<関係法令>
◎法体系
労働安全衛生法 > 同施行令 > 電離放射線障害防止規則 > 諸告示
◎電離則の基本原理
事業者は労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない。
◎電離放射線の定義
以下の粒子線または電磁波
1.アルファ線、重陽子線、陽子線
2.ベータ線、電子線
3.中性子線
4.ガンマ線、エックス線
◎放射線業務の定義
・エックス線装置の使用またはエックス線の発生を伴う当該装置の検査の業務
・荷電粒子を加速する装置の使用または電離放射線の発生を伴う検査の業務
・エックス線管もしくはケノトロンのガス抜きまたはエックス線の発生を伴う当該装置の検査の業務
など
◎管理区域
・1.3mSv/3ヶ月 を超えるおそれのある区域
・管理区域内で労働者が常時立ち入る場所は、1mSv/週 以下
・1cm線量当量で算定
・以下を掲示する
1.測定器の装着に関する注意事項
2.放射性物質の取扱上の注意事項
3.事故時の応急の措置
◎被ばく限度 (重要)
ここで、「男性」とは、男性および妊娠する可能性がないと診断された女性を含む
また、「女性」とは妊娠する可能性があるものを指し、妊娠中は別途、「妊婦」と呼ぶ。
・実効線量限度
男性:100mSV/5年 かつ 50mSv/年
女性:5mSv/3ヶ月
・眼の水晶体:150mSv/年
・皮膚:500mSv/年
・妊婦の腹部表面:2mSv/妊娠中
・妊婦の内部被ばく:1mSv/妊娠中
・緊急作業時
・実効線量限度:100mSv
・眼の水晶体:300mSv
・皮膚:1Sv
◎放射線測定器の装着部位
男性:胸部+α
女性:腹部+α
ここで、αのうち、最も被ばくする部分が手指の場合に限っては、
α=手指+その次に被ばくする部分 である
◎測定結果の確認
・記録は30年間保存
・1mSv/日 を超えるおそれのある者は毎日確認
◎測定結果の記録内容
・男性:3ヶ月ごと、1年ごと、5年ごとの合計
ただし、5年ごとの記録については、その期間中、一度も 20mSv/年 を超えていなければ不要
・女性:1ヶ月ごと、3ヶ月ごと、1年ごとの合計
ただし、1ヶ月ごとの記録については、1.7mSv/月 を超えるおそれがないならば不要
・妊婦:1ヶ月ごと、妊娠中合計
ただし、測定は内部被ばくと腹部表面の外部被ばくの両方行う
・人体の組織別の等価線量:3ヶ月ごと、1年ごと
◎特定エックス線装置
・10kV以上の装置
ただし、研究・教育用途でその度に組み立てるタイプと、厚生労働大臣が指定する一部の医療用のものは除く
・「エックス線装置構造規格」が適用される
・表示事項
1.定格出力
2.型式
3.製造者名
4.製造年月 を装置の見やすい位置に
・照射筒(コリメータ、スリット、ピンホール、しぼり)を設ける
・ろ過板を設ける
ただし、軟線が作業の性質上必要ならば不要
◎間接撮影時の注意
・照射野が受像面を超えてはならない
・受像器の1次防護遮へい体は、装置表面から10cmの距離における空気カーマが1.0μGy/回 以下になるように
・被照射体の周囲には箱状の遮へい物を設け、その遮へい物から10cmの距離における空気カーマが1.0μGy/回 以下になるように
◎透視時の注意
・照射野が受像面を超えてはならない
・作業者が作業場でエックス線の発生を止め、またはこれを遮へいすることができるように
・定格の2倍以上の電流が流れたときは自動的に回路を開放位にする仕組みを設ける
・被照射体の周囲には利用線錘以外のエックス線を有効に遮へいできる設備を設ける
◎放射線装置室
・以下の装置を設置するには専用の室を設ける
1.エックス線装置
2.荷電粒子を加速する装置
3.エックス線管もしくはケノトロンのガス抜きまたはエックス線の発生を伴う当該装置の検査を行う装置
4.放射性物質を装備している装置
ただし、以下の場合は装置室は不要
1.20μSv/h を超えない遮へい構造のある装置
2.随時移動させて使う装置
3.室内に置くことで著しくその使用目的を妨げるあるいは設置が作業の性質上困難な場合
・装置室を設置、移転、改造するときは工事開始の30日前までに所轄労働基準監督署長に届出
・放射線と関係ない機器は室内では使用してはならない
◎警報装置
・装置に電力が供給されているとき、または照射中はその旨を自動の警報装置で労働者へ周知させる
ただし、以下の場合は、自動でなくてもよい。(周知は必須)
1.装置室の外で使用するとき
2.150kV以下の装置
3.放射能が400GBq未満のもの
また、以下の場合は、自動警報装置に加えて、装置室の出入り口にインターロックが必要
1.荷電粒子を加速する装置
2.放射能が100TBq以上のもの
◎立入禁止区域
・エックス線管の焦点等から、5m以内 かつ、1mSv/週を超えるエリア
