あの人は戻ってきた。
今更遅い。
もうあの頃のアタシじゃない。
古い友人経由で届けられたメールには
消息不明になった詳細と今の現状が書かれていた。
その文面の最後に書かれた言葉。
『もしも連絡を取りたくなければこのまま捨ててください』
何度も何度も読み返した。
全身が心臓になったかのように脈打つ。
メールを読みながら溢れてきた涙は悔し涙だったのか。
そしてメールを捨てようとした。
忘れ去るのが一番だと、本気で思った。
でも、アタシにはそれは出来なかった。
指先が震えて頭が真っ白になって。
何をどう書いて良いのかわからない。
それでもどうにか返事を書いて彼に送信した。
それから暫くしてあの人から直接メールが届く。
久しぶりのやり取りはぎこちなく、
でもあの頃と変わりのないもので。
何年も経っているのが嘘のようにも思えた。
『会いたい』
何回かメールをやり取りした後にあの人はそう言った。
今はもうアタシには別の人がいる。
あの人の事は終わったんだ。
頭の中で冷静にそう考えようとすればするほど
あの頃の思い出が蘇ってくる。
ただひたすらあの人を求めて泣き狂った日々を。
結局アタシが選んだ選択肢は
あの人ともう一度会う事だった。