実際、監禁状態に近いものだった。
買わなければ、入り口を開けないという
お土産屋が、かつてはアジア諸国では
ツアーですらあったけれど、
ここには、緊迫感あった。
自分がどこにいるのかさえ、わからなかった。
今となれば、この状況になっても、どんな形でも、
何も買わずに出ることができるだろう。
初めての一人旅での勉強料だったんだ。
そこからは、旅の高揚感とは対称的な心境だった。
虚脱感にうなだれた。
そこに、自称学生が戻ってきて、
送るとのことだった。
乗合タクシーからの景色がモノクロになっていた。
全く心躍らない。
さらに、追い討ちをかけるように、
自称学生は、ガイド料を請求してきた。
最弱になっていた僕は、そのガイド料すら払った。
とにかく、このモロッコという国から離れたかった。
こういう日本人がいるから、駄目なんだ!と声が
聞こえそうだな。