ぱりさいびとです。小説、はじめました。ご愛顧のほどよろしくおねがいします。
まだ第1話の冒頭でこういうこというのもいい度胸だと思いますが、あえていいます。
「いいね・コメント、お待ちしております!」
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ザン…ザン。
せわしなく寄せる波。
投げ入れられた網が手繰り寄せられ。
小さな魚がぴちぴちと跳ねながら次々と姿を現し始めた。
「キャ―――」
息をつめて見守っていた一団から黄色い声が上がる。
「動いてる、跳ねてる!」
「漁師さんって初めて見たわ」
若い声に照れながら、投網漁をしていた老夫婦は魚を集めている。
素直で、元気な女の子たちを、少しあきれつつ、でもほほえましく、俺は見つめる。
「そろそろ休憩終わりだよ」
「はーい」一斉にいい返事があがった。
湖畔の夏。
大学自治会連絡会・合同研修会の初日、昼休みの一コマであった。
普通のサークルの夏合宿に相当するのが、この研修会なのだろう。
全国の大学の自治会が、各ブロックに分かれて新人研修会を行っている。
いろいろな学校からの参加者が一堂に会するので、雰囲気の違いがおもしろい。
班に分かれて、座学だけでなく、討論して研究発表をまとめたり、シミュレーション体験したりして、課題に取り組む。
内容は団体運営や経営に関するものだったり、社会問題に関するものだったり、様々だ。
正解の定められていない問題に、答えを出そうと取り組んでいくため、求められていることが理解できなくて悩んで、休憩時間を惜しんで話し合い、涙する姿も見られる。
だから発表にこぎつけ、拍手を浴びたときの達成感は格別だ。
そして毎夜の懇親会では、工夫を凝らした出し物や即興の芸を披露しあう。
学校によっては仕込み練習をみっちりしてから研修会に乗り込んでくるほどだ。
一緒に考え、悩み、またとことん楽しみながら、仲間になっていくのだ。
しかし、それも数日のこと。
これが過ぎれば、自分の街に戻っていかなくてはならない。
名残を惜しみ、多くの者が連絡先を交換する。
俺もみなに声を掛けられ、色紙があっという間に埋まった。
俺、大澤千里(おおさわ・せんり)は一度社会人経験がある、いわゆる「脱サラ」学生である。
ゆえにこの中では歳上で、大半の参加者は俺より歳下なのだ。
自分の学校の中でさえ学生たちの間に入っていくときにひるむときがあるくらいだ。
にもかかわらず、この研修会ではかなり温かく迎えられ、楽しく時を過ごすことができた。
思ってもみない僥倖だったと感じる。
しかし、非日常の高揚感も、日常に戻れば数日で醒めるものだ。そう自分に言い聞かせて、はしゃぐ気持ちを抑ようとする。そういう性格なのだから仕方がない。
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この物語はフィクションです。実在の個人・団体名に一切関係ありません。