ANOTHER WORLD~6~ | EPISODE NOVEL blog of the battler-ushiromiya

ANOTHER WORLD~6~

TIGER SIDE

 「結構歩くわねぇ。いつごろ着くの?」
 「おっかしいな。ここら辺のはずなんだけど・・・。・・・あ、あった。」
 龍の視線の先には、スポーツ用品店らしき店がある。ここか・・・。でも明かりがついてねぇぞ!?目の前まで来てから気づく。
 「おい龍!店、閉まってんじゃねぇか?」
 「張り紙がしてあるよ。何だろう。えーと、本日臨時休業、って、えぇ!?龍君、やってないみたいだよ。」
 「おいおい、話が違ぇぞ。」
 「俺が何とかする。すいませーん、黒城ですけどー。・・・・・・・・・・・・・・。」
 しかし、店からは反応した気配がない。
 「誰も出てこないわよ。まったく・・・、無駄足だったわね。」
 「まぁまぁ落ち着こうよ、波瑠花。もう少し待ってみようよ。」
 あーあ、大会まで1ヶ月ないってのに。早く練習しないとまずいな。
 俺は龍のほうをチラリと見る。騒がしく中の店員を呼ぶがやはり出てこない。
 「もういいぜ龍。明日でいいよ。それより早く帰んねぇとヤバいぞ。」
 もう9時を過ぎていた。あぁ親父にまた怒られるよぉ・・・・ーーーーーーー。
 俺がそう思った途端、近くの大通りのほうから悲鳴が聞こえてきた。
 「きゃぁぁぁぁ!!バ、バケモノーーッ!!!」
 「どっか行ってくれよぉ、うわぁぁぁぁぁ!!」
 俺たちが呆然としていると逃げてくる人がいた。
 「どうかしたんですか?!何が起きてるんですか?」
 波瑠花が訊く。しかし、その人は震えていて話すことができない。見たところ俺らと同じか、少し下くらいの女の子だった。
 「大牙、天馬、行くぞ!何が起きているのか、見に行こう!!」
 「おう!!」
 「分かった。波瑠花は?」
 「私も行くわ。力なら負けないよ!」
 「じゃあ君はどこか安全なところへ行くんだ。どうか無事で。」
 天馬が女の子に声をかける。落ち着いてきてはいるが、しっかりと話すことはできないようだ。その子の金色の髪が風に靡(なび)く。
 「気を・・・、付けて・・・・。」
 「よっしゃ、行くぞ!!」
 「「「おう!!!」」」