12月15日(日曜日)横浜・桜木町にある横浜美術館で開催中の「生誕140周年記念 下村観山展」に行きました。

下村観山は幼い頃狩野芳涯や橋本雅邦に師事して狩野派の技法を身につけた後、東京美術学校の一期生として横山大観と共に岡倉天心に師事し、日本美術院の設立に尽力し、日本美術院を代表する画家として活動。
横浜・本牧にある三渓園を造営したことで知られる実業家原三渓の招きに応じて本牧に終の棲家を構えた横浜ゆかりの画家でもあります。
この横浜美術館にも彼の代表作が収蔵されており、私も常設展で何度か見ています。

午前10時、ほぼ開館時間に到着。

 

 

なお、この展覧会は「横山大観」展のチケットの半券を提示すると割引を受けることができます。

画像が利用できないので以下文章のみで書きます。

展覧会の冒頭には横浜美術館所蔵の「闍維(じゃい)」が迎えてくれます。
仏陀亡き後、火葬に付された場面を描いています。
観山の絵はこのように仏教に題材を取った絵が多いです。

観客は開館時間直後だったこともあり、すいていて落ち着いて鑑賞できました。

この展覧会は

第1章 狩野派の修行
第2章 東京美術学校から初期日本美術院
第3章 ヨーロッパ留学と文展
第4章 再興日本美術院

の構成となっています。

第1章は観山が狩野芳涯、橋本雅邦ら狩野派で学んだ頃の作品を展示。
ここでは「騎虎鍾馗」が良いです。

第2章は観山が東京美術学校の一期生として入学し、岡倉天心の薫陶を受けた頃の作品を展示。「闍維」もこの頃の作品です。

第3章は観山がヨーロッパに留学して新たな絵の表現方法を模索していた頃の作品を展示。ラファエロの「椅子の聖母」の模写やジョン・エヴァレット・ミレイの「ナイト・エラント」の模写などに観山が西洋画に学ぼうとした姿勢がうかがえます。ちなみにこの2枚の絵は両方とも横浜美術館所蔵の絵で、私もこれまでに何度か見ています。
この頃の絵では横浜美術館所蔵の「小倉山」が良いです。

なお、観山の題材には寒山拾得や「帰去来」の陶淵明など、中国に題材を得た作品も多く見られます。
この辺りにも観山が日本絵画の伝統を引き継いでいることがうかがえます。

第4章は原三渓の知遇を得て本牧に居を構え、日本美術院を再興した以降の作品を展示。
この頃の作品で面白いのは「酔李白」。漢詩の大詩人李白の酔った姿を描いた作品。観山も三度の飯にお酒を付けるほど飲んべえで、同じく飲んべえだった李白に親しみを感じてこの作品を描いたそうです。
また、「魚籃観音」は真ん中の女性がどう見てもあのダ・ヴィンチの傑作「モナリザ」そのままの模写です。他の人物は日本風に描かれている中、モナリザの顔が描かれているので、何とも言えない不思議な絵になっています。

鑑賞時間は1時間ほどでした。

 

なお、この後常設展を見ていますが、この展示は横山大観展の時とそれほど変わりませんでした。

公式サイト http://www.yaf.or.jp/yma/exhibition_web/100/