きこえの支援センターシンポジウム
(参考)シンポの案内
http://www.zennancho.or.jp/info/symposium_hearing_support.html
1.主催者あいさつ(新谷友良:全難聴理事長)
2.趣旨説明:「きこえの健康支援」とは(瀬谷和彦:全難聴国際部長)
3.シンポジウム(13:50~14:50):難聴当事者対象の意識調査報告
(1)調査の概要と基礎調査結果(杉内智子:昭和大学耳鼻咽喉科兼任講師)
(2)難聴当事者が捉えている支援の現状(氏田直子:弘前医療福祉大講師)
(3)難聴当事者が求める総合支援(濱田豊彦:東京学芸大教授) 
(4)支援センターの位置づけと課題(瀬谷和彦:弘前大学大学院医学研究科助教)
4.全体討論及び総括(15:10~16:10)(座長:大沼直紀・筑波技術大学元学長)
5.来賓より一言 道躰正成様(厚生労働省自立支援振興室室長)
         長瀬 修様(立命館大学生存学研究センター客員教授)
(サイトより引用)
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以下、平成27年9月6日(日)、ユートリヤ(すみだ生涯学習センター)で開催された標記シンポについて、メモ書きしたもの。

新谷理事長あいさつ
来年は4月に総合支援法見直し。差別解消法も4月発効。
権利条約は批准後1回目の政府報告を来年1月、国連に提出する。
来年早々、3つの大きなテーマが重なる。障害者運動の積み重ねのひとつの到達点。
社会モデル的な考え方が推進力となっている。
聴覚障害者も社会モデル的な考え方の影響は大きい。従来の医療モデル的考え方をどうとらえるか、が大きな課題になる。
「きこえのセンター構想」の研究事業は社会モデル的進展と、医療モデルを権利的に見直す。両者をまとめられないかという試みでもある。制度改革の流れの中のひとつの試み。

立命館大学生存学研究センター長瀬修さん
来年は差別解消法実施。
合理的配慮がないのは差別だと法でいっている。
合理的配慮はもともと障害者のための考えではない。宗教上の差別をなくすために考え出されたもの。

氏田さん
アンケ回答で、相談窓口に必要として一番多くあげられていたのが言語聴覚士。
施設により技術に差があるという意見も。
補聴器も、技能者がいればよいという話ではない。
遺伝、難聴が進行した場合の相談もしたい、人工内耳の相談をしたいという意見もあった。
医師や認定補聴器技能者との連携も必要。
当事者の専門職を養成する必要がある。
難聴で訓練を受けた人に、いてほしいなど。難聴の理解には当事者が必要。
相談していない人の中に、相談先がわからない、相談できると思わなかった、という回答があった。
情報障害ゆえの困難さが明確に。
ワンストップの相談機関を望む意見がおおかった。ひとつの窓口で幅広い対応を。
どこでも同じサービスを受けられるようにすることが課題。

杉内さん
認定言語聴覚士という専門的な聴覚士をつくろうという動きがある。
嚥下と言語の分野の認定はすんでいる。聴覚の分野がはじまっている。
認定試験を受けた人は多い。来年も募集がある。

浜田さん
医療と福祉のギャップ
コミュニケーション手段、生き方の問題。多様性の問題がある。
それをカバーするとき入り口は病院。そして補聴器店。
その後自分らしい生き方、幸福追求でどこで相談、情報を提供するのか。生活支援を中心にするのは福祉の現場。だがそこには伝わらず、深刻化してはじめてケースワーカーにつながる。
聞こえないのは情報障害。中途で失聴したときの情報が当事者自身が持てていない。
そこに情報をいかに伝えるか。担える場所がないのが課題。
病気の名前、障害名は個人情報の中では重い情報。他の支援機関に紹介するとき妨げる原因になっている。

瀬谷さん
アメリカではコミュニケーション障害が克服された場合の経済効果を1700億ドルと算出。アメリカのGNPの2,3%に相当すると。
根拠があると、大企業への大きなアピールとなる。
経済効果の算出は重要だと思っている。

道躰さん(厚労省)
デシベルダウン、気持ちはよくわかる。社会保障制度としてやる場合は、財源の問題はついて回る。苦しい答えになる。総合支援法に基づいて、さまざまなサービス提供を行なっている。個別給付で補聴器も補装具として給付。
財源は法律上も負担が定められている。地域生活支援事業は自由な裁量。国の負担は464億円。
軽度・中等度難聴の方は全国で2000万人。その方に1万円で2000億円。福祉サービスは年間1兆円。
手帳を持ってないとサービスの提供ができない部分も大きな議論が必要。財源を考えていくことになる。
センターについて、建物のハードyろ、相談を受けて支援を行う支援ソフト面が必要だと受け止めている。
まず一義的な施設が相談を受ける。広い分野で中核的な事業所を作ろうと考えている。そこでの財源は地方交付税。国の補助金ではない。その事業が進んでいるかは、自治体の考え方次第。当事者からの働きかけが大事。
ことばの訓練、自立支援事業でも可能。まずニーズを集める必要がある。

長瀬さん
当事者という言葉、私は使いづらい。障害者という言葉を避けるために使っているのでは、と感じるから。中西正司さんが出されたこおとば。自分で意識していない人はどうなるのか。
聞こえが軽い…医学モデルの考え方。困ることがある。社会モデルは医学の役割を軽んじるものではない。
自分の名を隠したくで相談しない人がいる。これを受容の問題だけとはとらえるべきではない。難聴があるから不利益を被るなら、隠すのは当たり前のこと。
差別のない世の中について、差別解消法の実施が課題。制度を変えるとき、社会の意識をかえていくことが受容。条約でも解消法でも啓発にふれている。
テーラーメイドの支援について。個人への合理的配慮と重なる部分。合理的配慮は社会のルールをすべて変えるというものもある。精神障害者が朝起きられない、遅く来てもいい、これがルール変更としての合理的配慮。
差別のない社会をつくるとき、個人に会わせたものと、社会自体を変えること、両方がある。

以上、オガワメモ。文責オガワ
きこえの支援センター構想実現のために、重要な内容でした。
後日報告書が出る予定と聞いています。
150906全難聴聞こえシンポ