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~モバイルもデータセンターも同時に第5世代=5Gの時代へ~

 

 私のIT業界人生を振り返ると、技術革新がその速度を落とすことのないこの業界に入って、早くも40年の年月が経過しました。最初は、メインフレーム・コンピューティング、次にリアルタイムの制御用のクライアント・サーバー・コンピュティング、そしてパーソナル・コンピューティング、そしてインターネットの世界へと大きな変化を私自身経験してきました。

 

 当社は、2000年2月にコンピューティングのダウンサイジングとインターネットによる分散化の潮流の中で、時代の要請として創業しました。それは正に、データセンターとしては、第3世代に相当する、専業型インターネット・データセンター事業者の草分けとしての創業でした。すなわち、インターネット・インフラを活用するWeb サービス事業者向けの情報通信インフラ提供でした。

 

 そこで、このたび、業界に先駆けて、第5世代データセンター開設のために、日本のインターネット・インフラの集積拠点としての大手町地区を選定し、国策として建設される施設建築物の1フロアを利用するための競争入札に参加したのでした。この結果、当社は当該フロアを落札することができ、新データセンターの開設の計画に着手することとなりましたが、その背景には、同時進行するインターネットとモバイル通信インフラの進化がありました。

 

 データセンターの起源は、インターネット以前に遡り、第1世代(メインフレーム・データセンター、情報サービスのアウトソーシングサービス)として始まりました。そこで大異変が勃発しました。インターネットの登場です。これにより、インターネット接続環境を提供する最初のインターネットビジネスであるISP(Internet Service Provider)が活躍しました。これが、第2世代(ISP 型データセンター、インターネット接続事業者〔ISP〕がWeb サービス事業者向けコロケーションサービス)データセンターです。続けて登場したのが、当社のようなIX(インターネット・エクスチェンジ:ISP のトラフィック交換点)に直結した専業インターネット・データセンター事業者です。このタイプを第3世代と呼ぶことにします。この第2世代と第3世代データセンターの時代における情報発信源は、ポータルサービス事業でした。従って、第3世代は、ポータルサービス事業者向けデータセンターであると言えます。その後、インターネット利用者が直接情報発信源となるFacebook等のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が台頭してきました。これらの上り情報が多いタイプのデータセンターを第4世代(IX 直結型インターネット・データセンター、SNSサービス事業者向け)と呼ぶことにします。当社は、日本初の第3世代データセンター事業者として2000年に創業し、2005年8月に株式上場を果たしました。その後、インターネット・インフラの進化と共に、第4世代データセンター時代に対応してきました。

 

 この間、インターネット・インフラは、電話に代わり、情報通信インフラの進化を先導する役割を果たすようになりました。一方、情報通信インフラは、当社の創業時から、電話と固定通信に代わって、モバイル(移動通信)通信システムが、主役となりました。今後、2020 年に向けて5G(第5 世代)時代を迎えようとしています。5Gは、4Gと技術と利用対象の両面で非連続的な転換点に立っています。4Gの利用対象は、スマートフォンでしたが、5Gの利用対象は、IoT となります。すなわち、4Gまでは、人間のための情報流通の仕組みでしたが、5Gは、人間だけでなくモノ(あらゆる機器、センサーなど)を含む仕組みを提供するものです。

 

 この情報通信インフラの進化とインターネット利用対象の進化は、完全に同期しており、この時代の変化に対応するために5Gデータセンターの整備が必須となっています。このような背景から、時代の要請に応えるために、当社は、業界に先駆けて、5Gデータセンターを新たに開設することとしました。

 

 5G(第5世代)データセンターとは、5GモバイルなどIoT を利用対象とする情報通信インフラに対応したデータセンターで、アクセス網としての超高速(10Gbps)・超低遅延(1msec)・超多地点同時接続(100万点/km2)仕様に対応するために、最適なIX接続環境・クラウド接続環境・エッジ*接続環境を提供するデータセンターを意味しています。特に、5Gモバイルの最大の特徴である低遅延(1msec)特性を活かし、クラウドから最短時間で情報収集し、ビッグデータ分析、AI処理によって、最短時間での判断・指令を行う目的に適しています。例えば、高度FinTechサービス等、金融、IoTエッジコンピュータの集約拠点クラウドなどに最適なサービス拠点として大きなニーズがあると思われます。

 

 情報通信産業は、約90兆円のGDPを稼ぎ出す日本経済の基幹産業の1つです。当社は、この新たな5Gデータセンターにおいて、当社の得意とするインターネット技術を基本に、IX 直結サービスをさらに強化すると共に、これまでのビジネスパートナー企業である、(株)NTTファシリティーズ等、日本の情報通信産業を担う設備系企業と連携し低PUE**を実現する、新世代都市型データセンターを目指します。当社は、この業界に先駆けた5G データセンターの開設によって、情報流通インフラを支える(株)NTTデータやWebの新たな利用法を考案し続けるベンチャー企業等との連携を強化し、情報通信産業の成長が牽引する、さらなる日本経済の発展に貢献したいと考えております。

 

* エッジ:
 エッジコンピューティングの略で、ユーザーの近くにエッジサーバを分散させ、距離を短縮することで通信遅延を短縮する技術です。スマートフォンなどの端末側で行っていた処理をエッジサーバに分散させること。エッジは、集約的にサーバーを配置するクラウドに比べて通信遅延が最大100 分の1 と短くなり、端末負荷を軽減できるほか、センサー情報など膨大なビッグデータ処理に対応可能なIoT 向きのコンピューティング方式です。

 

** PUE(Power Usage Effectiveness):
 データセンターに於ける電気効率を示す指標の一つで、「PUE=データセンター全体の消費電力(IT 機器・空調・照明などを含む) / IT 機器による消費電力」にて算出し、1.0 に近いほど電気効率が良いとされ、従来の都市型データセンターでは1.5~2.0 のPUE 値が一般的です。

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