- 不登校―その心もようと支援の実際/伊藤 美奈子
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最近、課題をこなす関係で読み終えた本がこれ。
比較的新しい本なのでレビューします。
本書で一番注目すべきなのは、色んな人の気持ちが書かれている点。
不登校の子どもの気持ち、親の気持ち、教師の気持ち、
カウンセラーの気持ち、行政の気持ちなど、
様々な視点から不登校の当事者たちの気持ちに切り込んでいます。
不登校問題に関する本の書き方って、
大体、著者の目線に偏っていることがすごく多いと思うんです。
元不登校児が書けば、当然その目線だし、
医者が書けば医学的見地から書かれているし、
心理臨床家が書けば、やっぱりユング的見地から書かれている。
しかし、本書では多くの人の気持ちが代弁されるように書かれています。
そして、そのほとんどが納得できるものです。
そういう意味で、伊藤美奈子先生の書き方って巧いなぁと
つくづく感心させられます。
ただ、本書にも問題点はあります。
それは最近、不登校の原因について、虐待や発達障害、統合失調症
といった問題が潜んでいることが注目されている点について、
触れてはいるけども、深くは書いていないところ。
どちらかというと従来の神経症タイプの不登校に主眼が置かれている。
発達障害研究で有名な杉山登志郎先生は、
発達障害児が不登校児の中に多く含まれていることを
著書(下の本↓)の中で指摘しています。
- 発達障害の子どもたち (講談社現代新書)/杉山 登志郎
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ただ一番大切なのは、理論や原因よりも不登校児への支援です。
不登校の原因や症状が複雑化している中で、
その支援のあり方について一応の答えが用意されている本書は、
読んでいて希望が湧いてくる。
将来、機会があれば不登校の子たちの支援が出来たらいいなと
感じさせてくれる一冊でした。