・立入禁止区域はその旨を標識で周知させる
◎緊急退避
・以下の事態が生じた場合、労働者を、15mSv/被害 を超えるおそれのある区域から直ちに退避させる
1.遮へい物が放射性物質の取扱中に破損した場合
2.照射中に破損し、かつ、その照射を直ちに停止できない場合
・その区域は標識で明示する
・その後その区域へ入れるのは緊急作業に従事する労働者のみ
◎事故の報告
・事故が発生したら、所轄労働基準監督署長へ報告
・以下に該当するものを速やかに医師の診察または処置を受けさせる
1.要退避区域内にいた者
2.被ばく限度を超えたもの
3.放射性物質を誤吸入、誤飲したもの など
◎事故の記録
・以下を記録し、5年間保存
1.退避区域内にいたり、緊急作業を行った労働者の被った実効線量
2.同、水晶体と皮膚に受けた等価線量
3.事故発生日時・場所
4.事故原因・状況
5.放射線による障害の発生状況
6.事業者がとった応急の措置
◎エックス線作業主任者の選任
・以下の場合、選任が必要
1.エックス線装置の使用またはエックス線の発生を伴う当該装置の検査の業務
2.エックス線管もしくはケノトロンのガス抜きまたはエックス線の発生を伴うこれらの検査の業務
ただし、1000kV以上の装置および医療用装置については不要(別資格の領域)
・所轄労働基準監督署長への報告は不要
◎エックス線作業主任者の職務
1.管理区域、立入禁止区域の標識が規定に適合して設けられるように措置する
2.照射筒・ろ過板が適切に使用されるように措置する
3.間接撮影・透視に規定する措置を講ずる
4.特定エックス線装置の室外使用時に、放射線を労働者が立ち入らない方向に照射しまたは遮へいする措置を講ずる
5.自動警報装置が規定通りか点検する
6.照射開始前および照射中、立入禁止区域に人がいないことを確認する
7.放射線測定器が規定通りに装着されているか点検する
・作業場の見やすい位置に、以下を掲示し、労働者に周知させる
1.エックス線作業主任者の氏名
2.エックス線作業主任者の職務事項
◎業務従事者への教育
・透過写真撮影作業を行う労働者には以下の特別教育を行う
1.透過写真の撮影作業の方法
2.エックス線装置またはガンマ線装置の構造および取扱方法
3.電離放射線の生体に与える影響
4.関係法令
◎作業環境測定
・管理区域、放射性物質取扱室などはこれを実施する
・測定は「作業環境測定基準」に従う
・原則、1ヶ月以内ごとに1回 行う
ただし、固定使用でかつ、使用方法等が変わっていなければ6ヶ月以内ごとに1回 行う
・以下の事項を記録する
1.測定日時
2.測定方法
3.測定器の種類、型式、性能
4.測定箇所
5.測定条件
6.測定結果
7.測定実施者の氏名
8.測定結果に基づいて実施した措置の概要
・記録は、5年間保存する
・測定結果は見やすい位置へ掲示するなどして周知させる
◎健康診断
・常時業務従事者で管理区域に立ち入る者に対して、
・雇い入れ時、または、当該業務に配置換えの時、(以上、非定期)
プラス、その後6ヶ月以内ごとに1回(定期) 実施
・以下の項目について実施する
1.被ばく歴の有無(省略不可!)
2.白血球数、白血球百分率
3.赤血球数、血色素量またはヘマトクリット値
4.白内障
5.皮膚
ただし、「4.白内障」の検査は、非定期診断では省略可能
また、2~5も、定期診断においては以下の場合に省略可能
1.医師が不要と言った場合
2.検査の日が属する年の前年1年間が5mSvを超えず、かつ、検査の日が属する年1年間も5mSvを超えるおそれのない者で、医師が特段必要と言わない場合
・記録は原則30年間保存
・診断日(診断結果証明書発行日)から3ヶ月以内に医師の意見聴取を行い、診断個人票に記載
・健康診断結果報告書は遅滞なく、所轄労働基準監督署長に提出
◎総括安全衛生管理者
・製造業では常時労働者300人以上の事業場に必要
・選任は、選任すべき事由の発生日から14日以内
・選任報告を、所轄労働基準監督署長へ遅滞なく行う
◎衛生管理者
・以下のとおり、衛生管理者を設置する
常時労働者50~200人:衛生管理者1名
常時労働者201~500人:衛生管理者2名
常時労働者501~1000人:衛生管理者3名
ただし、常時労働者501~1000人の場合であって、有害業務従事者を30人以上含んでいる場合には、3名のうち1名は専任、かつ、1名は衛生工学衛生管理者
また、第2種衛生管理者免許者は、製造業の場合には設置不可(第1種である必要がある)
◎産業医
・常時労働者50人以上の事業場に設置義務
・有害業務従事者が500人以上いる場合は、専任
◎衛生委員会
・常時労働者50人以上の事業場に設置義務
◎安全衛生推進者
・常時労働者10~49人の事業場に設置義務