どうも、監督の鋤崎です。「撮影を振り返る」もいよいよ後半戦です。

今回は6日目と7日目を合わせて振り返りたいと思います。何故なら、この二日間は撮影の山場であり、忙しさのあまり当時の記憶を振り返っても日が変わったという印象がなかったからです(笑)。夜通しというわけではありませんが。


まずは6日目、結婚式のシーンですね。結婚式はこの『バカウラ』ではとても重要な舞台。しかし、学生スタッフの中に結婚式を挙げた経験のある者はいません。段取り、席順、料理・・・撮影以前にわからない事だらけ。それでもその重要さを考えれば、決して不自然さを出してはいけないわけです。演出部は撮影前からてんやわんやしてました。

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そしてもちろん撮影もてんやわんや。時間が全然ないんです。物語上結婚式は二回あり、その二つともが大切なシーン。そりゃ色々撮りたくなります。
しかし、考えていたプランでやろうとすると、「あれ?コレ1カット10分くらいで終らせないと無理ですな」という状況に(笑)。
なんとか撮影を終らせる為に、撮休だった前日にプロデューサー・撮影監督と改めてカット割りを考えたり。少しでも時間を作る為にと、前回の撮影の裏では美術部を中心としたスタッフが一日かけて会場をセッティングしてくれました。
それでも現場がそんなにスムーズにいくというわけでもなく…(笑)。カット割りも、撮監・浪谷くんとその場で考えてって事が、今までよりも多かったです。

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そんな中、僕個人的に一番苦しんだのは都合により別撮りとなったエキストラの皆さんのリアクション撮影です。
曽根さんのスピーチ然り、玲子・相馬・恵による余興然り、呆れるほどの出来ですが、中には楽しんでる人もいるわけです。笑っている人がいるのです。
しかし、ただ笑ってくれというのも無理な話。実際は僕が曽根さん達の位置に立って、皆さんのリアクションを引き出さなくてはいけません。
笑い声を録るために、僕は喋る事が出来ません。影で動きがバレてしまうため、大きく動く事も出来ません。付け加えると、僕は人前が苦手です。そんな環境で笑いを引き出すというハードルの高さ。テイクを重ねる毎に、僕はゴッソリと何かを持っていかれました。
そんな僕の四苦八苦ぶりは、間違いなく失笑を引き出すという点においては群を抜いていたと思います(笑)。


撮影が終るとスグに会場の片付けを終らせて撤収。
次の日は早朝からお見合いコンパのセッティングです。
実際このような趣向のコンパは数多く存在しているようで、その内容も様々。なので変に「こうあるべきだ」というような縛りがなく、あくまで「コミュニケーションの場」として簡易なセッティングにしました。ここにいる人は、「相手を知ろう・自分を知ってもらおう」という目的を持った人達。日常もそうあるべきなのかも知れませんが、どうしてもその場しのぎの対応が多い様に思います。ずっとそんな世界で生きてきた希が浮いてしまうシチュエーションを作りたくてお見合いコンパという設定にしました。

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しかしその分、表現手法は難しくなってしまいました。「話す」という他にアクションの取り様がないからです。いや、考えればあるかもしれませんが(笑)、僕は「話す」というアクションと、そのリアクションでどうにかするという考えしか浮かばなかったのです。

そんな難しい局面を打開してくれたのが、鈴真紀史さんと同じく劇団はえぎわに所属している、町田水城さんです。安藤さん演じる希、海ノさん演じる花園、町田さん演じる橋本の3人での会話シーンで、橋本の興味が自然と希から花園へと移っていく様子は、とてもリアルで。取り残される安藤さんの表情も、その心境をしっかりと感じさせるものでした。このような経験は、僕自身日常でよく遭遇しますし、その度に自分に対する不安を感じます。そんな小さな世界をしっかりと再現できるお三方、やはりさすがだと思いました。
でもやはりこの日も時間は少なかったですね(笑)。


この2日間、幸い撮影自体は技術部の皆さんの迅速な対応と出演者の皆さんの力でなんとか無事に乗り切る事が出来ましたが、僕はかなりヤラレてました。
そのせいか、一度家に帰りはしましたが、翌日早朝から同じ現場にいると、「時間が繋がっている!」と感じたり(当然なんですが 笑)。
非常に長く濃い一日(本当は2日)でした。

遅くなってしまいましたが、御協力して頂いた沢山のエキストラの方々、そして観光専門学校関係者の皆様、本当にありがとうございました。