ゆるプチ学習会「4/25 障害者基本法改正から始まる 難聴者の権利と可能性を求めて」
講師 尾上浩二さん(DPI 日本会議 副議長)
大阪府出身。障害者政策委員、内閣府・政策企画調査官を歴任。
障害者基本法の前身は、1970年成立。
国の制度、政策の基本方針を示す理念法。
具体的権利義務規定はない。
2011年改正で「社会的障壁」が入った。いわゆる社会モデル。
3年後に見直しの規定があったが、すでに13年経過している。
第4条に差別の禁止があげられている。具体化して「障害者差別禁止法」ができた。
2011年の改正では、地域生活やコミュニケーションの問題は「可能な限り」となっていた。
精神障害や女性差別の問題は入らなかった。
【基本法のアップデートが必要】
差別禁止に加え、
虐待防止規程については、2011年により詳細な障害者虐待防止法はできている。
文化の規定が貧弱。2018年に文化芸術推進法ができた。
【基本法にないもの】
間接差別
関連差別
複合差別
の問題、基本法に書かれていないことが、検討見送りの理由とされてしまった。
【情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法】
1)アクセシブルな機器を、政府や自治体が公共調達・優先調達する制度を検討することが、附帯決議となっている。
欧米では義務づけられている。日本でも法律で「Accessibleな機器でなければ政府や自治体は購入するな」と明記してほしいところ。
2)聴者と平等に、リアルタイムに情報を得ることの重要性は、基本法に書かれていない。情報AC法にはある。
【公職選挙法】
基本法第28条で、選挙における配慮の項目があるが、
投票の問題が中心。
聴覚障害者は政見放送や街頭演説の情報保障が大きいが、具体的な部分まで書ききれていない。
【手帳制度】
戦後できた身体障害者福祉法以後、大きな改正はされていない。
基本法で改善点、方針を明記し、下位モデルの法律を変えていければと思う。
【今後のこと】
できれば今夏から議論を始められるとよい。早ければ2月の通常国会、遅くても来年秋の臨時国会ではかってほしい。
早く改正しないと、他の法改正に結びつかない。
【小川感想】
本人が障害を認めたらがないケースが多い。よく聞こえていないのに、自分は聞こえている、という方など。
そのために本人に不利益が起きるのはやむを得ない面もあると思うが、これまた本人や周囲にとっての「障害」状態だと思う。
対応しないでよい、とはならないことを基本法で明記できないか。
例)「利用者の多い窓口では、聞こえにくい方がいつ来てもよいように音声認識を常時使用することが望ましい」のような、環境整備を促す「理念」「方針」を盛り込めないか。