ああ、研修会講師おわった。お疲れさま、俺。

打ち上げも盛り上がって… なんなんだこの時間。

なんか、用意していたタイトルがそのまんまで、まるで今日アップ予定だったみたいです。

では本文。

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駅ロッカーに預けてあった真美の荷物を取りに行く間に、晩御飯をどうしようかと考える。

せっかく節約するのなら作るのもありかな。まあ相談してみよう。

――「作るんなら私、お好み焼き焼いてみたい!」

 

は、それでいいのか。得意だ。

「てか、関西風でいいのかな?」

「はい、それ! 関西風(笑)ね」

「そういえば、松山は広島風なのか?」

「てゆうか広島風ってなんじゃ!って怒られますよ。松山は広島より広島愛が強いんです!」

心配そうに付け加える。

「さわにい、阪神ファンだった?」

「秘密だ」力強く即答した。

「じゃ、買い出しに行こうか」

「はい!」

 

「キャベツみじん切りが飛び散ってもったいなーい」

「そうか、いつもは千切りなんだな」

生地を作る。小麦粉を水と合わせ出汁で溶いた生地に、卵と山芋のすり下ろしをよく混ぜ、キャベツのみじん切りを入れてさっくりとかき混ぜる。

今日はフライパンだ。混ぜたタネを丸く落とす。じゅー。ぱちぱちぱち。大きな音がする。

上に豚肉の薄切りをのせる。

こんがりと焼けてきたら、ひっくり返す。

両面が焼ければ火を弱め、再度ひっくり返す。蓋をした。

「ホットケーキみたい」

「押し広げちゃだめだよ」

両面焼きあがったので、お皿に取り、ソースを塗り、かつお節・青のりをふりかける。マヨネーズはお好みで使ってくれ。俺は好きではない。

ああ、そういえば青のりは歯につくからデートの時は厳禁とか聞いたことがあるな…いやこれデートじゃないからオッケーだ、とかわけのわからないことを考えている。

 

じゅ~

皿に乗せる。

「おいしー!!」

焼きたてはうまいものだ。

買い足した肉と野菜を鉄板焼きにして添えた。

「さわにい…これは、ビールでしょう!」

へ? いいのか? ちょっと我慢しようと思ったんだが。

てか、お前未成年じゃないのか?

「レディーに歳を聞くなんて! …あはは、うそうそ、誕生日過ぎてますよ。成人、成人」

ぺろりと舌を出しながら「まあ、いつから飲んでたかは内緒ですけどね」

 

さて、押しかけてくるには、語りたいことがあるのだろう。

「ええ…ねぇ…うん、ケージ君のことです」

そうだろう。学校の成績のこととか相談されてもわからないよ。

「っていうか、話していいんですか? ありがとうございます!」

何をいまさら。いいぞ、聞くよいくらでも(徹夜だったら明日がつらいな)。

 

「動かないんです。助かりたくないのかなって心配。って、ずっと心配してますけどね…」

真美もケージ君の心の病を疑っているという。

「だから医者へ行くように言ってるのだけど」

ご両親もまったく当てにならない状態だという。お父さんはどこにいるのかわからないような生活で、たまに帰ってきてはお母さんと口論ばかりしている。お母さんは夜の仕事で働いており、それでいっぱいいっぱいで、話を聞いてもらえる様子ではない。だからケージ君も込み入った話をするのはあきらめてしまっていると。

「私にできることがあるならしたいんだけど。私も疲れちゃって…もう一緒にいられないのかもしれないね、って言ったら」

そこまで言って、真美の目にみるみる涙があふれた。

「そうかもな、って」

 

「…ごめんなさい、ほんとに、さわにい、しかいなくって」

俺の胸に飛び込んで泣き始めた真美が、やっと泣き止んで、声を絞り出した。

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この物語はフィクションです。