勉強になるから、と連れて行ってもらったのが昨年の春だった。
山口小夜子展
未来を着る人
@現代美術館
初めて、山口小夜子さんという女性を知った。
当時。日本人なら誰でも知っている、世界ののトップモデルだったという、小夜子さんのことを母にも聞いてみた。
4人の子育てに追われ、当時のメディアや流行の記憶がほとんどないという母でも、ももちろん知っているよという答えだった。
黒髪、ぱっつん、凛とした表情。
日本人の個性と、女性らしい強さを最大限に表現した作品がたくさんみられた。
彼女のアイラインからは、強さ以外にも孤独で冷たい印象を受けたことを覚えている。
ステージでの小夜子さんは、ウォーキングだけに囚われることなく、全身を使った表現であった。
ファッションショーといえば、ウォーキング、ポージング、それだけでは物足りないとSpininGReenモデルダンスチームを作った私は、ずっと昔にこんなことをしている人が居たんだ、
軽率にも、私いま同じことしている!とすごく気持ちが高まった。
山口小夜子さんという女性を好きにはなれなかったけど、表現者としてとても強い印象を持ち帰った。
それから季節が過ぎて秋頃…
小夜子さんの映画があるということで観に行った。
【氷の花火】山口小夜子
@渋谷イメージフォーラム
FROZEN FIREWORKS
THE LEGENDARY JAPANESE MODEL
SAYOKO YAMAGUCHI
山口小夜子展では朗読劇での彼女の声しか知ることが出来なかったけど、映画の中では小夜子さんがお話している素の表情、声などを知ることが出来た。
ツンケンしただけの女性だと思っていた彼女はとても繊細な表情を持っていて、細くて綺麗な声に、可愛い鼻、まっすぐ見つめる目線はとても可愛らしかった。
初めて山口小夜子さんを心底美しいと思った。
モデルとしてのパリコレを離れてからの小夜子さんは、コンテンポラリーのようなダンス、DJ、朗読劇、亡くなった年には映画の製作も控えていたようで、表現を追求し続ける勢いに圧倒された。
もっと小夜子さんについて知りたい!という気持ちで胸がいっぱいになった私は、パンフレットを握りしめたまま余韻に浸り、明治通りのレンガの上を歩いて帰った記憶がある。
そして今回、2度目の「氷の花火」を観ることができた。
一緒に観に行った方が、生前の小夜子さんを知る方で、今では販売されていない本と写真集を私にプレゼントしてくださったところで
「それメイクしたの、私よ!」
と後ろから声をかけてくださったのが、映画の中にも出てこられる当時のヘアメイク富川栄さん。
たまたまお席が前後だったようで、とってもびっくり嬉しいハプニングだった。
あのアイラインは、富川さんと小夜子さんが創り上げた衣装ひとつなんだと思うと、メイクも着ることが出来る、ファッションの一部になり、それが小夜子ラインというブランドに成っていったのだろう。
小夜子さんがトップモデルでありながら表現者としてジャンルを問わずに表現し続け、進化していく姿は本当にかっこいい。
2回目の映画を見て、前回よりも深く観ることができた。
そしてもっと小夜子さんを好きになった。
アフタートークショーで、松本監督にひとつ質問をした。
「この映画の中で、小夜子さんがお食事をされているシーン、トレーニングをされるシーンなどはないですが、晩年美しい身体をキープされていて素敵だなと思っていました。
小夜子さんが美容や健康について日々気をつけていた事や行っていたことなどはあったのでしょうか?」
松本監督はこう答えてくださった。
「確か、亡くなる10年前ほどからはベジタリアンでしたね。でも、お仕事の打ち上げではイタリアンレストランでお食事をすることもありました。
若い頃は何でもよく食べたと聞きますが、晩年はお肉やお魚などはあまり食べないようにして、身体をキープするために気をつけていたのだと思いますよ。」
40代、50代と歳を重ねても美しく居られる人は、やっぱり努力をしているのですね。
私はどうしても、いつまでも美しく進化し続ける小夜子さんの謎を知りたかった。
そして、60代、70代になった小夜子さんはいまどんなに美しい姿で表現を続けていらっしゃるのか、いまとても知りたい。
天国のどこかのステージで小夜子ショーを行っていることを願って…