GWの間はどう治療したらよいものかと悩んでいました。
運悪くGWでありセカンドオピニオンと思い立っても
休みが明けなければ行くことができませんでした。

病院から私に出された選択肢は

・外科的切除(手術)
  癌が取りきれたか病理診断で知ることができるが
  機能障害や審美的障害が残る

・化学療法(抗がん剤治療)&放射線療法(口腔外/内照射)
  機能障害や審美的障害が軽度に抑えられるが
  副作用が辛く、病理診断できないため治癒したか分からない

という二択でした。

ネットでは初期の舌癌であれば小線源治療で治すことができると読みました。
なので私の中ではそれプラス

・小線源治療

の三択でした。

小線源治療は舌を切らずに針を刺して放射線を内部から照射するため
後の機能障害も起こらないというメリットがあります。
検査の結果リンパ節に転移さえなければ
小線源治療を選択することができるということが救いでした。

そこで小線源治療について医長の先生に質問してみました。

・この病院ではやっていないので小線源治療したいのなら紹介状を書く
・ただ小線源治療をするにはまだサイズが小さすぎるので切った方がいい
・癌が全部なくなったかどうかは治療後も分からないというデメリットがある
・初期で場所も良いため喋ることに障害が殆ど残らず
 癌が取りきれたかすぐ分かるので私なら間違いなく手術を選ぶ

と「手術が一番」という考えでした。

舌癌というのは全悪性腫瘍中2~3%程だそうで
あまり症例がないと認識していたため
舌癌の患者をどの程度この病院で診ているのかと質問しました。
回答は「今月は3人ですね」と。

意外と居るんだ…。
なら安心できるのかな。。



ひとつずつ検討。

・外科的切除(手術)

初期とは言え手術では腫瘍+安全域(肉眼で腫瘍から10mm)を
含め切除するため腫瘍+2cmほどの範囲を失うことになります。

安全域について…
10mmに明確な根拠はないとされますが
10mmの安全域で原発巣再発率が3.8%だという報告があります。
5mmの安全域では原発巣再発率が
切除断端が陽性であった場合と変わらないという報告や
5mm以内の安全域では充分な切除の5倍の再発率(10%)がある
という報告もあるようです。
病理組織学的浸潤様式の違いもあるため
この10mmの安全域は『推奨』に留まるようです。


「このぐらいなので切っても殆ど影響はないと」医長の先生は何度も言いました。
でも事前にいくつかの舌癌患者のブログを見ていて
「殆ど影響のなかった方」は居ませんでした。
なので影響が出ることの方が現実なのだろうと思いました。
私は本人なので、他人から見た感想より舌癌患者本人の感想の方が説得力がありました。
「普通に喋れてるよ」と周りに言われても
本人は全然喋れていないと思っているという話もいくつか見かけました。
特に医師は仕事柄もっと重症な人を多く診ているので
「まぁ喋れている」というレベルだと問題ないと見なすのではないだろうか?と。
不安にさせないよう嘘を言っているわけではなく
純粋に心からそう思っているのではないかと。

医師が言う「普通に喋れている」と
本人が思う「普通に喋れている」は
全くの別物なのだとそう考えていました。
良い話だけ期待してダメだったという方が精神的なダメージが大きいからです。

でも切る場所やサイズによって全然結果が違うようです。
私の場合はどうなってしまうのだろう??
まだ小さいと言われているので本当に影響がないのだろうか??
手術をした場合の未来が何も想像できませんでした。
ただ「殆ど影響はない」という言葉にすがりたかったです。


・化学療法(抗がん剤治療)&放射線療法(口腔外/内照射)?

私は極度の嘔吐恐怖症であるためこの選択肢は最初からありませんでした。


小線源治療?

小線源治療についてはネットで調べたところ
施術者の経験や技術力に頼る所が大きいという印象を受けました。
<参考>ディベート:小線源治療は必要か ?
http://www.sasappa.co.jp/online/abstract/khs/1/042/html/0210420101.html

また、被曝できる量が決まっているので放射線治療は
一度やってしまうと次からは選択肢にできなくなると読みました。

今は右舌裏に癌が出来ているけど
もし舌先に再発してしまったら舌先を切ったら喋ることが難しくなる。
その時のためにこのカードは残しておいた方がいいのだろうか…。

小線源治療を行った方のブログを当時3つみつけましたが
その3名は全員転移していました。
私は喋ることに障害を残すのはどうしても嫌で
小線源治療で完治することを目指したかったのです。
なので完治したというブログが読みたかったですが
そういう方はブログに体験談を残していないのかもしれません。。
良い話を見つけることができず今ひとつ安心できませんでした。

また癌細胞は放射線から逃げ回る性質があると
その時たまたま目にしたニュース記事で読みました。


そして結論。

敵は本当に厄介なヤツです。
ナメてかかっては死んでしまう。
うまく喋れなくなることは絶対に嫌だけど
うまく喋るも喋らないも生きてこそ。
もし癌が取りきれず他に転移してしまったら命を失うかもしれない。
手術であろうが小線源治療であろうが転移する時は転移する。
でもその可能性を1%でも減らしたほうが良いのかもしれない。
もう癌になった時点で今までの私の人生はそこで終わったのだ。
そう考えると失うことが怖くないように思える。
もし病気に勝てたら今までの人生より長い未来を
その障害を背負ったままで生きなければいけないかもしれない。

命の代償は大きい。

そして確実に生きる道を選択することを決め
舌の部分切除を行い障害の残る人生を歩む選択肢を選びました。
ただその障害が小さいことを願って。