この物語はフィクションです。

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外池は夏に迎えに行かされた店を指定してきた。確かに、フローズンヨーグルトはおいしかった。しかしこの寒いのにあれは食べまい。いや、まさか食べるのか?

「おおーい、おおーさわーくーーん」

店に入らずに待っていたようだ。なんでだ。

 

「ねえ」

「うん?」

今日呼び出した理由でも説明してくれるのかと思ったらこんなことを言い出した。

「私が女で、あなたが男だってこと、差し引いてもさ」

「えーえー?」

「今日は私が迎えに来たんだからおごってよ」

「はぁ?」

「おごられついでに青少年の悩みを優しく見つめてあげよう」

……

「帰ろーかな」

「あ、じゃあついてくわ!」

「なんでそうなる!?」

「大澤君、クラスの打ち上げ兼クリパ、来なかったでしょ」

あ… そりゃ精神的にボロボロで…

「わ・た・し・が・みんなをなだめて回ったのよ。ちょっと事情を聞くくらいの役得…じゃなかった、納得をもらっても罰当たんないよ?」

なんかおかしいが、恩を売られているので、不承不承、腰を落ち着ける。

「あ、なーんだ、ここで話するんだ。ちょっと残念。あなたのうち見た女子いないのよね」

…やっぱり苦手だ、こいつ。

 

「察するに、『さわにい』の子とダメだったね?」

 

いきなりか。

だめだ。生々しくて、ちょっと涙ぐんでしまう。

「どこの子だっけ?」

「松山だよ」

「ああそうだっけ。坊ちゃんの」

「女の子だよ?」

「夏目漱石の『坊ちゃん』の舞台でしょっていったのよ。なにボケてんのよ…って」

涙が出ていた。自分もびっくりする。今心弱いので、どんな衝撃であれ泣けてしまう。

「あー…口が悪くてごめんね。まだ傷が生々しいのね」

「ボケを拾うとか余裕ないんだ」

 

やけくそで、相談してみよう。

「もうダメなんだろうか? どう思う?」

「はあ、弱気も極まれりね」

独り言にしては大きな声で言いながら外池はしばし考えている。

顔を上げたら視線が合った。というか、じっと俺を見ていたようだ。

「その質問はちゃんと状況説明をしてもらわないとなんとも…ねぇ… よし」

勝手になにか合点したようで、びしっと俺に指を向けた。

「今夜、お酒に付き合いましょう」

「え、明日からバイトで…」

「話したそうな顔してるくせに。あとで電話するわよ。来てね」

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作者は本業が忙しく、若干体力的にばててます。

ちょっと外池さんが活躍したがっているので、頑張ってアップしました。

挿絵はデッサン狂ってますが、直す気力なし。

ペンタブ欲しい。