ブログネタ:
一生に一度は行きたいところは? 参加中
いい歳ぶっこいちゃって
よく行くコンビニのメガネっ娘店員に
ほのかな恋心を抱いちゃってる
子供の頃にテレビで見た映画
『震える舌』が軽いトラウマの
青春のバカヤローこと汚れた英雄
ねこメたる番長です
一生に一度は行きたいところねぇ
そういや一度は行きたいどころか
俺には一年に何度も行っていた所がある
それは長野県の松本市
天守が国宝にもなっている松本城
通称 烏城と呼ばれている松本城へ
俺は一年に何回も行っていたんだよ
敢えて行っていたっていう
過去形にしたのには訳があって
かれこれ十五年以上も昔の話だし
今は全然行っていないからだ
松本城は全国でも数少ない
国宝に指定されているお城
確か四つのうちの一つだったかな
何で俺が若い頃
何回も松本城に足を運んだかというと
・暇だったから
・城が好きだったから
・ある事に夢中になっていたから
まぁ理由としちゃこんな感じかな
城マニアって程じゃないけど
お城の模型を作ったり
全国の城の事を色々と調べたり
近場で行ける範囲のお城は大体制覇したね
その中でも俺のお気に入りは
ダントツで松本城だった
このお城が建てられたのは
安土桃山時代末期
城の中では珍しい平城の造りで
周りは水堀で囲まれている
お城の話をし出したら長くなりそうなので
ここら辺で止めとくことにするわ
多い時には週に三、四回ぐらい行ったかな
当時俺は東京の杉並区に住んでいたから
この回数は多いほうだと思うよ
だって普通列車を乗り継いで
片道に何時間もかけて行ってたからね
大抵は相方と2人で行ってたな
時には1人で行く時もあったよ
相方っていうのは幼なじみの悪友ね
この相方は
とくにお城が好きって訳じゃなかったから
半ば嫌々俺に付き合っていたと思う
松本駅から松本城までは
確か徒歩で20分位だったかな
最初の内はね
初めて見る景色や街並が新鮮だったから
たいして苦にもならなかったんだけど
見慣れてくると結構城までが遠く感じたよ
一体おまえらは何をしに
そんなにも松本城に行っていたのか?
って?
特に何にもしていません えぇ
敷地内のベンチに座り
缶のカフェオレを飲みながら
煙草をスパスパと吸っていただけです
マヌケな顔を並べて
お城をボケーっと見ていただけです えぇ
最初の内はね、、、、、、、
俺達が松本城に行くたび
ガイド?みたいな人が
松本城についての説明やら小話を
観光客にしているをよく見かけたんだよ
何かのバスツアーの一環なのか
女のバスガイドさんが
ツアー客に行なっている時もあったし
へんなオッサンが
観光客相手に行なっている時もあった
オッサンは一回にいくらかは忘れたが
観光客からお金をとっていたかも知れない
まぁ なんせ昔のことなんで
ここら辺の事はうろ覚えなんで
ゴメンなさいね
俺は松本城に行くたびに
ガイドの人を見かけると
近寄って小話を聞いていたんだよ
オッサンオバサン連中に混じってね
毎回何度も同じ話を聞いているから
俺は松本城のウンチクを
完全に覚えちまったんだよ
ガイドのオッサンの話を
完全コピーしちまったんだ
「これ 俺にも出来るんじゃね?」
そう思った俺は
すぐさま実行に移すことにした
「松本城うんちくは完璧だから
後はファッションと小道具だな」
そう考えた俺は相方に
ベレー帽みたいなやつを借りて
地味なスーツとネクタイを用意し
偽ガイドデビューに備えたんだ
当時はまだ若かったから
「今風の変な格好じゃ
相手にされないんじゃなかいか?」
そんなふうに俺は思っていたんだよね
まぁやるからには
ちゃんとやりたかったしな
「ウンチクもファッションも完璧!
後は何かいい小道具ないかしらねぇ」
「あっ いいこと考えた!
お客さんに新聞みたいなやつを配ろう!」
まさに青春のバカヤロー
若いってホントにアホだよね……
俺は手書きの松本城新聞を
作成する事に決めたんだ
あんまりふざけたタイトルだと
悪ふざけだと思われちゃうから
『松本城だより』ってタイトルにした
『松本だより』だったかも
まぁ別にどっちでもいいか
その内容はと云うと
松本城についての俺の主観とか
至って真面目な内容だったと思う
その分俺は
松本城の四コマ漫画に力を入れたんだ
新聞っていったら4コマ漫画が定番だもんな
だから俺は松本城4コマを
自作松本城だよりの
目玉にしようと考えたんだよ
どんな内容だったのかなんてのは
まるっきり覚えちゃいねぇけど
かなりシュールな中身だったと思う
確か松本城を擬人化し
少年松本君と松本城さんとのやり取りを
描いていたような記憶があるなぁ
あの頃の俺は若さも相まって
相当ブッ飛んでいたからねー
マジあり得ない四コマ漫画を
描いていたんじゃないかな
よく初対面の女性から
「○○さんて絶対クスリやってますよね?」
なんて洒落にもならねぇ事を
しょっちゅう言われてたもん
クスリなんてもんは一切やってねぇのにさ
そんなふうに思われたってのは
失礼などころかマジで嬉しかったし
ある意味俺にとっては
最上級の誉め言葉だったよね
4コマの内容は覚えちゃいねぇけど
あまりの自分の絵心のなさに
ビックリたまげたのは覚えているなぁ
松本城ギャグよりも
画のタッチとか絵の下手さ加減に
悪友と2人で爆笑した記憶がある
さてさて
ガイドデビューに向けての準備は万端
いざ俺達は松本城へ!
駅と松本城の中間ぐらいにある
ファッションビル?で正装に着替え
(確かパルコだったかな?
う~ん… 思い出せない………)
来たるべき
偽ガイドデビューに備えたんだよ
天気は良好!
後は松本城うんちくを
思う存分皆に炸裂させるだけ!
とりあえずオッサンガイドとは
少し離れたベンチに陣取り
俺はカフェオレとタバコで
はやる気持ちを落ち着かせたんだ
相方はいつの間にか
自分で作成した立て看板?
みたいなモノを手に持ち
(段ボールの切れ端に
【ガイド料 百円】って
マジックで書いてあった気がする)
威勢よく嬉しそうに
呼び込みを始めていた
「えっ!金とるのかよ!」
俺は相方に少し軽蔑の眼差しを……
俺は松本城ウンチクを
もう一度頭の中で復唱し
いつお客さんがきてもいいように
スタンバっていたんだけれど
お客さんとは違う想像外の人物が
俺達に向かって駆け寄ってきた
「ちょっと何やってんの!
お宅等 どこの人かな?
勝手にダメだよ~!
許可なくこんなことしちゃ!」
あわてて駆け寄ってきたのは
松本城の敷地内にある
資料館?の職員だった
うろ覚えで申し訳ないんだか
確か資料館みたいなものがあったと思う
職員の話によれば
オッサンは許可をもらっているらしい
「いや まだ何もしていません」
あまりのこっ恥ずかしさに
俺は早くこの場から立ち去りたかった
折角作った松本城だよりも
日の目を出ないまま結局お蔵入りになった
念願だったガイドデビューの夢も儚く破れた←ホントかよ!
そのかわりに新たな夢が俺にはできた
「定年したら松本城ガイドの資格をとり
松本城うんちくを皆に炸裂させる」
この夢が叶うのは
はたして何年後の事だろうか………