6月12日、川崎。17時半、私は競馬場のゲートをくぐった。
川崎競馬場に来たのは初めてのことだ。最後に競馬場に行ったのは、確か1992年の府中、ダービー開催の日だ。ミホノブルボンが勝利し、2着にライスシャワーが飛び込んで300倍近い配当となった日。つまり23年ぶりの競馬場になる。
成澤大輔が逝って約100日。この日は彼を偲んでのレースが行われる。第七レースに冠されたのは『ダビスタ伝道師 成澤大輔よ永遠に』というタイトルだ。競馬を通じて交流のあった方々が個人協賛して開催される。これを見に来た。
パドックの掲示板に映し出された成澤大輔の名。11頭立てのレースは18時30分に発走予定。
4番フェイストライがやる気を漲らせてパドックを歩く。ダービースタリオン開発者の薗部博之氏が馬主であるバランスオブゲーム産駒。縁で言えば無視できない。買おう。
本命視しているのは10番ツルノミカド。この日は午前中の雨でダートコースは稍重。この馬は重馬場でも好成績を出している。
そして気になるのは11番アールゴロマキ。浦和での前走1着というのもあるが、昔成澤と『あしたのジョー』の話をしててゴロマキ権藤の話題が出たような記憶がある。きっとゴロマキは頑張る。
誘導馬が愛想を振りまきつつ退場。いよいよスタート間近。
巨大ビジョンにこの名が映る。見えているかい大将。
各馬一斉にスタート。
スタートダッシュを決めたのは10番。4番11番が続く。イイネイイネ！
200m通過！ 先頭は10番。4番も11番もまだいい位置にいる。ここからコース1200mを一周して、再びこの位置で勝者が決まる。
向こう正面、大型ビジョン前。10番4番まだ粘っている。11番のピンクの帽子も見える。いいぞイイゾ～。
最終コーナーを回ってェ～……あれ？ 4番フェイストライの青い帽子が馬群に沈んでないですか？
代わりに外からノーチェックだった緑の帽子が駆け上がってくる！ 7番ゴールドキャサリン？
期待通り10番ツルノミカドが先行逃げ切って1着ゴール！
そして2着には7番ゴールドキャサリン。3着がアールゴロマキ。ええっと、それってどういうことだってばよ？
7番を完全無視した買い方をしたため馬連枠連玉砕ッ！ ゴロマキに期待して300円だけ買った複勝（3着までに入れば当たり）が3.8倍の戻しだよやったね！ えっ？ 今は1着3着でも当たりになるワイドって馬券があるの？ 知らんがな！ 無とはいったい…うごごご!
薄暮の中、浮かび上がるスタンド。ライスシャワーが予後不良で死んでから、もうやらないと思っていた競馬をやったよ、成ちゃん。最後に行ったダービーも君と一緒だったなあ。
いいレースだったよ。久しぶりの競馬場も楽しかった。皆の追悼の想い、届いているといいな。
ではまた次回。