赤オジサン
ボクが子供の頃。小学校に上がる前から高学年くらいまでだったと思いますが、近所の神社に、「赤オジサン」と呼ばれるホームレス、スレスレのオジサンが住んでいました。
なぜスレスレかといいますと、生計は多分『バタ屋』あるいは『クズ屋』と呼ばれる、フリーの廃品回収業。今の時代ならば、新宿西口公園や多摩川の河川敷で、ブルーシートを張って暮らすしかないだろうという人でした。
でもとっても明るくて優しくて、近所中の子供たちの良き友でもありました。
人に好かれる性格故、子供たちの親も、赤オジサンと遊ぶことでは、そう目くじらも立てるでもなく、彼の小屋はいつも子供たちで賑わっていました。
また、赤オジサンが神社の小屋に住んでいたのも、その神社の神主さん(女性)がとても優しい人で、境内の掃除など、いわゆる「寺男」的な“業務”を彼に任せる代わりに住まいを提供していたわけです。
余談ですが、同じ時、「愛宕山のターザン」と呼ばれる、少し粗暴な浮浪者がいて、こちらは要警戒。うっかり仲良く歩いたりしていると、親に注意されたものでした。
赤オジサンと愛宕山のターザンは、地元では浮浪者の有名人であったわけです。
昭和30年代の、今の虎ノ門。駅で言えば神谷町界隈の話。もちろん日比谷線なんて影も形も無く、敗戦後まだ十数年。近所の新橋駅などには、傷痍軍人やら浮浪者が当たり前にいた時代です。
さて前置きが長くなりました。
その赤オジサン。ある時、小屋が火事で全焼してしまったのです。
家から神社までは100mも離れて無くて良く見えるのですが、もの凄い火柱が上がり、家族中で慌てて神社の石段を駆け上がっていったのを昨日のことのように覚えています。何台もの消防車が来て放水し、やがて火は消えたものの、赤オジサンの落胆ぶりは、子供心に胸が詰まる思いでした。
その後、数日して聞いた話ですが、なんと、赤オジサンには息子がいて、その息子が迎えに来ていたと言うのです。しかも、大層な車に乗って、身なりも、間違いなく金持ちだったとか。
後で分かった話ですが、彼の息子は、どこぞの会社の社長だとか。何度も父親である赤オジサンを迎えようと説得しにきていたけど、その都度断られていたのだそうでした。
結局、火事の後。赤オジサンは神社から撤退。その後のことは全く不明でした。おそらく息子さんに引き取られて、安泰な老後を送ったのだろうと思います。
さて、これからが本題。
今日盛んに流れていたニュース。 河本準一さんの生活保護の不正受給の話。特集までしていたバカな局もありましたが、今伝えるべきことはそこじゃないだろう!検察の不正だろう!と、相変わらずのマスコミのていたらくぶりに呆れつつも、何か変?
と、なんでこんなに彼は神妙な顔をしているんだろう(どこのニュースも冒頭、“そんな顔”が写るんです)詳細な中身は分からぬまま、妙に消化不良の気分でありました。
なぜならば、河本さん自身が、不正に受給していたわけではなさそうなのに?という疑問でした。
世の中には、赤オジサンじゃ無いけど、たとえ親子であっても寄り添えない、身内にもすがれないという事情を抱えている人は大勢いるはず。
なんて思っていたら、法律にあったんですね。『扶養義務』の話が。。
政治ネタ以外は、まともな記事もあるんだなと、ちょっと納得してしまったのが今日の毎日新聞のこの記事。
法律は、あまりにも“肉親”というものを、表面的、かつ短絡的に捉えすぎているのではないでしょうか。
まあ記事を読んでみると、実際の運用面では緩そうなので問題とするような話ではないのですが。
人間関係の事情は様々。たとえ肉親であろうとも同じこと。もちろん河本さんの家族の関係に問題が有るかどうかなんて知りません。興味も有りません。各局のニュースも中身までは見ていません。
しかし一般論として、血が繋がっているから扶養義務があるとするのはどうなんでしょうか。ちょっと時代錯誤かな?と思ってしまいます。
今、ちょうど息子が就活真っ最中で、何となく赤オジサンの気持ちが分かるんです(笑)
邪魔扱いされて面倒みられるくらいなら、たとえ生活保護受けても、一人でブルーシートって選択肢もアリかなって(^^;)
ああ、死ぬまで自力で生きたい!
以下、毎日新聞の記事です
http://mainichi.jp/select/news/20120526k0000m040123000c.html