1月27日 金曜日の日記です。

この日は会社の帰りに東京・上野の東京都美術館で開催中の「ティツィアーノとヴェネツィア派展」を見てきました。
 
この「ティツィアーノとヴェネツィア派展」は
「水の都ヴェネツィアは、15世紀から16世紀にかけて海洋交易により飛躍的に繁栄し、異文化の交わる国際都市として発展を遂げるなかで、美術の黄金期を迎えます。政庁舎や聖堂、貴族の邸宅のための絵画まで、公私の場のためにさまざまな主題の絵画が制作され、明るい色彩と自由闊達な筆致、柔らかい光の効果を特徴とする、ヴェネツィアならではの絵画表現が生み出されました。本展は、ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノを中心に、黄金期を築いた多様な芸術家たちの絵画をとおして、ヴェネツィア・ルネサンス美術の特徴とその魅力を紹介します。」
(公式サイトから転載)となっています。
 
今回の展覧会ではティツィアーノの名作「フローラ」そして日本初公開のこれまたティツィアーノの作品「ダナエ」が目玉作品です。
その他2010年国立西洋美術館で開催された「カポディモンデ美術館展」で公開された「マグダラのマリア」が早くも再来日しています。
これは展覧会で実物を見て初めて気付きました。
私は以前カポティモンデ美術館展も観ており、この時「マグダラのマリア」も観ています。
この時来日した「マグダラのマリア」について有名な美術ブログ弐代目・青い日記帳に記事が載っているのでリンクを貼っておきます。
 
弐代目・青い日記帳 「カボティモンデ美術館展」 http://bluediary2.jugem.jp/?eid=2193
 
という事でこの展覧会にはぜひ行きたいと思っていました。
とは言え、最近はオールドマスターも人気が出てきたおかげで、この展覧会も混雑が予想できました
という事であまり混雑しそうもない夜の時間帯を狙うことにして、金曜日は夜8時まで開館しているのを幸いに会社の帰りに見に行くことにしました。
 
 
 
予想通り、空いていてゆっくり鑑賞できました。
 
展覧会の構成は
 
Ⅰ 1460-1515 ヴェネツィア、もうひとつのルネサンス
Ⅱ 1515-1550 ティツィアーノの時代
Ⅲ 1550-1581 ティツィアーノ、ティントレント、ヴェロネーゼ 巨匠たちの融合
 
となっています。
 
気になった作品をいくつか挙げておきます。
なお、画像は転載不可のため、文章のみになります。
 
ジョヴァンニ・ベッリーニ 「聖母子(フリッツオーニの聖母)」
ティツィアーノが弟子入りしたベッリーニの作品。
色彩が独特でそれに惹かれました。
 
ジョヴァンニ・マンスエーティ「博士たちとの議論」
ルカによる福音書に書かれているイエスの少年時代のエピソードを描いた作品。
神殿と数多くの登場人物とのコントラストが面白いです。
これは絵葉書も買いました。
 
16世紀ヴェネト地方の画家「青い袖の服の男(ティツィアーノに基づく)」
ティツィアーノの作品の模写。
これを見た時、一瞬ティツィアーノの真作?と疑ってしまいました。
かなり雰囲気を良くつかんでいる感じです。
ティツィアーノの作品はロンドン・ナショナルギャラリー所蔵で、18年以上前に観ていると思いますが、完全に忘れてます。
 
パルマ・イル・ヴェッキオ「ユディト」
旧約聖書続編「ユディト記」の主人公を描いた作品。
堂々とした体躯の女性が描かれています。
そう言えば最近開催された「クラーナハ展」でも「ユディト」が出展されていましたね。
ほぼ同時代の作品なのに、これほど異なるというのが面白い。
クラーナハ作の「ユディト」を思い浮かべながら見ると楽しみが増えるでしょう。
 
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「フローラ」
フィレンツェ・ウフィツィ美術館所蔵の傑作。
実物を見ると写真に比べるとふくよかな感じが伝わってきます。
さすが名作と言われるだけあり、引きつけられるものがありました。
 
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「ダナエ」
日本初公開のカポティモンデ美術館所蔵の傑作。
ギリシア神話のヒロイン・ダナエを描いた作品。
実物を見ると、ダナエの表情が恍惚としているのが分かります。
写真ではこの表情がなかなか伝わらないですね。
 
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「マグダラのマリア」
イエスに悪霊を追い出してもらい、イエスの死にも立ち会った聖女。
最初見た時と比べると、それほど聖性を感じず、むしろ女性美を感じました。
これは昨年カラヴァッジョ展でカラヴァッジョの描いたマグダラのマリアを観たことがあるのも関係していると思います。
(もっともある人によるとあのマグダラのマリアは真作ではないのでは?とのことです。)
 
ダル・フリーゾ「カナの婚礼(ヴェロネーゼに基づく)」
有名なヴェロネーゼ「カナの婚礼」の模写。
ただし、この作品、痛み?が酷い感じです。
写真で見た真作とかなり異なる感じなので比較のためにここに書いておくことにします。
 
その他、スキアヴォーネによる版画作品が多数展示されており、これも注目です。
 
その他にもここでは取り上げきれなかった良い作品が多数あり、とても良い展覧会でした。
 
 
展覧会の出口付近にある記念撮影コーナー。
 
鑑賞時間は50分ぐらいだったと思います。
ミュージアムショップで絵葉書6枚買いました。
 
 
(終わり)