予想以上のスピードの「いいね」の伸びに、ちょっと覚悟を決めないとという気がしてます。

この話を完結まで描き切るのは当然として、ちょっとだけ私生活削って更新する!という…カ・ク・ゴ。

本文。

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目覚まし時計の音に飛び起きる。

部屋を見渡し、ああと思いだす。

真美とそのお友達が泊まっているのだ。

(マコトの方はサヤカに気があるようなんだが、二人は「友達」なのだ)

山鉾巡行に間に合うように起きようとアラームをセットしたのだった。

夜が更けてもずいぶんしゃべり続け、朝起きられるか心配だったが、なんとか皆動き出した。

さあ、山鉾を観に行こう。

 

掛け声と、笛・鉦・太鼓の囃子に送られ、勇壮に山鉾が動き出す。

次々と出発し、四条通へ進んでいく。

2人は、追いかけて走って行ってしまった。

真美は手を振って見送る。するとこれは予定の行動なのか。

 

「さわにい…聞いてくれますか」

「あ、ああもちろん何でも」

「ケージくん、話聞いてもくれないんです」

「そうか。つらいな」

授業には出なかったが、今後のことを話し合うために学校にいっているとのこと。

ふっと、彼はすでにうつの症状を呈しているのではないかと感じた。

スクールカウンセラーより、メンタルカウンセリングが必要なのではないか。

ご両親はわかっているのか。

親は彼をサポートできるのだろうか。

推測だし、口を挟むのもおかしいから、何も言わないでいた。

 

「もうなんかダメなんじゃないかな。私じゃダメ。もう何にもできない」

人波の方向を見ながら。その実、何も見てはいない。

「勝手に悩んで人生変えちゃって…つらいよお」

顔がくしゃっと歪んだ。

俺はこの顔を知っている。

過去に置いてきた彼女。

男の勝手で気持ちを切って落とされた女の子。

こんなに苦しんだのか、彼女は。

だから、俺を怒りとともに一瞬で突き放した。

でも、真美は、まだ彼を切り捨ててはいない。その分、今も苦しんでいる。

「ケージのバカぁ!」

声を張り上げる。すぐ周りの人はいぶかしげに振り返るが、周囲の喧騒はそれ以上なので、大して目立たない。

真美が俺の方を向いた。

目が合った。

何が起こるか分かった。

「あああああん!」

俺の胸で、真美は泣き始めた。

こんなに人が大勢いるのに、今俺と真美は二人だった。

現実感から切り離され、お互いの体だけを感じていた。

人の波に押されながら、俺は彼女の肩を抱き、二人でゆっくり歩いていく。

だが、俺がケージと大差ない男であることを、真美は知らない。

だから、二人で歩いていても、実は一人ずつなのだ。
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この物語はフィクションです。