ホスピタル #4-2・秩序 》片手分の空白 | ラテックスは妄想中

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暴走ギミな妄想をチラカスBananaです。
甘味世界を目指し オリジナル小説書いてます。
腐 要素 多くなってきちゃいました。苦手な方ご注意ください。



━─━ 秩序 ━─━




逃げる様に来た道を 帰る


電車から見える海


雨雲で暗く 見てると気分まで暗くなる



サーファーでカフェのオーナー

エイちゃんと呼ばれていた ショウさん


『 必ず返して 』と 


彼女が持たせてくれた 


女性ものの傘


そのカラフルな配色が

今の私の背中を押す


後ろを向いても

過去には戻れない



だったら 前に進むしかない


彼女の傘を見ていると 

そんな気分になってくる




もう数分で いつもの見慣れた風景に着く


その先は 家への帰路



逃げて来た相手が待っているであろう

本来ならば

心休まるべき場所


ブライアンの事を思うと

鼓動が大きくなるのに気付く



…怖い…


傘の柄をギュッと握る



『 世の中の半分である女性は


 …経験する事… 』



エイちゃんの言葉を

反芻する



自分だけじゃない


その考え方が 

何の役に立つのかは 分からない


でも


自分だけじゃない…


そう繰り返す内

体が平常に戻り始める









雨の上がった薄暗い道を


家に向かって歩く


時間的に人影少ない住宅街


家の門の所に


その体格でブライアンと分かる人影


私に気付き 門を開ける



あと数歩で 辿り着く


ブライアンを見ない様 俯いて歩く


何も言葉を交わさないまま


ブライアンの横をすり抜け


玄関へ




…ああ そうか



確かブライアンが家に来た時


両親と一緒だった


…家のキー 渡されてなかったのか



オートロックで 中に入れず


どれくらいの時間


ここに居たんだろう…



チラッと見ると


目が合った


警戒する私とは対照的に


柔和な笑顔で 



微笑みかけてきた










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