小さな小さな部屋だった。

ベルベルの慣わしで、紅茶がふるまわれた。

ベルベル商人の家だった。

そして、始まった。

次から次に出てくる絨毯。

ライターで火をつけて、これが化繊でないことを

証明する!と。 

なんのことかわからなかった。

わかる頃には、その相手の表情が変わっていた。

猛禽のような狡猾な表情だった。

先ほどまでいた、自称学生の彼はいなかった。


その時の僕はの気持ちはというと。

今でもはっきり覚えているんだけれけど、

早くこの場から離れることができるなら、

適当に絨毯を買って、逃げ出したかったんだ。

そして、1枚のカラフルな絨毯を選んだ。

不思議と値段は憶えていない。

けしてしまいたい記憶だからだろうか?