どうも、作者のぱりさいびとです。

あんまり背中を押されるので、がんばってもう一歩進めます。

イラストのトーンは脳内変換でお願いします…

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「暑い… なんで呼び出されなきゃならないんだ…」

外池貴子は駅まで荷物持ちに迎えに来いと俺を呼び出した。

なんて勝手な奴だ。俺はやつの彼氏とかじゃないぞ。

ぶつぶついいながら、勝てる気はせずなんとなく来てしまうのであった。

外池は興奮しながら研修から帰ってきた。

「いやすごいわ! 大澤君が文通はじめちゃうのもわかるわ。人間関係濃密だものー」

「そうかい?」

「うんうん! 男の子10人くらい住所書いてもらっちゃった。みんな頭いいしね!」

外池が休憩するといって喫茶店に入ったので、俺はジュースをおごってもらっているのであった。

「金沢の人たちも来てたから聞いてみたの。小野さんね、なんだかすっごく明るくなって、周りに打ち解けてきたってみんな喜んでいるみたい」

へー。

「大澤君のおかげ、かもね」

はっ。いってやがる。でももしそうならうれしい。

 

周囲に対して明るいとは意外であった。

凛の俺への手紙はむしろ人生相談や悩み告白の様相を呈してきている。

暗いことやしんどいことを語れるのは精神衛生上いいことで…

闇を吐くことがいい方に作用してるのかな。

でも、そういう話題を書いてくるってことは、ずいぶん俺に気を許してるんだろうな。

 

真美とも何回か電話した。

彼氏は、一応会ってはくれるようだ。

引きこもりになっているのだ。

そんな彼を支えようとする真美の姿は、健気としか言いようがない。

 

祭りの日のことを口にした時。

「あのね…泣いちゃってごめんなさい」

「あ…俺こそごめんね」

「なにが?」

「あー…いや、俺なんかの胸貸しちゃって」

「あはは。借りましたねー。借り賃払ってないの。ごめんなさい!」

俺は俺で、自分の過去の無念を代償するように優しくしたのかもしれないんだ。

だからそういうのいいんだよ。

 

「あのね…さわにいの腕と胸、大きかった。私すっぽり入っちゃいましたよ」

「俺さ、どさくさに紛れて、か…肩なんか抱いて」

「ううん、抱いて『くれた』んだよね、それは。だって私怒りと涙でばらばらになっちゃうとこだったもの。ありがとう、です」

「お礼言われちゃ…」

「ケージはね」

彼の名前が出た。少し緊張する。

「私より握りこぶし一個分高いだけなの。だから私の肩をすっぽり抱けないんだ」

「そうなんだ。お役に立てて」

「うふっ、いい経験でした。ありがとう、です」

経験、か。

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この物語はフィクションです。