願い事ばかりで人生を無駄にしてはいけないよ。
って、ダイアナウィンジョーンズが言ってた気がします。
そんな話。


(私を個人的に知っている人には、ツッコミどころが多々あるとは思いますけれど。)
(これはフィクションなので気にしないでください)


今年のクリスマスにあったことのうちの一部。


ディケンズの「クリスマス・キャロル」を読みました。
青空文庫にあった、1904年出版のやつです。

救いようがないくらいにひどい日本語訳だとか、
一人目の精霊の時点でスクルージが改心してるから、三人目の精霊のインパクトが弱すぎるとか。
なんか人物造形がぺらぺらで、透かせば向こうが見えるんじゃないかとか。
いろいろ突っこみどころはあるものの、ラスト2段落の文章はさすがだと思いました。
即ち、「善いものを笑うような輩は盲目だ」ということ。なんという自信。
やはり、作品そのものから自信が見えることが芸術の絶対条件です。


クリスマスの精霊。
それを見るチャンスがあるのだとすれば、多分今年が最後。


クリスマスの始まりの日に、
最近仲良くなったカフェの店員さんと、デートの真似事のようなことをしました。
女の人とお酒を飲みながら二人で話すのは初めてでした。
ケーキを食べながら話すことしかしてこなかったから。

そこで10年ぶりに、人生で2本目の煙草を吸いました。
10年前に吸った煙草は強すぎて、味も何も分かりませんでしたが、
今回の煙草には、棘のように刺す痛みも、匂いも、
ネガティブな要素は何も感じませんでした。
ただ、意識の奥をこつこつと叩く感覚があっただけ。
酸素を求めた覚醒が、くらくらと酔ったように滲んでいきました。

煙草なんて、あまり吸うべきではありません。
特別なものは檻の奥に閉じ込めておくからこそ特別なのです。
それを日常の中に引きずり出した時、
世界はまた別のものへ変質してしまうでしょう。
それは多くの場合、あまり歓迎できるものではありません。


クリスマスなのにイルミネーションも何も見れませんでしたが、
ひと巡りの幻燈のような、ふわふわとした幻のような時間でした。
まるで高校生の頃の夢を、気まぐれに突然見せられるような。

多分それは過去の精霊で、
帽子をかぶせればすぐに消えてしまうランプの灯り。

けれど、もう別に現在も未来も見なくていいから。(これで最後でも良いから)
帽子なんて被せずに、その幻をもう少し眺めていたいのです。



Dreams come true - WINTER SONG
http://www.youtube.com/watch?v=e9w1_61Ch5A