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菅直人首相の退陣“ほのめかし”発言は、民主党の枝野幸男官房長官、仙谷由人正副官房長官、岡田克也幹事長ら政府・民主党の幹部が仕組んだ、巧妙な戦術だったことが4日までに明らかになった。鳩山由紀夫前首相が首相との直接会談で取りつけた“言質”であればこそ、小沢一郎元代表の反菅グループも、自主投票に方向転換したが、首相サイドが1枚も2枚も上手だったのか。東日本大震災の被災者そっちのけで繰り広げられた、豪腕&ルーピーと、ペテン師の化かし合いの真相とは-。

 「許し難いペテン師」


 「男として、人間として、あるまじき態度」


 不信任案否決から一夜明けた3日、夕刊フジの単独インタビューに応じた鳩山氏は、“合意”したはずの退陣時期を先延ばしする菅首相の姿勢を厳しく断じたが、すべてはあとの祭り。


 小沢、鳩山両氏を中心に展開したはずの、内閣不信任案採決をめぐる攻防。否決に大きく響いた首相の「退陣発言」や、日付もない“合意文書”の署名拒否も、すべては菅首相を中心とする政府・民主党執行部の筋書き通りだった。


 1日夜、小沢氏と小沢氏に近い議員計71人は都内のホテルに結集し、「不信任案可決」に向けて気勢をあげていた。鳩山氏も賛成票を投じる意志を固めるなど、その数は次第に増え、メディアでは、可決に必要な造反数81を突破するのではとの見方も出始めていた。


 同じ1日夜、事態を深刻に受け止めた岡田氏、枝野氏、仙谷氏ら政府・民主党の幹部10人が集まり、必死に、票読みと対抗策を練っていた。


 衆院の民主党会派はその時点で305人。53人までなら、議員が欠けても委員長ポストを独占し、委員数でも野党を下回らない安定多数252人を維持できる。


 「造反が40~50人までなら、不信任案の賛成者を即日除籍の厳罰処分とする“小沢切り”が決まった」(政府筋)


 しかし、小沢グループら“反乱軍”の勢力が67人を超えた場合、衆院の単独過半数を失うことになることから、採決ギリギリまで反対に転じるよう説得する方針も確認。作戦として、不信任案の採決が行われる2日の衆院本会議後に、臨時閣議の開催を決定した。


 「可決すれば最後の切り札である衆院の解散を断行すると確認する閣議-と連想させようとしたのです」(同)


 そして浮上したのが、“造反予備軍”の軟化を誘う手段として、採決直前、2日昼の党代議士会で、菅首相が「退陣」をほのめかすという案だったのだ。


 反乱軍や反乱予備軍の軟化を狙うメンバーらは首相発言の内容を調整。最後は菅首相自ら筆を入れたうえで、合意文書とはまったく無関係に、同日朝、芝博一首相補佐官から岡田氏らにメール送信されていた。


 この時、首相が信頼する北沢俊美防衛相や、鳩山氏に近い平野博文元官房長官は、同時進行状態で、まったく別の動きを見せていた。


 後に首相と鳩山氏の間で交わす3項目の「確認事項」の文案を作成していたが、岡田氏、枝野氏らの動きは知らなかった。


 「2人は鳩山氏の不信任案賛成の表明で、党分裂の危機感を強く抱き、文書合意による首相退陣と引き換えの不信任案反対という筋書きの素案を作った実動部隊。文案作成は、皮肉にも幹部10人の会議が行われていた1日夜、同じホテルの別室で行われており、結果として、幹部らの反乱軍懐柔作戦を補強するための文書を、彼らのすぐ側でせっせと作成していたことになる」(民主党中堅議員)


 同日午前11時すぎ。鳩山氏が平野氏を伴って官邸に文書を持参。首相は立会人として岡田氏を呼んだ。すでに、退陣“ほのめかし”発言による延命の筋書きが出来上がっていた首相にとって、退陣の文言も日付もない文書は正しく渡りに船の存在。高笑いをこらえる様子が目に浮かぶようだ。


 署名と引き換えに、不信任案反対の呼びかけを持ちかける鳩山氏に対し、首相は、「2人の信頼関係の中ですから(署名がなくとも)まったく問題ありません」とピシャリ。鳩山氏が折れた瞬間、首相の延命は完全に決定づけられた。


 こうして迎えた2日正午の党代議士会。合意文書とは無関係に、退陣“ほのめかし”発言を行った首相に対し、鳩山氏は合意文書が前提であると妄信し、反対票の投票を呼びかけ。小沢氏の自主投票発言も相まって、流れは幹部の読み通り一気に不信任案反対へ加速し、否決に舵が切られたのだ。


 巧妙なワナとも言える仕掛け。その後の首相の豹変を見抜いた人物もいる。野党多数の参院の円滑運営のために、首相が身を引くことを期待していた輿石東参院議員会長は、首相が最後まで退陣時期を明確にしなかったことを確認すると、電話で平野氏を怒鳴り上げたという。しかし、時遅しだった。


*早い話 詐欺師がペテン師に騙されたって 事だね。