Intermezzo ~幕間のおしゃべり~

Intermezzo ~幕間のおしゃべり~

しがない歌劇愛好家Basilioの音盤鑑賞録。
備忘録的に…

伯国生まれだけどお話は完全にヨーロッパ目線、音楽は完全にイタリアンなゴメスの作品です。以前聴いた『サルヴァトーレ・ローザ』もそうでしたが、国民楽派的な祭り上げ方をするのは少なくともいまはお門違いと思いつつ、だからと言ってなおざりにするのはもったいないメロディメーカーだと感じました。


ネシュリングという人もオケや合唱も伯国にご縁がある様子、まずは悪くないと思います。欲を言えばメトでイケイケな指揮者がやったら合いそうだし受けそう、言い方を変えればより真価を発揮しそうですが、特に不満はありません。


歌手はまずはドミンゴなんでしょうね。ペリという役を考えた時には、こちらも欲を言えば全盛期の声で聴いたらもっと惹き込まれたでしょうが、この頃の若手を立てながらコントロールで勝負している感じ。この作品は独り勝ちではなくてバランスが大事と思いますし、改めて知的な人だなあと感じます。チェチリアを演じるビリャロエルはそこそこだけどドミンゴが可愛がってた歌手、と思っていましたが、こんなに技術も声も持っていた人だったのかと。ドニゼッティ的な装飾もこなしつつ、ヴェルディによさそうなリッチな声で、以前観たレオノーラを見直そうかと思います。悪役ゴンザレスは意外と録音のないカルロス・アルバレス、役柄の魅力はいまいちなんですが、彼の立派な声が映える豪快な歌が多くて耳福です笑。彼の2幕のアリアだけでも一聴の価値ありです。アントニオ役のティアンは名前だけ知っていた中国のバス、東アジア系のバスとは思えない重厚で端正な美声で、こちらは出番の割に聴かせどころがないのが残念なぐらい。アリア集買おうかな。酋長のマルティノヴィチは逆に出番の少なさの割にいい歌があります。外れのない歌を聴かせる彼らしく、短くても存在感と周囲の尊敬を感じさせるどっしりした歌唱でした。


もちろん新録音がないかともおもうのですがいまも十分に楽しめる録音です。