このスペクトルをみると目の前にあるAFNの放送波より、954 kHzのTBS(JOKR)や、1134 kHzの文化放送(JOQR)の方が強くみえます。 電力表示なので、 10 dBm 違うと 10倍、 20 dBm 違うと 100倍、 電力が異なります。
そこで、「AFNは目の前にあるアンテナから本当に放送しているか?」との疑問がわきました。
その疑問を解消するため、MTB(マウンティンバイク)に乗って、小型受信機(AOR AR8000)と、方位磁石(コンパス)と地図をもって、市内の3ヵ所でこのAFNの放送電波の送信アンテナを探すことにしました。方法は、 受信機のバーアンテナの指向性(8の字特性)を利用して送信アンテナのある方向に本体を向け、その方位角をコンパスで読み取ることです。なるべく見晴らしが良く建物が周囲に無い場所を選びます。その一つが和光樹林公園です。
今日は、朝から花火の空砲の音が鳴り響き、なにかのイベントがあったようで沢山人が集まっていました。道路も出店が出ているところは、人でいっぱいで走れないので、MTBの特性を生かし、道なき道を進み、やっといい場所にだとりつきました。MTBから降りて、受信機で放送アンテナの方向を探し、コンパスで方位を読み取り、ノートに記録します。この受信機 AR8000(0.5MHz~1.9 GHz)は17年前のもので、AFNではなく、FEN (Far East Network)として、あらかじめめメモリーに登録されていました。非常に電波が強いので、アッテネータを使用します。受信機を少しづつ水平に回転させてSメータで信号をみながら、アンテナの方向に精度よく向けます。(Sメータが最大か、最小か、分かりやすいほうに向けます) その後、コンパスで方位角を測定します。(10°ぐれらいの精度で測定)
これで、地図に直線が一本引けます。地軸の北極と磁北の偏差(約7°)を補正します。離れた別の場所でも同様に送信アンテナの方向を測定します。ちなみに、最初に行った場所は、外環測道の新倉の高台で、氷川神社のすぐそばです。毎年初詣で通る道で見晴らしがとても良いところです。
それで地図に直線を引くと、交わったところが放送アンテナの方向です。その結果、和光市の理研の南側に隣接するAFNの送信アンテナ施設と誤差の範囲で一致しました。(今回は、小型コンパスを使って方位角を読むので、方位角の精度はせいぜい ±10°位です)
やはり理化学研究所のすぐ南のAFNのアンテナ施設から 810 kHzの AFNのラジオ放送波が送信されていました。このAFNのアンテナの南側の道路を一回りしてみます。アンテナが2本あるのは、フェーズドアレー給電で、米軍関係者の多い神奈川方面に指向性持たすためです。
もういちど、研究所にもどってスペアナで電波を測定します。今度はバッテリー駆動にして、建物の屋外のAFNとの境界のフェンスの近くで測定します。天気も良くなり、誰もいないので、この際フェンスを乗り越え米軍基地内に入ってしまいたい、という誘惑が湧いてきましたが、なんとかそれに打ち勝って、捕まらずに測定しました。 ちなみに、本日は休日で、今日は仕事ではなく、自己研鑽です。
その結果、屋外では以下のようなスペクトルが測定され、目の前にある、AFNの放送波が、一番電界強度が大きいことがわかりました。鉄筋コンクリートのビルの屋内では電波はかなり遮蔽されてしいます。こんなの、基礎の中の基礎ですが、いまさらながら、、、
ただ、室内と屋外とで 他局と比べてAFN (810 kHz)の差が極めて大きいので、これは偶然なのか、理由があるのかは検討中です。 PS: 送信アンテナの直ぐちかくにもかかわらず、あまりにも電界強度が弱いのは、送信に使用している2本のフェーズドアレーアンテナせいで、測定した理研RIBF棟近傍では位相が打ち消し合って弱くなっているような気がするので、図面で確認してみます。