Bauernmalerei(バウエルンマーレライ)とは、ドイツ語圏で描かれた伝統ペインティングのことで、Bauernmöbel(バウエルンメーベル:百姓家具)に描かれた絵を見本にしてモチーフを描き、制作する民俗絵画のことです。
まず初めに、Bauernmalerei(バウエルンマーライ)の元となったBauernmöbel(バウエルンメーベル)の歴史的背景と様式を簡単に紹介します。
Bauernmöbel(バウエルンメーベル)は、主にドイツ語圏で中世より続く伝統工芸で、その歴史は400年ほどあると言われています。ヨーロッパの博物館で今現在も多くの作品が所蔵されています。
Bauernmöbel(バウエルンメーベル)は、ドイツ語圏(ドイツ・スイス・オーストリア)のみならず、広くヨーロッパに分布しており、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、オランダ、ハンガリー、ポーランド、チェコ・スロバキア、スロベニア、ルーマニアと見ることができます。
木に絵付けすることが始まったのは16世紀まで遡ります。
・Schablonenmalerei(シャブローネンマーレライ)・・・型紙で彫り込む技法
・Intersienmalerei(インタージェンマーレライ)・・・ 象嵌細工模様の技法
17世紀~19世紀に最盛期を迎えました。
・ Renaissance (ルネッサンス様式)
・ Barock (バロック様式)
・ Rokoko (ロココ様式)
・ Empire (アンピール様式)
・ Biedermeier (ビーダーマイヤ―様式)
その後産業革命と共に衰退(19世紀後半)
(著書本;吉岡美千代のバウエルンマーレライより)
これらの絵を題材にBauernmalerei(バウエルンマーレライ)が誕生しました。
主に木製品に描かれることが多いクラフトで、「Bauern」とはドイツ語で「農民の、田舎風の」、「malerei」とは 「絵」という意味です。
特徴としては、丸筆に色をのせた筆運び(ストローク)で描かれることが多く、バラやマーガレット、チューリップなど身近な花のモチーフが描かれます。白のテッピング・ハイライトも特徴のひとつです。語源から見ても、素朴な田舎風の絵、というイメージが湧きますね・・・!
しかし、実際には様々な手法や絵のスタイルがあります。
人々は昔、デザイン化されたモチーフに願いや祈りを込めてBauernmalerei(バウエルンマーレライ)を描きました。モチーフは花や鳥、果物などで人生に幸あれ、と願いを込めた絵と共に生きたのです。
ところで、「Bauernmalerei」の本来の意味は上記に述べた通りですが、私にとって、「バウエルンマーレライ」とはドイツ語圏で描かれたBauernmalerei(バウエルンマーレライ)を見本に日本の現代の生活に合うように描き、制作する絵のことを意味します。
そこで、Bauernmalereiをカタカナで「バウエルンマーレライ」と表記します。(注:バウエルンマーレライとドイツ人に言っても通じません、これは日本人が話すカタカナドイツ語です)
ドイツの手法を元に私が長年取り組んできた独自のスタイルの目指す先は、「モダン・マーレライ」です。歴史ある伝統工芸を継承しながら、今の時代を楽しむことができる作品作りに取り組んでいます。最近では、木製品のみならず、様々な素材に描いて楽しめます。
私の絵の理念:
「素朴でありながら優美に」 がモットーです。
美しいだけではない、ほのぼのとした優しい気持ちが訪れるような、
そんな絵の表現者でありたいですね。
吉岡美千代
引用文献:杉村逸男(2011) 百姓家具バウエルンメーベルの世界 建築ジャーナル.
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