提供価値は定食屋さんの生姜焼き定食に餃子を足したくらい。提供元の説明によると、ヘッドを抜いてコレクション用にどぉぞってぇことだった。一般的な理解ではそんなもんなんだろうなぁ。シャフトには点錆がたくさんあって、一部の番手のソールはかなり傷だらけです。
自身のスタンスでは飾り物に価値を見出すことはなく、まずはオリジナルのプレシジョンのFM6.5のままで振り回せる状態を探ってみる。中古屋さんに並んでいたら、ジャンク状態だし、もともと並ぶようなモデルでもない。
でもね、手にしてから振り回すまでの手間ってのも、結構楽しいもんです。汚くって、状態が悪いのがいいってぇのはおかしいんですけど、磨き倒す際に撫でまわしているわけで、それでいろんな観察もできる。ってぇことで、いつもの磨きを試みるのです。
まずは重要なポイントとしてのシャフト。シャフトの点錆ってぇのは、ダイナミックや、ダイナミックゴールド、プレシジョンものならほぼ間違いなく、多少の錆が浮いていてもスチールウールで錆をこそげ落とせば問題なく振り回せる。傷やしわから錆になっているのがほとんどで、これまでクロームが剥げ落ちているものには、お目にかかったことがない。もちろん内部の保証はできませんし、昔のプロが言うようなヤレタ状態かもしれませんけどね。
ま、アマチュアが楽しむ程度なら問題ないことが多いというのが経験則。ついでにセル浮きを見て、シャフト抜けじゃないことも確認してみる。実際確認はできないんですけどね、浮いていた隙間に錆が噛んでいないか見てみる。
ヘッド磨きは、ホーゼルからバックデザイン、トウにフェイス、最後はソールなわけで、ハンドパワーでできるだけ。これだけで人差し指はかなり疲労してるし、親指と一緒に真っ黒け。
でもね、ポケット磨きなんかじゃ、職人さんの削りを感じたりもするんですよ。
このモデルについて観察すると、フェイスのスポット付近やいくつかの番手のソールも、クロームがこすれて、いくらか黄色く見えています。多くの情報では、これは銅メッキが露出しているなんて話もありますが、これはニッケル層。ソールの傷が深いところは、電動リューターのバフを使って青棒で磨いてみます。
そしたら傷の部分以外にも、多くの番手のソールが、ニッケル色にピカピカに光りだす。ま、すぐに酸化しちゃって黒くなるんでしょうけど、クルマのワックスもそうだし、金属とか、革靴なんか、磨いて光るものはやった甲斐がある気がしますよねぇ。
以前、シルバーメタリックの車に乗っていた時は、ワックスの掛け甲斐がなかった。光った気がしないんだもん。
同じ意味でセルもアセトンのネイルリムーバーで一拭き。この辺は溶けちゃうこともあって、慣れの感覚が必要ですが、この時代のものは結構雑でも大丈夫。ただし、レジ番が薄く残っているので、それを消滅させないようにしてみます。
まぁ、自身の持ち物としてのコダワリ、それぞれの番手をこんだけ手間かけて観察してみれば、いろんなところも見えてくるわけ。
車のワックスがけも、気がつかなかったドアのへこみとか、飛び石の塗装剥げが見えちゃうこともあるしねぇ。あの時の駐車場、隣のファミリーカーが怪しかったよなぁ。
残るはグリップの石鹸洗いですが、このモデルはスイングライト、粉々になりそうな気配もあり、これだけは交換を考えた方がいいかなぁと観察するものです。
自己満足ながら、自身の持ち物としては相応しいものになってきた。こんな状態でテレビ前のソファーの横にしばらくいることになり、レンジへ出るまで、またぞろいろんな妄想を繰り広げるのです。
つくづくバカだねぇと思いながらも、これが楽しいひと時だし、日が暮れるのが早い今時だからこそ、インドアイベントとして、似たようなモデルも引き抜いてきたり、また古いチョイスをゆっくりとめくったり。
近視の眼鏡を外せば細かいものが見えていると思い込んでいるのですが、こんなことをしていると、メガネをどこに置いたか忘れることもある。やすきよ漫才のメガネメガネ状態になることがありぃ、パソコンの表示拡大を大きくしすぎて、かえって全体が見えずに見にくくなったり、新聞からテレビに視線を移してもやっぱり見にくいわけ。
でも、趣味の作業をするときは、全部見えてる気になってるなぁ。すべては気から。親父が言ってましたが、老眼でコマイ字が見えないというのは、見ようとするから。見ようとしなきゃいいんだってね。