私が買い換えを思い立ち、本格的に物件を探し始めた、その買い換え動機は以下の3点でした。

(1)4000万円を切っていた自宅の「相場価格」が上がり始めた。
(2)中古物件として売りにくくなる築15年以前に自宅を売却できる上に、自己資金の目処も立った。
(3)新築物件の「相場価格」は、旧価格と新価格の過渡期にあるため、2006年度中に物件を押さえる必要がある。

さて、ここで私が使う「相場価格」の定義について今回考えてみたいと思います。

この「相場価格」は誰が定める価格なのでしょうか?
国交省でも都でも市区町村でもなく東日本不動産流通機構でも、東京カンテイでも、日本不動産研究所でもありません。
さらに大手不動産業者でもなく、街の不動産屋でもなく、私たち自身でもありません。

「相場価格」とは不動産従事関係者、一般購入客、マーケットオブザーバー(市場傍観者)の区別なく
「各個人の持つ相場観」に基づいた数字を意味しており、極めて曖昧な表現です。

これは私の意見ですが「相場価格」とは「不動産購入検討エンドユーザーの50%が寄り付く(購入する)であろう価格」と、定義できるのではないかと思います。

例えば「二子玉川駅徒歩8分圏」の住宅街で、そこそこハイグレード仕様の75㎡で3LDKの新築マンションを購入したい方が年収や貯蓄に関係なくランダムに100人居たとします。

仮にそのものズバリの物件が販売されるとした場合に、6000万円だったとすれば何人の方がその物件を購入するかを考えると、おそらく70~80人の方が買われると思います。
7000万円だったらおそらく50~60人、8000万円だったら30人前後、9000万円だったら10人程度、1億円超なら2~3人でしょう。

したがって、この場合の相場価格は7500万円±5%と想定されます。
これを「相場価格」と定義すると、坪単価は320~350万円になります。
この「相場価格」には坪20~30万円もの幅があり、320万でも350万でも「相場価格」に該当します。

一般的に、購入検討する立場のエンドユーザーは、相場の「最も低い点を相場価格」と理解します。
上記例に基づくとエンドユーザー(買主)は、坪320万円を相場として認識します。

しかし売主(事業主)はエンドユーザーとは逆に、「最も高い点(坪350万円)を相場価格」として認識しますので、両者の認識と主張は食い違ってしまい、その価格差は埋まりません。

従いまして、売主・買主の双方が適正価格と感じる物件は、供給される可能性が極めて少ないということです。

3年前は安いと思われる価格の供給が何件かあったと思いますが、今後はないと思った方がよさそうです。
何故なら3年前は底の見えない下げ相場でしたが、今後は天井の見えない上げ相場に突入しつつあります。
いつまでも3年前の感覚(=買手市場感覚)で待っていると、購入時期を逃してしまいますので注意が必要です。

それに、上げ相場の今は50%が寄り付く必要などなく、2~3%しか寄り付かない価格設定にチャレンジする売主(事業主)が、来春以降にたくさん出てくるのではないかと思います。
何故なら、上げ相場の場合は販売が停滞しても、待っていれば相場価格が後追いで勝手に上回ってくれるので何も考えずに待っているだけで売れる確率が高まっていくからです。


バブルの時ほど不動産価格が高騰するかどうかは全く分かりませんが、来春あたりからはアンビリーバブルな上げ相場に突入するような気がしてなりません。
ご自身の相場観に基づく「相場価格」を過信すると購入時期を逃しますので、相場価格+10%の範囲の着地なら良しとするべきではないだろうかと感じます。

気に入った良い物件が見つかったら、多少割高に感じても今買うのが最善策かもしれません。