地元飲み屋に求めること3ヶ条
実は私は引っ越しマニアである。
先週、8度目の引っ越しを敢行したが(おかげで更新遅れました。スンマセン)、ここ12年で7回というのはマニアの領域といっても良いだろう。
以前、浅草に住んでいたことがあるのだが、そこでひとつ得た教訓がある。
それは自分の好きな町には住まないこと、というものだ。
浅草はB級グルメの宝庫で、以前書き記した焼きそば屋 をはじめ、シブイホットドッグを食べさせる喫茶店、
絶対にウソがつけなくなるビヤホールなどいろいろと素敵な店がある。
「夕方からどぜうでも突っつきながら、ビールでも飲んで暮らしたら幸せに違いない」
という思いから浅草に住んでみたが、いつでも行けると思ってしまうと
なぜかこうありがたみというのがなくなってしまう。
田山花袋チックにどぜう食べても素敵な気分になれないのだ。
かってはわざわざ浅草を堪能しに来たわけだが、それが日常生活に埋没してしまうと
ちっともありがたくない、というわけだ。
好きな町はたまに訪れるから良いのであって、いつもそこにあるとなぁなぁの関係になってしまうんですね。
男と女の微妙な関係みたいだな、こりゃ。
さて、引っ越しといえばなんといっても引っ越し蕎麦なわけであるが、
私の場合は悠長に蕎麦何ぞを食ってはいないのである。
引っ越しが一段落したら、近所の飲み屋探しを始める。
1人で飲みたくなったときにふらりと訪れられるような
いい感じの飲み屋はないものか、駅付近をくまなく探索をする。
炉ばた焼き、小料理、焼き鳥、居酒屋…さまざまな看板が目に飛び込む。
店内をチラ見しながら物色してみる。
ちなみに私の中で地元飲み屋をランクづけをすると以下のようになる。
Aランク 磨かれたカウンター、清潔な店内、新鮮な素材、レアな品揃え、アルコール充実、美味
Bランク 愛想の良い主人、豊富なメニュー、落ち着ける、不味くない程度の味、つまりまぁまぁ
Cランク チェーン店系、店内が広すぎ、活気がありすぎ、無難なメニューに無難な味
Dランク 態度のデカイ常連の溜まり場、近所のスーパーで仕入れたようなお手軽メニュー、不味そう
Aランクがあればメッケもんだが、これはそう簡単には見つからない。
Cランクは1人で飲みに来るのには向きませんな。店が広すぎたり、やたらと活気があると落ち着かなくてかなわない。
よって探し求めるはBランクの店。
Dランクは……足を踏み入れたときに客が値踏みするようにジロリとにらんだりするので、気の弱い人は行くのやめた方がいいですね。私は家で飲んでた方がマシです、ハイ。
何軒か見た後で、カウンターが8席程度、テーブルが2つ、座敷2つといったそこそこの炉ばた焼き屋を発見。
客同士がカウンター越しに話している風でもなく、常連の溜まり場チックな匂いはない。
メニューもそこそこ豊富にありそうだ。
いかにものBランク店である。
カウンターの客たちはほんのチラリと私の方を見たが、
一歩足を踏み入れてみる、
別段気にする出もなくまた連れとの話に戻っていく。
よろしい、と心の中でつぶやく。
「ヨソモンがよぉ」みたいな感じの店はやっぱりいただけないんである。
生ビールにおつまみを4,5品頼んで、自分におつかれ様と乾杯した。
この地ではどんな生活が待っていることやら…
そんなわけで、新たな人生の始まりを平凡な炉ばた焼き屋で迎えるのであったんであった。