ANOTHER WORLD~18~ | EPISODE NOVEL blog of the battler-ushiromiya

ANOTHER WORLD~18~

第3章~Oh,my god!!~

TIGER:SIDE

鬼ざ、じゃなかった、ステイニーが何か考え込んでいる。その顔には、過去を懐かしむような優しい表情と、策を考えているのだがいい案が浮かばずに腹が立っているような厳しい表情が入り混じっていた。
 
 「何かいい案でも見つかるといいな。」
 俺はこっそりと波瑠花に耳打ちする。
 「うん・・・。私たちもまだ今世界で起こっていることについて理解したっていう訳じゃないけど、ステイニーが中心になってくれないと、どうしようもないものね・・・。」
 彼女の横顔を見る。いつもは強気な表情だが、今は少し疲れているように見えた。波瑠花って、かわいいよな・・・。きれいな茶髪を振りまき、大きな茶色の瞳が俺のほうを向く。
 
 あれ?なんか胸が熱いや・・・。なんだろう、この感情。
 「大牙、どうしたのよ?私の顔に何かついてる?」
 
 ドキッ!!
 波瑠花が不思議そうな顔をする。その瞬間、俺は・・・。
 
 「波瑠花が・・・、かわいいなぁ、なんて・・・。」
 「えっ?今なんて・・・?」
 
 馬鹿野郎ぅ・・。何言ってんだ俺。
 俺が慌てて弁解しようとするが、この男たちにはしっかりと聞かれていた。

 「お熱い事でぇ、お2人さんっ!ごゆっくりどうぞぉ。な、天馬っ!」
 「うんうん。恋をするのはいいことだよ。ごゆっくり!」
 「龍!?天馬まで!!違うんだ、今のは・・・、えーと・・・。」
 「大牙・・・。」

 波瑠花が言い返・・・さない。顔を真っ赤にして、ぼーっとしている。嘘だろ?俺が今言ったのってとんでもない失言だったんじゃあ・・・。
 その時、タイミング良く(?)、ステイニーが叫んだ。
 「タイムキャプチャーだ!!」
 
 「「「「・・・・・・・・・・・・。」」」」

 「ん?どうした、みんな?俺が何か悪いことしたか?」

 「「「「・・・・・・・・・・・・。」」」」

 「・・・・・・・・・・・・・・。」

 仕方ない。俺が言ってやるか・・・。
 俺が口を開きかけたその時、波瑠花がいつものように殺気をにじみ出しながら叫んだ。
 「どうして邪魔をするのよ!!!!!!!!」
 「何か邪魔をしちまったか。悪かったな。とりあえず俺の隠れ家へ行こう。」
 
 今度ばかりはみんながシンクロした。

 「「「「話を聞けーーーーー!!」」」」

     *             *             *
 しばらく歩くと大きな木が見えてきた。波瑠花はさっきから、むぅと口をつぐんでいる。波瑠花はよっぽどさっきのが気になってるみたいだな。まさか、波瑠花も俺のこと・・・?
 「では入るぞ。」
 「入るってどこに?ただ木があるだけですよ?」
 「天馬、そしてみんなも。よく見ていろ。俺の科学力をっ!!」
 鬼崎が木の表面を触ると、大木の根元から強い風が吹いてきて、大きな穴が開いた。
 
 「うわぁお。」
 素直に龍が感嘆の声を漏らす。
 それでもすげぇなぁ。ニッヒッヒ、木に穴が開いちまった。
 「俺が触ると反応するセンサーが付いているんだ。とりあえず中に入るぞ。」