V … N … | ラテックスは妄想中

ラテックスは妄想中

暴走ギミな妄想をチラカスBananaです。
甘味世界を目指し オリジナル小説書いてます。
腐 要素 多くなってきちゃいました。苦手な方ご注意ください。



闇の中にさらわれ


体の自由が奪われる



影の

光る瞳が


ふたつの月の様に


闇に浮かぶ



影の腕の中で


不思議な



夢?



ふたつの月を見つめると


見えて来た 光景





姿 変わらぬ


美しいままの 


あれは


影?




幾年月

経とうとも


姿変わらぬ

影に



よからぬ噂



不老不死



人魚伝説




その肉を食えば



不老不死に


あやかれる




捕らえられ



食われるも





死ぬ事無く



この屋敷に




影の

肉を食った


一族の もとで


ずっと…







人の中に囚われた


…食われた影の肉は


親から子へ

血で 引き継がれ



少しずつ




影の肉は

産まれ 




戻って来た








『 お前が 最後 』


ふたつの月…

いや

影の瞳が


目の前にあった



『 今のは なんだ? 』




手首に感じる違和感




『 私の記憶…だよ 』




そう言うと



影の唇が



首筋を



 辿る



 『 …あぁ… 』



それは 初めて聞く

 

自分ではない者の様な



声…





遠くで


乳母の声が 聞こえる







…お前で 最後…



ようやく ここを発つ事が出来る


戻って来たのは






食われた肉が戻るまで


離れられなかった


この場所




予想外に長居した







戻った足を撫でる




障子の外


夕暮れ



母屋に 多くの人の匂い




そこに居るのは


私の一部を身に持つ者


正式な婚姻相手では

無い者から生まれた故に


主から疎まれ

私の世話をしてきた 女






…行ってしまわれるのですか…



『 お前が 止めなければ


  もう少し早く


  足が 戻ったろうに 』

 



…私は あなた様と 共に…



室の奥


闇に横たわる 小さい影





『 お前が居なければ


 あの者の 乳母は? 』

 




ホロホロと 涙を流す


歳の頃 16にしか見えぬ容姿に

不釣り合いな 白髪



『 お前の中に 残る私の肉


 …いつか 返しに来ればいい 』



その白髪を 撫で



『 それまで


 お前の身に授けられた


 “呪”の根源である


 … 一族の


  先祖の為様(しざま)を 


     呪うがいい 』





奪われた 自由の長さを思えば


我ながら 寛大な対応だ





乳母の横を

するりと 通り抜けると



影は 小さな黒猫になり



裏山に




消えた








―――――――――



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