キミノマニア


劇団☆新感線2012年春興行

いのうえ歌舞伎「シレンとラギ」

公式⇒http://www.shiren-to-ragi.com/


作:中島かずき

演出:いのうえひでのり

出演:藤原竜也/永作博美/高橋克実/三宅弘城

北村有起哉/橋本じゅん/高田聖子/粟根まこと/古田新太 ほか



以前「そろそろ堺雅人あたりが出ないだろうか」と呟いたら「蛮幽鬼」が発表され、今回は「そろそろ竜也が出てくれてもいいよねー」と呟いたらこの作品が発表された。


わたし、新感線にシンクロしているのかしら(笑)


でも、新感線のすべての公演を観ているわけではなくて、ゲストの役者さんが好きな方の時だけなんで、劇団のファンの方には石投げられそうですが・・・。


とりあえず、呟いたくらいなので行かないと、チケットゲット。


1日の夜に行ってきました。


おお、やはり3時間超えか。


キャラメルなんかの、休憩は無しで2時間ってタイプに慣れ始めていたので、この長丁場だけが少し不安。


でも、観はじめてしまえば不安に思う暇もないので( ´艸`)


元々どんな芝居でも、あまり事前に評価や感想をチェックしたりはしないのですが、かといって完全にシャットアウトなんてできるはずもなく。


内容的には「オイディプス王」のような、ということだけは入っていました。


ということで、シレンとラギの悲恋の意味は早々にわかってしまい(^◇^;)


ああ・・・なるほど。


「父を殺し、母と交わる」という予言を恐れ国を出たオイディプス。


でも、己の出自を知らないオイディプスは予言からは逃れることはできず、結局そのすべてが成就してしまう話でしたが。


この芝居もまた「自分の出自を知らない」ラギ(藤原竜也)が結果的に「父を殺し、母と交わる」話になっていました。


父と思っていた人が養父であり、敵と思っていた人が父で。


亡くしたと思っていた母は、養母であり、初めて心から愛し求めた人が母だった。


悲しく重く痛いお話でしたが、絶望の中にある希望の一滴を見出したシレンとラギが、血の道を行くラストは、とてもよかった。


シレンがラギを呼ぶ声に「それは、母として?それとも女として?」


そう問いかけるラギが切ない。


竜也さんの声は、本当に切ない。


その問いかけだけで泣きそうになります。


暗殺者の一族に生まれたシレンの強い生き方にほのかな尊敬の気持ちを抱きながらも、そんな彼女を幸せにしたい、自分が変えてみせる、そうシレンをかき口説くラギの真っ直ぐな情熱が、見ているこちらの絶句を誘う。


あんなに強く熱く真っ直ぐに向かって来られて、落ちない女はいなかろうよ・・・。


シレンの苦しみは、知らぬこととはいえ、産んだ子を男として愛した禁忌。


暗殺者・狼蘭の一族として、血塗られた道を歩くことしかできない悲しみ。


飲み込まれ、動けなくなりそうになりながらも、自決のできない一族の血が、彼女をある意味立ち直らせた。


そんなシレンを、永作さんがとても美しく演じてらして、あの華奢な体のどこからそんな強さが迸るのかと、感動さえ覚えた。


とても美しい2人だけど、何となく顔立ちが似ていて。


そういう役者を使っているカラクリもなおニクイ演出か。


新感線のみなさんは、もう安定感のカタマリ。


ゲストの高橋克実氏は圧巻。


悪役のカッツーミーなんて初めて見たよ(笑)


あれからもう胡麻麦茶のCMを見ても怖いよ。


北村有起哉氏は相変わらずイイオトコ。


ちょっと立ち位置がわからない部分があったけど、それは彼が・・・というより脚本かしらね。



金曜の夜に恐ろしいものを観てしまった(^◇^;)


翌日がミッチーで本当によかった。


次の観劇は・・・なんだろ。


萬斎さんかな。「藪原検校」


あ!その前に白石加代子さんの「百物語」行くんだった。


し・・・幸せな展開の舞台が見たいぞ(笑)


百物語も藪原も怪談だわ極悪非道な悪役萬斎だわ・・・。


いいんだけど。


観たいから行くんだけど。


こんな風に重なると、ちょっと辛いぜ_| ̄|○