旅に幻滅していた。
初めての一人旅の、初めての失敗。
まさかこんなかたちでアルヘシラスへ戻る
ことになるとは。
フェリーの汽笛すら疎ましかった。
思い返すごとに、憎らしくなる。
そして、自分の弱さに。
モロッコのにおいのするアルヘシラスには、
いたくなかったので、夜だったが、
すぐにカディスへ移動した。
T.G COMES S・Aのバスで1135ペセタ。
最終バスだった。
本来なら、『カディスの赤い星』を読んでいたこともあり、
訪れてみたい都市。ワクワクするはずだったが、
全く心は浮き立たないまま、ペンションに泊まった。
旅は、まだ半分にも到っていなかった。