無事下山したことを


電話で奥さんのかえでさんに伝えていまして、



玉さん 「今、下山したから。」


かえでさん 「○○○」 (電話だから会話聞こえません。)


玉さん 「熊だよ。熊に会ったよ。」 (ちょっと興奮気味)


かえでさん 「×××」 (電話だから会話聞こえません。)


玉さん 「よかったねじゃないだろう。吃驚したんだぞ。」


と言いながらも玉さんどこかうれしそう。


かえでさんも嘘でもいいからもっと心配してるような


コメントしてあげて下さい。 もうすぐ老夫婦の域に達するんですから。






いろいろあって本当にいい山でした。